チェジュ航空は危険なのか [飛行機・鉄道・自動車]
が申し立てられ、返金金額は2,600億ウォン(約273億円)になるようです。
事故の結果が181人中179人が死亡という破滅的な状況だったことに加えて捜索
にあたった救助隊の隊員から、バラバラになった遺体が混ざり合っていて現場が
残酷すぎるという報告が上がっていることから飛行機事故の悲惨さが広く伝わり
航空旅行を控える動きが出ている中で、事故の当事者であるチェジュ航空だけは
乗りたくないという気持ちはわかります。
ただ、事故直後に匿名掲示板に投稿された話の大半はデマであることが確認され
チェジュ航空の元整備士や元運航管理担当者を称するチェジュ航空の部品不足に
対する対応や、パイロットの経歴詐称などの問題は誹謗中傷である可能性が高い
と思われるので、それらを理由にキャンセルするのは事故に便乗して、世の中を
混乱させようと考える愉快犯の思う壺という感じにはなっています。
韓国には、現在(大韓航空とアシアナ航空の合併が確定したので、順次、両社の
LCCは統合再編されることが決まってはいますが、現時点での話を書きますね)
大韓航空系のジンエアー、アシアナ航空系のエアソウル、エアプサン、独立系の
イースタン航空、ティーウェイ航空、チェジュ航空、エアロK、エアインチョン
国際線のみ運航しているエアプレミアの9社のLCCがあります。
そもそも論としてLCCが何故、低運賃で航空便を運航できるかというと、高頻度
低コストで運航しているからで、航空機を空港に留め置くことによって発生する
駐機料を出来る限り安くするためには、可能な限り空を飛んでいればいいわけで
日本のピーチやジェットスタージャパンのように深夜発の国際線を飛ばして早朝
までの間に一往復すれば運賃収入が入って、駐機料がかからずに済みます。
到着時には専業の清掃員ではなく、客室乗務員が客室内の清掃、離陸準備を行い
給油と荷物の搭載に必要な30-35分で次の出発地に向かって離陸することで1日
可能な限り頻度を上げて運航することで、駐機時間を短くして発着頻度を増やし
期待を出来る限り活用することが出来ます。
そのために出発の締切厳守、搭乗口に遅れた人は置いて行かれます。
客室乗務員の休憩時間もほとんどないことで問題になっています。(これは大手
の全日空や日本航空でも問題視されています。地上業務が多すぎます)
他にもいろいろな問題点はありますが、運賃が安いのは事実なので利用客も多く
航空旅行を気軽にできるようになったメリットはあります。
ただ、多頻度で運航されている関係で、午前や午後にトラブルが発生して遅延が
出ると遅延便以降に徐々にしわ寄せがきて、最終便が数時間遅れることもあると
いうのがLCCの弱点であり、定時運航を求めるならば日本なら全日空や日本航空
などのメジャー航空会社(レガシーキャリア、フルサービス航空会社という表現
をすることもあります)を利用するのが適切な使い分けになります。
そんなことで、航空機の稼働率の高いLCCは整備時間も短いために折り返し時間
の中で問題が発生すると遅れが発生します。
整備の際に不具合が発見された場合、その不具合が運航に支障がないレベルまで
点検整備を行うことは、乗員・乗客の命を守るために必要なことであり、遅延が
発生しようが、欠航になろうが航空会社は当然、整備を実施します。
それをしないで事故が発生したら、多数の命を危険にさらし、世間からの信頼を
失うことになるので会社として成立しなくなります。
LCCは相対的に整備遅延率(出発前点検の不具合によって定時運航に支障が出た
割合)は高くなりますが、チェジュ航空の場合は約1%になります。
この数値は韓国国土交通部がまとめた公式な数字です。
2023年1月から2024年5月までチェジュ航空の運航は92,948回で、そのうちの
923回で整備遅延が発生し、警告灯が点灯したために予防的な点検をした回数が
313件(結果として異状なし)、航空機欠陥解消が141件(問題が見つかり修理
対応をして運行可能な状態にして出発した場合)などの対応がある他に、95件の
機体損傷という事例があり、これが降着装置のパンクや鳥との衝突によって翼や
エンジンに損傷を受けた数値だと思われます。
ちなみに大韓航空やアシアナ航空の整備遅延率は0.5%程度で、チェジュ航空の
半分ですが、逆にチェジュ航空はLCCの中でも最も多く整備遅延が発生した会社
だと指摘(2023年1月から2024年5月までに整備遅延が発生した航空機10機の
中で9機がチェジュ航空の機体)されているので、チェジュ航空は安全か危険か
の二択で考えると、安全だと言い切ることは難しいです。
今回の事故機も事故の48時間前までに務安、済州、仁川、バンコク、長崎などの
都市間を13回飛行していますから、地上で翼を休める時間はかなり少なかったと
思われ、事故の直接的な要因としては浮上していませんが、機体の金属疲労など
目視では確認しにくい部分についての整備状況とクルーの操縦に反応しなかった
降着装置やフラップの異常との関連なども精査されることになるでしょうね。
個人的には大韓航空の子会社のジンエアーとアシアナ航空の子会社のエアプサン
以外のLCCには信頼性に少々の猜疑心があるので利用していませんが、この判断
はあくまでも個人の主観に基づくものであって、チェジュ航空の安全性に著しく
問題があると考えているわけではありません。
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