【 連携事例紹介 】
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「ランタンは安心感を与えてくれます。突然の停電の時もあわてなくて済むからです。以前は、いつ真っ暗になるかとビクビクしながら過ごしていました。停電になると8時間から10時間も暗い中で過ごさなければならないことがありました。でも、今はランタンが手元にあるので、暗闇の恐怖から解放されました」
そう語るのは、ドロホビチ避難所で暮らすナターリヤさん。ピースウィンズでは、パナソニックグループから寄贈いただいたLEDランタン約2,000台と交換用電池8,000個を、ウクライナの提携団体「Right to Protection(R2P=「保護の権利」という意味)」と協力してウクライナ国内で避難生活を送る人々に届けました。ナターリヤさんはランタンと乾電池を受け取った一人です。
夜の移動に頼りになる明かり
電力インフラが武力攻撃で破壊されたため、ウクライナ各地では安定した電力が供給できないことがあり、人々は不便で不安な暮らしを余儀なくされていました。そんななかで届けられたランタンは、困難の多い避難生活に小さな明かりを灯すことができました。
ザポリッジャから逃れてきた60代のタティアナさんとウォロディミルさん夫妻は、夜の消灯の後でもランタンがあれば避難所内を歩き回るのも安心だし、読書にも使えるのがうれしいと話してくれました。2人は住んでいたアパートが爆撃とミサイル攻撃で破壊され、ミサイルの破片が当たった自家用車も壊れ、移動手段を失いました。仕事場の段ボールの上で眠り、屋外の焚き火で調理したり、雪を溶かして飲み水にするような生活を送った後、警察の助けを借りてようやく戦闘地域から逃れてドロホビチに落ち着いたそうです。
東部ドンバス地域から逃れてきた84歳のリディアさんは、2014年にロシアがクリミア半島に侵攻してからずっと戦闘状態での暮らしに耐えてきました。そんな暮らしに「なんとか順応しようとした」けれど、2022年に地元がロシアに占領されてしまい、家を捨てざるを得なくなりました。夫を亡くし、今は周囲の人々の助けを借りながら避難所で穏やかに暮らしています。避難所ではトイレが部屋の外にあるため、夜の移動にはランタンが欠かせないといいます。
同じ避難所で暮らしながら仕事を探しているスヴェトラーナさんも、「ランタンは暮らしの質を上げてくれました。小さくて使いやすいので、ほとんど毎日使っています。必要な時はどこへでも持っていけます」と話してくれました。
医療機関に発電機
また、戦闘の被害がとりわけ大きい東部ドネツク州では、電力不足のために医療機関が機能不全に陥ることがありました。州内では198台の発電機が必要とされていました。そこで、ウクライナの提携団体「100%Life」と協力して、ドネツク州内17の医療機関に発電機を届けました。このための資金を提供してくださったのもパナソニックグループでした。2022年4月から6月にかけて社員のみなさんが「ウクライナ人道支援寄付」を実施。集まった約1,000万円に会社が同額を上乗せして総額約2,000万円を寄付してくださいました。この一部を使って発電機を届けることができました。
発電機が届けられた医療機関では、仮に停電が続いても手術室や集中治療室を使うことができるようになり、患者さんの治療を中断しなくて済むようになりました。今回の発電機提供により、年間で入院患者約12,300人、外来患者423,000人が適切な医療を受けることができることになります。
こうした物資の寄贈、寄付、共同プロジェクトなどで「社会貢献したい」とお考えの企業様には、専任の担当者が共に検討させていただきます。
R2Pについて
ウクライナを代表するNGOのひとつで、国内避難民、難民、無国籍の人々の権利擁護のために活動してきました。ウクライナに暮らすすべての人々の安全と尊厳を守ることを目標にしています。戦争 開始直後の昨年2月末に食料と衛生用品の配布を開始し、3月には車椅子などの器具の配布を始め、並行して心理社会的支援と法律支援を継続して行ってきました。
100%LIFEについて
ウクライナのすべての患者が100%治療を受ける機会を得られるよう活動するウクライナ最大の患者のためのNGOです。HIVや結核など様々な疾病を抱える人が自らの命の決定権を持ちながら、より良い療養生活を送ることができるよう活動しています。