先日、歌舞伎町ミラノ座で「スカイ・クロラ」を観てきたところあんまり退屈な映画だったのでビックリした。かつて激怒した「イノセンス」よりつまらない。
CinemaScapeをはじめネット上の評をいろいろ読んだが、皆さんこの映画のテーマや主張をしっかりと受けとめたうえで、ご自分の考えを書かれているようだ。
残念ながら、オレにはこんなクソ退屈なクソ映画から作り手のメッセージとやらを読みとる根気はなかった。押井が何を主張しようが構わないが、テーマ以前にこの映画はつまらなすぎる。オレの感覚ではこの映画、人さまに話を聞いてもらう態度とはとても思えなかった。みんな忍耐強いなあと思う。いや、ホントにみんな忍耐強すぎないか? 優しすぎないか? これほど観客に無条件の忍耐と優しさを一方的に要求できる押井守の感覚に、オレはついていけない。押井守に限らず平気で退屈な映画を作る監督すべてに言えることだが、いったい彼らは「お客さんが寝ちゃったらどうしよう」とは全然考えないのだろうか。心配じゃないのだろうか。
オレは、もう押井守は映画を作ってはいけない人だと思った。押井守に無限の愛情を注ぐ押井オタは決まって言うんだよ、「いや、押井だから」と。オレが押井守をけなすポイントはすべて「いや、それが押井らしいところだから」「そういう押井らしさこそ素晴らしいところなのだ」と皆さんそうおっしゃいますよ。
「押井だから」じゃねえんだよ、こういうクソ映画のせいで映画というジャンルそのものが痩せていくんだよ。普段映画をあんまり観ない一見さんが宣伝に誘われてなんとなく劇場に足を運んで「スカイ・クロラ」なんか観てみろよ。もう二度と劇場で映画を観ようとは思わないぜ。「いやあ、さすがにそんな事ないよ」と思ったそこのあなた、いやこれホントにホントだぜ。その重みを、少しでいいから考えてください。
前の方の座席に座ってたオレは、上映が終わると後ろを振り向いて他の客の顔を見てみた。ほとんどの人は「うわあ…何これ…」みたいな険しい表情をしてた。道端でネコの死骸を見かけた人の顔だったぜ。それ以外の人は寝てるか、寝起きの顔だった。こういう極めて普通の反応を一切なかったことにして、やれ若者へのメッセージだのやれ時代性だのともっともらしいことを言われてもそんなん知らんがなと思う。ああ、こういうこと書いてると友達なくすなあ。でもホントにそう思うんだよなあ。
「何言ってんだ、スカイクロラはメチャ面白かったぜ!」と本気で思ってる方々には申し訳ない文章になってしまいました。そういう方は…まあその姿勢で頑張ってください。
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