【令和6年能登半島地震】“ラストワンマイル”の支援。一秒でも早く、被災者に水を届ける 特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン

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2024年1月18日
活動報告
【令和6年能登半島地震】“ラストワンマイル”の支援。一秒でも早く、被災者に水を届ける

1月1日に発生し、能登半島地方に甚大な被害をもたらした令和6年能登半島地震。1.5、2次避難が少しずつ始まり、各学校も再開を目指し動き出していますが、発災から2週間が経った今でも多くの方が避難生活を強いられています。

発災後、能登半島の各地域では停電、断水が起こり、飲み水だけでなく、お風呂やトイレなどで使う生活用水もないという状況で生活は困窮。特に衛生面の悪化は、感染症を誘発する原因となり、健康を害する大きな課題となりました。

今でも多くの地域で断水が続いていますが、空飛ぶ捜索医療団ではこうした事態に備え、災害地で給水支援が可能なふたつの企業と連携。発災後4日目には、一部避難者に飲み水や生活用水を提供する給水支援を開始しました。

できることを精一杯して、目の前の人を助ける

 


高知県に本拠を置くアクアデザインシステム社、代表取締役の武田良輔さんは、発災後すぐに空飛ぶ捜索医療団の緊急支援チームと連絡を取り合い、3日には高知を出発。夜通し運転して4日の12時頃に現地入りすると、その数時間後には市内の中学校で給水支援を開始しました。

「水がない、という状況は生きていく上でいろいろな支障が出てきます。ただでさえ大変な苦労をされている被災者のために、一日、一秒でも早く給水支援を始めたいという想いで被災地に来ました」

武田さんは、現地入りしてすぐに給水を開始できた要因として、高知県で開催された空飛ぶ捜索医療団の「多機関連携災害時医療救助訓練」に参加し、関係性を築けていたことが大きかったといいます。

「給水支援には、給水する装置だけを持ち込めばよいというわけではなく、水を汲み取る原水地の選定が重要です。緊急事態とはいえ、勝手に水を汲み取るわけにはいかない。その選定を空飛ぶ捜索医療団の現地スタッフにサポートしてもらい、今回の給水支援が実現できました」

最初は、中学校のプールの水を使うことが提案されたが現状使用できないとの回答。その周辺で原水地を調査したところ、砂防ダムに水があることがわかり、建設会社と交渉し排水ポンプの使用許可もとって原水地を確保。そこに武田さんが到着してすぐに浄水装置が設置しました。


アクアデザインシステム社が被災地に持ち込んだ災害用浄水装置は、汚れた水から不純物を除去したきれいな飲料水を短時間でつくることができます。今回も砂防ダムの原水の不純物の数値「178」を、装置を通して「2」まで減らした浄水を提供(一般的な水道水の数値は50〜60程度)。毎日およそ6,000リットルの浄水をつくり、1日50〜60人の避難者に水を届けています。

その浄水を、自らの手で被災者に届けた武田さんは、今回の支援について次のように話してくれました。

「できることを精一杯して、目の前の人を助けることはできたかなと思っています。しかし、自分ができることは微々たるもの。被災地全体をみれば、まだまだ水が行き届いていない地域も多い。今後どうしていくか、自治体ともっと協働していく関係性や体制を構築していくことも考えていかなければいけない」

自衛隊史上、最速で入浴支援を開始


空飛ぶ捜索医療団と連携して給水支援をサポートしていただいたもうひとつの企業が「(株)キッツ(以下、キッツ)」です。キッツは、一般社団法人 災害時緊急支援プラットフォーム「PEAD」と締結した、災害時の緊急支援協定に基づき出動。珠洲市にかけつけてくれました。キッツも、空飛ぶ捜索医療団の「多機関連携災害時医療救助訓練」に参加していただいた企業です。

キッツは、1月2日から準備を進め、空飛ぶ捜索医療団と打ち合わせを重ねたのち、4日に滋賀県彦根市を出発。金沢を経由して5日に現地入りすると、珠洲市健康増進センターに浄水器を設置し運用を開始、6日から本格的に給水を開始しました。

キッツが持ち込んだ浄水装置は、1日最大1,600人への給水が可能で(※災害時必要水量30リットル/1日として計算、今回は原水地の川の濁りがひどかったため最大処理量50㎥/日の半分である25㎥/日に設定し運用)、浄化された水は主に自衛隊が各避難所に設置するお風呂や生活用水、トイレを流す水として活用されています。

厚生労働省によると、飲料用として適した濁度と色度の水質基準値は、「濁度: 2.00 度以下、色度: 5.00 度以下(水道水質の基準 )」とされています。今回、キッツ社が持ち込んだ浄水装置を通すと、どれだけ水が濁っているかを表す濁度は原水「49.78」から浄水後「0.03」まで、またどれだけ水に色味がついているかを表す色度は、原水「123.21」から浄水後「0.95」まで浄化された生活用水が提供されます。


参考:厚生労働省「水質基準項目と基準値(51項目)

現地にかけつけ、装置を設置したキッツ・環境ソリューション事業部長の小林利章さんは、現地入りして緊張と不安に襲われたといいます。

「実際の災害を想定した多機能合同訓練に参加し、準備をしてきましたが、実際に被災地に入ると訓練とは違った緊迫感や不安と、何とか被災地の皆さんへお役に立ちたいという想いとが交錯していました。そうした緊張したなかでも短時間で装置を設置し、浄水した処理水を自衛隊の大型給水車両が取水に来られたときは、これでなんとか被災地域の方々へ水を届けることができると安堵しました」

被災地でお風呂に使用する水を用意するには通常1週間以上かかるといわれていますが、今回は発災から5日目には装置を設置して6日目には一部の避難所にお風呂を用意することができました。

能登半島地震の被災地は「奥能登」と呼ばれる地域。土砂災害や地盤の隆起により道路が所々で破壊され、さらに雪や雨による悪天候なども重なり、容易に現地にアクセスできない状況が長く続いていることも特徴のひとつだといわれています。そうした厳しい状況下にもかかわらず、給水に協力していただいた自衛隊員によると、「おそらく自衛隊史上、最速で入浴支援が開始できたのではないか」との言葉もありました。

必要な人々に必要な支援を届けるために


発災から2週間。物資支援もはじまり、一部避難所には多くの支援物資が届いています。しかし、一方で今だ交通のアクセスがままならない孤立集落や、必要な物資が十分に届いていない避難所が多いのも現実です。

多くの地域で停電は復旧しましたが、断水の復旧は年単位の長い期間がかかることが予想されています。空飛ぶ捜索医療団では、今後も多くの団体、企業と連携し、必要な人々に必要な支援を、ラストワンマイルまでしっかりと届けていけるように努めていきます。被災地への長期的な支援を続けるために、皆様のあたたかいご支援をよろしくお願いします。

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▼ふるさと納税で【令和6年能登半島地震】緊急支援
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