野鶲のフィールドノート 道の駅保田小学校(千葉県鋸南町)
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道の駅保田小学校(千葉県鋸南町)

道の駅保田小学校
千葉県鋸南町

「道の駅保田小学校」は、2014年に廃校になった旧保田小学校を道の駅としてリノベーソンした施設で、2015年に開駅した。
設計は古谷誠章、渡辺真理、北山恒、篠原聡子の各氏による設計共同企業体が担当した。

2023年、隣接する旧鋸南幼稚園を同じようにリノベーションし、「道の駅保田小附属ようちえん」としてオープンした。
駅名はもちろん洒落であり、新旧合わせて「道の駅保田小学校」というひとつの施設である。
設計は遠藤克彦+アトリエコ
遠藤氏は、大阪中之島美術館や、茨城県大子町新庁舎などで注目される建築家である。


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「ようちえん」の前面に、「わっか」と名付けられたリング状のキャノピーが芝生の広場を囲んでいる。
「わっか」の中には、バス亭や多目的トイレを取り込んでいる。

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奥に見えるのが「保田小学校」の建物。


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「わっか」は空間をゆるやかに規定する結界であり、またこの「わっか」の内外を散策するとさまざまに風景が変化する。
リング状のキャノピーという発想は、現在問題になっている大阪の万博にもあるが、決して新しいものではない。
1996年に予定されていたが中止になった「世界都市博覧会」でも、目玉はリング状のキャノピーだった。

結界としての回廊ならば、法隆寺や東大寺にもある。
これは現代的に洗練された形になっているということだろう。


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建築的に面白いのは、放射状の架構ではなく直交させ、木造と鉄骨造のハイブリッドにしたことだろう。


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建物の配置。
円形ではなく、楕円になっていることがわかる。


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既存の「保田小学校」
廃校になった学校という条件を利用し、一種のテーマパークのような演出で成功している。
多くの人の郷愁を誘うのだろう。
(個人的には、自分が出た小学校は悲惨なほど古くて汚かったので、いい思い出は全くない)


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南面ベランダの外側に増築し、展示スペースなどとして活用している。


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体育館は躯体を残し、中空ポリカーボネートで明るさと軽快感を演出している。
内部は農産物」直売所になっている。


2016年の記事


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2.1kmほど北にある鋸山から俯瞰する。


これまでに335箇所の道の駅を訪問したが、「道の駅保田小学校」は間違いなくベストの道の駅だと言える。
成功の要因は運営側にアイデアとやる気と遊び心があって、なおかつ、躊躇せずに優れたデザイナーを起用したことだろう。
要は、やればできるという当たり前の事実なのである。
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テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

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