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第159回 プロジェクターをテレビのように活用

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最近はバッテリー駆動も可能な小型プロジェクターが人気です。本コラムでも、「第140回 新世代のモバイルプロジェクター」で製品の特徴をご紹介しましたが、実際に利用されている方も多い事でしょう。
今回は、そんな人気のプロジェクターを「テレビの代わりとしても使えるのか?」をテーマに、筆者が実際に長期間実践した経験をもとに、メリットやデメリットをご紹介します。


■画質は充分か?
結論から言えば、「条件が合えば充分な画質」。その条件について、項目別に見て行きましょう。

1) 映像明るさ
プロジェクターの映像はテレビほど明るくありません。映像を大きく投射するほど、光が拡散することになり、さらに映像が暗くなります。また、プロジェクターはテレビのような「黒」の表現が苦手です。プロジェクター映像の「黒」とは、例えば壁面に投射する場合、その明るさの壁の見え方と同じで、それ以上の「黒」は表現できないためです。

筆者宅で実際に、明るさ性能が最大800ルーメンのプロジェクターを用いて試したところ、朝の直射日光が入らない時間帯や日没後は、写真のように天井照明を点灯していても、まずまず鮮明で色鮮やかに見る事ができました。映画やドラマなど、暗いシーンが多い場合は、映像の内容が分からなくなってしまいますが、それ以外の映像、つまり情報を得るには充分の印象です。

一方、晴天の昼間は、コントラストが大幅に低下して視聴に向かない状態に。より明るさ性能の高いプロジェクターや専用の外光に強いスクリーンを利用するのも一案ですが、コストや手間がテレビ以上に大掛かりになりがちであまりお勧めできません。

まとめると、日中は概ね不可ながら、早朝や日没後ならプロジェクターをテレビの代わりとして利用できる可能性は充分にあります。

【写真】最大約800ルーメンの明るさ性能を持つプロジェクターを、リビング程度の明室で70インチサイズくらいに投射したイメージ。テレビほど鮮明ではないものの、映像の内容は充分に確認できます。


2) 解像度
解像度とは、映像を構成する光の粒の数です。最近の40型以上のテレビは4Kが主流で、画面を構成する粒の数は、縦2,160x横3,840で約830万です。対するポータブルタイプのプロジェクターは、画質を重視した製品でも「フルHD」や「2K」と呼ばれる、縦1,080x横1,920の約200万が主流。密度としては約4倍の違いがあります。原理上、フルHDよりも高密度な4Kの方が細部まで緻密でキレイに映し出すことができます。

しかし、実際の日常生活では、見え方としてはあまり変わらないケースが多いでしょう。ポイントは視聴距離と視力です。例えば視力0.8程度の筆者は、映像から3mも離れるとピントが合わなくなり、「フルHD」と「4K」の見分けはつきません。

まとめると、完全暗室で真剣に映像と向き合うなら4Kをお勧めしますが、リビングで情報収集するのであれば「フルHD」で充分と言えます。


■音は聞こえる?
モバイルプロジェクターにはほぼ例外なくスピーカーが内蔵されていて、テレビと同様に音も聞くことができます。音質や明瞭度は製品によりますが、音質性能をアピールしている製品なら概ね満足できるでしょう。加えて、こうしたプロジェクターにはBluetooth出力機能を搭載しているので、音声をBluetoothスピーカーに飛ばして聴くもともできます。


■テレビ番組は見られる?
モバイルプロジェクターはほぼ例外なくWi-Fi機能を搭載していて、各種ネット動画配信サービスの映像を視聴することも可能です。放送終了後から1週間以内の番組なら、見逃し無料配信動画サービス「TVer」を利用すると、多くの番組を簡単かつ無料で視聴できます。また、プロジェクターには標準的にHDMI入力端子が搭載されていて、据え置き型のレコーダーと接続することも可能。放送中の番組や「TVer」で配信されていない番組も、レコーダーがあればテレビと同じ要領で視聴できます。


■さいごに
プロジェクターにはテレビ放送を受信するチューナーを内蔵していないのが、テレビとの大きな違いですが、レコーダーがあれば解決できます。

映像機器としての特性ですが、プロジェクターは100インチといった大画面も可能でありながら、コンパクトかつ比較的低価格なのもポイントです。但し、日中の明るい部屋では映像が見づらくなるので注意が必要です。

無難なのはやはりテレビですが、近年はテレビ放送番組の視聴時間が短くなる傾向があり、スマホやタブレットで動画を視聴されている方も多いでしょう。そうした方々が、出勤前や帰宅後に、情報を収集するような目的なら、プロジェクターはピッタリかもしれません。不要な時は簡単に片づけることもでき、部屋をすっきりできるのも利点に感じています。

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