ユリカモメ&カモメ@霞ヶ浦
3月の撮影から、ヒメカモメ
チドリ目カモメ科
体長26cm
撮影 2023.3.6 千葉県銚子市
世界最小のカモメで、日本では数例の記録がある。
他の小型カモメ類と比べるとその小ささは明らかだが、特に第1回冬羽の場合、ハジロクロハラアジサシと似ているので注意が必要かと思う。
このカモメも Hooded Gulls の仲間で、成鳥冬羽では黒い帽子をすっぽりと被る。
(余談になるが、ミツユビカモメだと真っ白になるところが面白い)
今回の個体は典型的な第1回冬羽の特徴を備えている。
前日の探鳥会では、始まる直前に見られたようだが、自分は見ていない。
そこで翌日に改めて観察と撮影を試みたという次第である。
午前中、一通りの場所を見て廻ったあと、場所を礁前に絞って待つことにした。
防波堤の上段と下段を、端から端まで一通り眺め、しばらく置いて同様に繰り返す。
午前中は現れなかったが、12時50分ごろ上段に座っているヒメカモメを見つけた。
いつ飛んできたのか、という感じ。
隣のユリカモメと比べると小ささは際立っている。
体長26cmというから、ヒヨドリ大である。
翼を広げる。
上面にM字型の黒い模様がある。
第1回冬羽の特徴。
ウミネコが隣に飛んで来た。
翼下面は白い。成長だと逆に黒くなる。
上面のM字模様が綺麗だ。
飛んでしまうかと思ったが、近くに降りた。
左端に、前日見られなかったカモメがいた。
10分ほどこの場所にいたが、直後に飛び去った。
大体、そういう行動パターンのようだった。
3月の撮影から、チャガシラカモメ
チドリ目カモメ科
体長42cm
撮影 2023.3.5 千葉県銚子市
ユリカモメのように、夏羽では頭に黒っぽい帽子をかぶった姿になる仲間を英語圏では Hooded Gulls と呼んでいる。
チャガシラカモメはユリカモメよりもやや大きく、嘴も若干太目である。
虹彩が淡色であるため、目つきが独特である。
最大の識別ポイントは翼端が三角形状に黒く、P8とP9にミラーがあること。(ミラーは3つの個体もいるとのこと-「日本のカモメ識別図鑑」による)
繁殖地は中央アジアが中心で、インドから東南アジアの海岸附近で越冬するため、分布域はユリカモメと重なってはいる。
日本では2002年5月に茨城県神栖市で初めて確認された。
その後沖縄県での記録があるとされるが定かではない。
今年の2月4日に鹿児島県枕崎市で観察撮影されていて、今回の個体が同じものかはわからないが、いずれにしても日本で数例の観察例しかない珍鳥である。
この個体は、ユリカモメの群れに混じり、漁港の中で盛んに飛び回っていた。
干潟に降りることもあったが、止まった姿は撮影できなかった。
黒い翼端と2つの大きなミラーはよく目立つので、目が慣れるとすぐわかる。
淡色の虹彩は何となく感じられる。
翼の白色部もユリカモメよりも幅広いようだ。
コアジサシ@九十九里
コアジサシ@九十九里
コアジサシ@横浜港
2012年の記事から-ワシとシロ
撮影 2012.1.11 千葉県銚子市
この日はデジスコがないので、一眼での撮影。
見やすい場所には少なく、シロカモメ、ワシカモメとも数羽程度。
シロカモメ成鳥を中心に、大部分はセグロカモメ。
左右にオオセグロカモメの第1回冬羽
右の方にウミネコ成鳥
ワシカモメ第1回冬羽の他は、これもほとんどセグロカモメ
右の方にオオセグロカモメの成鳥が見える程度。
皆右を向いているのは、右(海側)から強い風が吹いているから。
今月はもう2回ぐらい行けるだろうか。
来月から潮回りが良くなるので、2~3月が楽しみなところ。
2012年の記事から-セグロとオオセグロ
セグロカモメ
オオセグロカモメ
撮影 千葉県銚子市
昨年12月22日と、今年1月11日の撮影から
いずれもセグロカモメ第1回冬羽
奥にセグロカモメと、手前にオオセグロカモメ
手前のオオセグロは、顔つきはワシカモメ風にも見える
オオセグロカモメ第1回冬羽
オオセグロは摩耗が目立つ個体が多い
2012年の記事から-ワシカモメとホイグリンカモメ
撮影 2011年12月と2012年1月 千葉県銚子市
悪い癖で、カモメを撮ると写真が大量になるので、整理が追い付かず、時間が経ってしまうことが多い。
カモメの場合、種によって換羽のタイミングが早かったり、遅かったりするので、撮影日時の記録はなるべく正確にしたいと思う。
ワシカモメ第1回冬羽(1月上旬)
顔つき、色合い、足の色など、典型的な個体。
最近、オオセグロカモメやシロカモメとの雑種ではないかと思われる個体が時々いるので、こういうわかりやすい個体を見ると安心(?)する。
ホイグリンカモメ(亜種タイミルセグロカモメ?) 幼鳥~第1回冬羽(12月)
初列風切~次列風切が一様に褐色なので、ホイグリンカモメだと思う。
セグロカモメは、内側初列風切(P1~5あたり)が白く抜ける。
オオセグロカモメは初列風切1枚1枚が暗色と淡色の模様になる。
2012年の記事から-カムリアンアイスランドカモメとカナダカモメの雑種?
撮影 2012.1.11
千葉県銚子市
前回、カナダカモメの第4回冬羽として載せた個体。
大きくトリミングして見ました。
同じ個体を1/30に氏原さんが観察・撮影されていて、カムリアンアイスランドカモメとカナダカモメの雑種の可能性があるらしいということがわかりました。
氏原さんのウェブサイトは
鳥と絵画のページ
で検索してください。(なぜか直接URLをここに表示できません)
「1月30日 千葉県銚子市のカモメ」というところをクリックするとページが開きます。
その中の”G”とされている個体がそれです。
最近、ワシカモメやシロカモメ系の雑種が結構見られますが、カナダとアイスランドの雑種となる、かなり識別のハードルが高くなります。
カナダとアイスランドはもともと近い関係にあり、(カナダカモメはアイスランドカモメの亜種と言う説もある)中間的な個体がいても不思議ではないと思うのですが、一応そういう事実も知っておいた方が、銚子での観察には役立つかも知れません。
カナダカモメ
アイスランドカモメ
モンゴルセグロカモメ
アメリカセグロカモメ
ホイグリンカモメ
など、以前考えられていたよりも実際には多く飛来しているのではないか、また雑種も思った以上に存在しているのではないか、と思います。
特に大型カモメ類は個体差も大きいことが、識別をより難しくしている要因だと思いますが、そんな中からその種らしさを感じ取れたら、と思うカモメ観察(おおよそ)10シーズン目の冬。
2012年の記事から-アメリカセグロカモメ@銚子
アメリカセグロカモメ(第1回冬羽)
チドリ目カモメ科
体長61cm
撮影 2012.2.12 千葉県銚子市
以前は学名から「スミソニアヌス」あるいは「スミス」などと呼ばれていた。
成鳥は背の色がセグロカモメに比べて薄いので、「ウスセグロカモメ」という名称も使われていたが、カモメ識別ハンドブック改訂版では「アメリカセグロカモメ」に変更された。
第1回冬羽の特徴として
全体がベタッとした褐色。特に体下面の褐色が目立つ。
初列風切は黒い
下尾筒の黒帯が密
などがある。
成鳥になると背の色がセグロカモメに比べて薄く、虹彩が黄白色で瞳がとても小さく見えるが、第1回ではまだ暗色である。
ウミネコなど@霞ヶ浦
茨城県土浦市霞ヶ浦
亜種カムリアンアイスランドカモメ
亜種カムリアンアイスランドカモメ
チドリ目カモメ科
体長56cm
撮影 2019.1.12 茨城県
漁港の中。
ウミネコ、ユリカモメ、セグロカモメなどに混じって、明らかに異彩を放つ個体。
銚子以外では初めて観察した。
現在の目録では「亜種クムリーンアイスランドカモメ」になっている。
アイスランドカモメには2亜種ある。
基亜種のアイスランドカモメは、主にグリーンランドで繁殖し、冬はアイスランドからヨーロッパ沿岸(イギリスからスカンジナヴィアなど)に飛来するらしい。アイスランドは繁殖地ではないのである。
亜種カムリアンアイスランドカモメは、カナダのバフィン島が主な繁殖地で、カナダカモメと近い関係にある。
アイスランドカモメに比べ、初列風切に灰色の斑があるが、白っぽいものからカナダカモメに近いものまで個体差が大きい。
この個体は、初列風切の黒斑がP6からP10までの5枚にあり、亜種カムリアンアイスランドカモメとしては典型的な個体だと思われる。(海外の図鑑による)
セグロカモメより明らかに小さく、嘴も小さく、可愛らしい個体である。
過去に銚子で見たいくつかの個体と、見た感じはよく似ていた。
コアジサシ@千葉県
コアジサシ
チドリ目カモメ科
体長22~28cm
撮影 2018.7.1 千葉県
かつて千葉県の九十九里から茨城県にかけて、コアジサシの営巣地が多く存在したが、2010年ごろから激減した。
ここ数年、若干回復傾向にあるようだが、コアジサシの営巣地は人が多く歩く砂浜に隣接していることが多いので、観察には注意が必要だ。
コアジサシ@茨城
コアジサシ
チドリ目カモメ科
体長26cm
撮影 2017.7.23 茨城県
7~8年ほど前まで、茨城県の旧波崎町から千葉県の九十九里浜にはコアジサシの繁殖地が各地にあった。
6~7月には毎週のように波崎、銚子から九十九里を廻り、コアジサシの群れとその群れの中にまれに含まれる珍し系のアジサシ類を探すのが習慣になっていた。
震災のころから大きな群れは見られなくなり、最近はさびしい状況が続いている。
九十九里浜とは、刑部岬と太東崎との間にある全長約66kmの海岸を言う。
刑部岬は飯岡漁港の北側にあり、刑部岬と銚子までの間は屏風ヶ浦と呼ばれる断崖である。
太東崎は屏風ヶ浦ほどの奇観ではないが、高さ約60mの断崖になっている。
九十九里浜というのは、屏風ヶ浦と太東崎の岩が波に浸食され、その砂が堆積して出来たものらしい。
つまり2つの断崖絶壁が九十九里浜を構成する砂の供給源なのである。
航空写真で見るとよくわかるが、屏風ヶ浦と太東崎の海岸線に沿って、その浸食を防止する目的で防波堤が作られている。
その結果砂の供給が止まり、九十九里浜はどんどん後退し、海水浴場も多くが閉鎖に追い込まれている。
コアジサシの営巣が減ったことと砂浜の後退に関係があるかどうかはわからない。
茨城県内に人工的に作られたコアジサシの営巣地。
それなりの数が見られるようになっている。
営巣場所に入り込んだアオサギを執拗に攻撃するコアジサシだったが、アオサギは全く動じなかった。
クロハラアジサシ@霞ヶ浦
クロハラアジサシ
チドリ目カモメ科
体長26cm
撮影 2017.4.25 茨城県土浦市
明らかにユリカモメではない鳥の群れが飛んでいた。
見ると15羽ほどのクロハラアジサシの群れだった。
最後の写真には、2羽のユリカモメが混じっている。
クロハラアジサシ26cm、ユリカモメ40cmmなので、体長は1.5倍ほどの違いがある。
大型カモメ類
一瞬「カモメか?」と思うような個体もいる。
その色合いには個体差が多いが、割と典型的な2羽を載せて見た。
背の色はセグロカモメよりも若干濃い目で、首の後ろに黒斑が目立つのは同種の傾向と思われる。
カモメ類@霞ヶ浦
しばらく鳥の撮影をしていなかったので、何を撮っても楽しい。
カモメ第1回冬羽
カモメはここ数年飛来が増えていて、ここでも10羽前後が見られる。
ここでは成鳥が多く、第1回は少ない。
下から見ると意外と識別が難しいが、他の角度から見た写真から判断するとカモメで間違いないと思う。
亜種タイミルセグロカモメ
足に若干黄色味があるセグロカモメとも見えたが、背の灰色も濃い目で、首の後ろに黒斑が目立つ点も含め、亜種タイミルセグロカモメと見ていいかと思う。ここで観察したのは初。
これで、この場所で観察したカモメ類は8種類になった。
クロハラアジサシ&ハジロクロハラアジサシ@瓢湖
ハジロクロハラアジサシ 体長23cm
クロハラアジサシ Chlidonias hybridus
ハジロクロハラアジサシ Chlidonias leucopterus
ハシグロクロハラアジサシ Chlidonias niger
このうちハシグロクロハラアジサシは迷鳥で、見る機会は極めて少ない。
ハジロは「羽が白い」
ハシグロは「黒い」
クロハラは「その中間」?
みたいなニュアンスが読み取れる。
綺麗な成鳥夏羽を見る機会はそんなにないので、瓢湖でこの2羽が飛び回っているのを見られたのは幸運だった。
セグロとオオセグロ
撮影 千葉県銚子市、茨城県旧波崎町
セグロカモメとオオセグロカモメをランダムに載せて見る。
セグロカモメは、第1回、第2回、第3回、成鳥冬羽。
オオセグロカモメは、第1回と成鳥冬羽。
成鳥の場合は背の色の濃さで大体わかるが、光線の加減によっては見え方が大きく異なる。
体型の違いもあるが、特にオオセグロは個体差が大きい。
第1回冬羽は、初列風切の濃さ、淡色の羽縁の有無などを見るが、この時期になると摩耗が進んだ個体が多くなる。
特にオオセグロは摩耗が激しく、色が薄くなる個体が目立つので、ワシカモメやシロカモメに見えることもある。
顔つきとか、体型とか、足の色とか、色々なところに注目することが必要である。
第1回や第2回の場合、初列風切のパターンに違いがあるので、翼を広げたところは出来るだけ撮影して見る。
セグロは内側初列風切が白く抜けているが、オオセグロは比較的一様に褐色で、内弁が薄く、外弁が濃いという傾向がある。