こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。
11月18日のブログ記事で、トランプ大統領の誕生によってTPPと道徳教育は終了するだろうと予告しました。TPPは風前のともしびですし、トランプの不道徳な言動はとどまるところを知りません。
私がトランプを嫌うのは、まちがった情報を垂れ流す大ウソつきだからです。情報というものは、正しいものにしか価値はありません。日米の貿易についても、事実と異なる情報をもとに日本を一方的に批判してきましたよね。
アメリカ国内の犯罪が増えているのは不法移民のせいだ、ともいってます。でも、BS朝日の番組で町山智浩さんは、不法移民は増加してるのに、アメリカ国内の犯罪はずっと減少傾向にあるといってました。トランプは根も葉もないデマを流して犯罪被害に遭うかもしれないと恐怖を煽り、それを移民のせいにするという悪質なウソを重ねています。国のトップが冤罪を奨励してるようなものです。まあ、犯罪が減ってるのに増えてると不安を煽る人がいるのは、日本も同じですけども。
1991年にアメリカで製作されたものの、トランプから訴訟を起こすと脅されてお蔵入りになっていたテレビドキュメンタリーが先日、NHKBSで放送されました。そこで披露されたエピソードの山には呆れるばかり。
長年使われずにいたニューヨーク市のスケートリンクを再生する事業をトランプが請け負った。だが下請け業者には、これはボランティア事業だからとウソをつき、工事代金を一切支払わずタダ働きをさせた。工事費用はトランプが独り占め。
トランプタワーの建設工事には、ポーランドなどからの不法移民を使っていた。しかも正規の賃金の3分の1の賃金で。
トランプタワー建設時に、その一室をイギリスの皇太子が購入予定だとするフェイク記事を新聞に書かせた。
トランプタワーは58階建てなのに、68階建てだと意味不明のミエを張ったことで消防署ともめた。
ゴルバチョフが訪米した際、トランプタワーに立ち寄ることになっているとフェイク記事を新聞に書かせたが、実際にはそんな訪問予定はなかった。
自分の名前を出したくない怪しい取引や訴訟でいつも使っていた偽名が「バロン」。
日本人のなかにも「優秀なビジネスマンとしてのトランプ氏の手腕に期待する」なんて楽観的なことをいう人がいますけど、その人は、トランプのビジネスがズルとハッタリと恐喝によって成り立っていたことをご存じないのでしょうね。
そのトランプも、アトランティックシティーでのカジノ経営では巨額の損失を出しました。トランプでさえ失敗したのに、カジノは儲かると夢見てる日本の政治家たちって……。