最近読んだ記事。
これは、イラスト自動生成AI「Midjourney」が描いた絵だけで漫画を作ったって話なんだけど、この作者さんは、自分で絵も描けないし、漫画の作り方も知らないらしい。
つまり、この人は、AIが描いたイラストを "漫画っぽく" 配置して、そこに "漫画っぽい" ナレーションを付けただけで、表面的に "漫画っぽい" 真似事をやっているに過ぎないんだよな。
絵描けないし、漫画の作り方も知らないけど。
— Ryo Sogabe / Creative Video Manager of CLE (@sogachin) 2022年8月7日
midjourneyで生成した画像を漫画的に配置してみた。
よく分からんけどちょっと面白そうかもしれない…。
(これ以上は何も考えてません)#midjourney #AiArt #comic pic.twitter.com/VHYXVT73iQ
だけど、これが見事に面白そうなんだよ(笑)
冒頭の数コマだけで、戦争をテーマとしたSF作品ということが分かるし、作品に漂う空気感というか世界観もひしひしと伝わってくる。コメントにもあるとおり、思わず「続きが読みたい」と唸ってしまうほどの完璧な掴みだと思う。
そして、何よりも絵が抜群に上手い。何の絵なのかイマイチよく分からないけど、とにかく雰囲気や空気感がずば抜けていて、作品のテーマや世界観に見事にマッチしている。まあ、正確に言えば、絵に合った世界観を後からマッチさせただけなんだけど。それにしても、作者さんは素敵な感性の持ち主だと思う。
作者さん自身が「これ以上は何も考えていない」とコメントしているとおり、AIの絵だけで漫画のストーリーを作るのは無理だと思うけども、とにかく可能性を感じさせるものであることは間違いない。
少なくとも、冒頭の掴みに関してのみ言えば、AIが作った『それっぽい絵』を並べて、その絵に合うように『それっぽいあらすじ』を付け加えるだけで商業誌レベルのものが成立してしまう…ってことを証明したと思う。
物語の冒頭にあれこれ言葉を並べて世界観を説明しようとする作家がわんさかいる状況で、「ちげーよ。物語の冒頭はキャッチーな絵で読者の心を掴んでいくんだよ」と、AIが手本を示してくれているような気がして、僕にはとても印象的な出来事のように感じるわけだけど、実用的な話をすると、絵が浮かんでこない時に、AIにテーマを決めて自由に絵を描いてもらう…みたいな方向で活用されていくような気はしている。
漫画を描いている時の一番の悩みって、間違いなく絵が思い浮かばないことで、イメージが湧いてこない時はとことん湧いてこないんだけど、そんな時にAIがイメージを出してくれたら、めちゃくちゃ助かるだろうなと。
将棋や囲碁のようなボードゲームにおいて、AIは既に人間の理解を超えているけど、イラストのような創作・芸術の分野においても、人間の理解や想像を超えるものを出すような時代になるだろうし、僕たちクリエイターもAIに負けないようにイメージを鍛えていく必要があるだろうな。
そういうところで言うと、イメージを捻り出せない人から順にAIに立場を奪われていくんじゃないだろうか。