今回の犯人と被害者はこちら。
舞台は健康クラブ。健康ばかり気を使って人生に気を使わないマイロ・ジャナス。見たところ、体づくりと金づくりにばかりせっせと精を出して、ろくにごはんも食べません。パーティーでお酒も飲まない。健康クラブのオーナー、ジーン・スタッフォードさんがマイロの不正経理を見ぬいたところから話は始まります。「月曜には会議にかけて、貴様を訴える!」とか言っちゃって。月曜まで黙ってればいいのに、ばか、ばか!
彼がろくに家にも帰らず中華のテイクアウトをもぐもぐしつつ、コーヒーを飲みながら書類をチェックしてるところにマイロがやってきて言うのが、
「コーヒーは命を縮めるよ」。
そしてもみあい。当然、マイロの手に熱いコーヒー、じゃー。火傷。早速罰が当たる。
とは言え、コーヒーは武器にはならず、ジーンさんは殺されてしまいます。
翌朝呼び出されたコロンボがまず言うのは、
\コーヒー飲ませて。/
紙袋からポットを取り出して、カップについでコーヒーを飲むコロンボ。きゃわわ。
コロンボはコーヒーを飲み終わらないと頭が動かないそうです。
事件は無理な運動の最中に起きた事故死の線で捜査が進みます。
が、コーヒーを飲む者はコーヒーに助けられる。
コロンボは早速、ジーンさんとマイロのもみ合いの形跡、カーペットの上のコーヒーの染みを発見します。はっきりと言うわけではありませんが、この時点でコロンボには「事故を装った殺人」で、内部の犯行とあたりがついた模様です。
後はいつもどおり……なのですが、この事件、犯人が完全に、ある種の狂人として描写されているのが印象に残ります。
彼以外の人は出てくる度に何か食べたり飲んだりしています。コーヒーのポットを持って現場にやってくるコロンボを始めとして、マイロの恋人はコロンボが訪ねてきたとき手にグラスを持っていますし、ジーンの妻は何か考えつつもぐもぐする姿が印象的。
これに対して、マイロは「コーヒーは身体に毒だよ」だの「葉巻は身体に毒だよ」だの言いつつ、自分は錠剤をぱくっとするくらいで、あからさまに信用のおけない、はっきり言って、気持ち悪い人物として描写されています。
マイロが差し出す人参ジュースがまずくてコロンボには飲み干せないという描写も含めて、わかりやすいですね。
同じ DVD に収録されていた「権力の墓穴」にもコーヒー場面があります。犯人が妻を殺した翌朝、捜査に来たコロンボに「コーヒー飲みます?」と聞きます。コロンボはなんとこれを拒否。コーヒー、飲まない。こいつ怪しいな、ってこの時点で思っていたのでしょう。実際、この犯人、ティーカップでコーヒーを飲んでいて、あやしいことこの上ありません。