【獣医師監修】犬がずっと寝てるのは病気?平均睡眠時間や病気の可能性を解説│【マルカン|PAGE】ペット用品・ペット情報サイト

【獣医師監修】犬がずっと寝てるのは病気?平均睡眠時間や病気の可能性を解説

公開日:2024.01.18 更新日:2024.01.23

犬と生活する中で、「うちの子ずっと寝ているけど大丈夫かな」と思った経験はありませんか。子犬のうちは人間の赤ちゃんと同じようによく寝ることは理解できても、成犬になっても寝てばかりでは不安になる飼い主もいるでしょう。 そこで今回は、年齢や体のサイズ、犬種ごとの平均睡眠時間を紹介します。寝てばかりいる症状が見られる病気についても解説しますので、病気の可能性の有無を見分けるのに役立ててみてください。

CONTENTS

記事の目次

愛犬がずっと寝ている|年齢別の平均睡眠時間は?

ベッドの上で眠る犬

犬の睡眠時間は人間よりも長く、1日の平均睡眠時間は12時間~15時間ほどといわれています。飼い主からは寝てばかりのように見えますが、問題ない場合がほとんどです。

睡眠時間は年齢によっても異なり、体の発達途中である子犬や年を重ねた老犬ほど長い傾向があります。

子犬

子犬は生まれてから生後3週間ごろまで、1日のほとんどを寝て過ごします。生後2か月~3か月ごろになると体力がついてくるため、走り回る姿が見られるようになりますが、まだ遊び以外の時間は寝ていることがほとんどです。

生後4か月ごろには個体差が出てきて、生後5か月ごろには睡眠時間が平均14時間~16時間程度におさまります。このように、1日の半分以上を寝て過ごすため、飼い主がずっと寝ているように感じてしまうのは珍しいことではありません。

成犬

一番元気があり活動的な成犬でも、平均睡眠時間は全体の平均睡眠時間と同じ12時間~15時間ほどと1日の半分程度です。成犬の時期になると睡眠時間をまとめてとるようになり、人間と同じ夜に連続して寝る犬が増えてきます。

成犬の睡眠時間は生活環境によっても違いが出る時期です。家族と過ごすことが多い子の場合、日中はそれなりに刺激があるため、起きている時間が多くなります。そのため、夜になると眠そうにしている姿が見られるでしょう。

一方、ひとりで留守番を任されがちな子の場合、留守番中は寝ているケースが大半です。日中の睡眠時間が多くなるため、夜でも飼い主と遊びたがってなかなか寝ようとしない場合もあります。

老犬

成犬と比べて、だんだん体力が落ちてくる7歳以降の老犬になると、再び睡眠時間が長くなり、1日のうち18時間~20時間ほどを寝て過ごすようになるでしょう。食事と排せつの時間以外はずっと寝ている姿も珍しくありません。

老犬にとって体力を回復させるためにも睡眠は大切です。しかし起きている時間は軽めの散歩や遊びなどを無理のない程度に行い、健康に過ごせるようサポートしましょう。

においを探し当てるノーズワークや、知育玩具を使って脳に刺激を与たえる遊び、またバランスディスクを使った体感トレーニングなどもおすすめです。

愛犬がずっと寝ている|犬種別の平均睡眠時間は?

ベッドに横たわり大きなあくびをする小型犬

犬の睡眠時間は体のサイズによっても異なります。小型犬ほど短く大型犬になるほど長くなるのが一般的です。

ここでは、体のサイズ別の平均睡眠時間と、それぞれの犬種別平均睡眠時間を紹介します。愛犬の睡眠時間が平均よりも極端に長かったり短かったりしないか確認しましょう。

大型犬

大型犬は小型犬や中型犬と比べると体を動かすエネルギーが多く必要です。また、体力の回復にも時間がかかるため、平均睡眠時間は成犬でも長くなる傾向があります。

穏やかで人懐っこいゴールデン・レトリバーの平均睡眠時間は18時間~20時間と、一般的な犬の平均睡眠時間である12時間~15時間よりも長めです。ゴールデン・レトリバーは体の大きさの割に活発なため、エネルギーの消耗が多いためと考えられます。

一方で、同じ大型犬でも作業犬のシベリアン・ハスキーは、睡眠時間が12時間ほどと短めです。作業犬は長時間の活動もこなせる体力があるため、短い睡眠時間でも回復できます。

中型犬

中型犬は活動的で作業犬として活躍していた犬種も多く、睡眠時間は大型犬よりも少なめです。中型犬を代表する柴犬の平均睡眠時間は10時間ほどと、犬の中では短い傾向があります。

一方、作業犬ではないフレンチ・ブルドッグなどは、13時間程度と平均的な睡眠時間です。中型犬は犬種の特徴によって睡眠時間が大きく異なります。

小型犬

小型犬はエネルギー消費量が中型犬や大型犬よりも少ないため、睡眠時間が短くなる傾向があります。体が小さく運動量もさほど多くない、チワワの平均睡眠時間は10時間程度です。

一方で、狩猟犬としても活躍していたミニチュア・ダックスフンドはチワワより長く、11時間~15時間程度とされています。

狩猟犬は活発で警戒心の強い犬種のため、エネルギー消費量が多く回復に時間を要するためです。それでも大型犬よりは睡眠時間が少ない傾向といえるでしょう。

犬がずっと寝ている原因

犬の平均睡眠時間は人間よりも多く、体の大きさやエネルギー消費量によっては平均以上の睡眠が必要です。そのため、愛犬の睡眠時間が長いと飼い主が感じても、ほとんどの場合は問題ありません。

犬は飼い主が家で過ごすリズムに合わせる性質があるため、飼い主が仕事や作業をしている間に寝ている姿はよく見る光景です。

また、犬は深い眠りであるノンレム睡眠が20%に対し、浅い眠りのレム睡眠が80%と熟睡時間が少ないこともずっと寝ている原因のひとつといえるでしょう。少しの物音ですぐに立ち上がったり、寝ている体勢のまま何度も起きたりするのは眠りが浅いためです。

しかし、下記のような要因によっても睡眠時間が長くなる場合があります。

・ストレス
・甲状腺機能低下症や脳腫瘍などの疾患(嗜眠)
・関節の痛み
・老化

そのため、いつもより極端に睡眠時間が長い場合は注意しましょう。また、ストレスにより睡眠時間が短くなることもあります。

ずっと寝ている犬|疑われる病気は?

診察を受ける小型犬

犬がずっと寝ていると飼い主が感じても、ほとんどの場合は問題ありませんが、中には病気の症状である可能性もあります。睡眠時間が長い場合に考えられる病気を紹介しますので、愛犬に当てはまるところがないか確認しましょう。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症とは、喉にある甲状腺からのホルモンの分泌が低下する病気です。甲状腺自体が萎縮してしまう、または自己免疫疾患である免疫介在性甲状腺炎によって引き起こされますが、詳しい原因は解明されていません。

甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、低体温・代謝障害・活動量の低下などの症状が表れるため、元気がなく寝てばかりいるように見えます。甲状腺機能低下症では、皮膚炎の症状も見られるため、病気を見極めるポイントとして抑えておきましょう。

甲状腺機能低下症はどの犬種でもかかる可能性はありますが、症状が見られやすい犬種は、以下の通りです。

・柴犬
・ダックスフンド
・ゴールデン・レトリバー
・ビーグル
・シェットランドシープドッグ
・アイリッシュセッター
・ミニチュアシュナウザー など

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)

クッシング症候群とは、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることで起こる病気です。副腎皮質ホルモンが全身の臓器に影響を与え、多飲多尿、脱毛や皮膚が薄くなるなどの皮膚症状、食欲増加、お腹が腫れる、足腰の筋肉の衰えといった症状が表れます。

クッシング症候群は早期治療が必要な病気です。クッシング症候群が進行すると糖尿病、高血圧、膵炎、感染症などを併発します。食欲、飲水量、活動レベルなどいつもと様子が違うと感じたら、細かく愛犬の様子をチェックしましょう。

クッシング症候群は8歳以上の老犬に起こりやすい病気です。症状が見られやすい犬種も確認しておきましょう。

・プードル
・ポメラニアン
・ボクサー
・ダックスフンド
・ボストンテリア
・ビーグル

認知症

認知症は8歳以上の老犬が発症しやすい、脳の神経細胞の減少や脳の萎縮が原因で認知機能に障害が出る病気です。認知機能が低下すると、ぼんやりしている時間や眠っている時間が長くなります。

トイレ以外での排せつ・夜にずっと吠えている・徘徊なども認知症の症状です。認知症は人間と同じくどの犬種でもかかる可能性はありますが、特に柴犬や秋田犬などの日本犬に多いといわれています。

認知症の明確な原因は分かっていませんが、何も対策しないと進行を早めてしまうため、老犬期には頭を使った遊びや散歩コースを変えるなど、脳に刺激を与えましょう。脳への適度な刺激は認知症予防や、発症した後の進行を遅らせる効果が期待できます。

ナルコレプシー

ナルコレプシーとは、遊びやおやつといったポジティブな感情による興奮が引き金になり、突然強い眠気に襲われる睡眠障害です。摂食や睡眠などの生理作用に関与する脳内の神経伝達物質オレキシンの変異によって起こります。

生理作用に制御が効かなくなり、意識はあるものの体を動かすことができなくなるのが特徴的な症状です。1分~2分ほど脱力状態が続きますが、体をゆすったり声をかけたりすることで回復するケースもあるでしょう。

ナルコレプシーは命に関わる病気ではありません。投薬や生活習慣の見直しで症状が和らぐ可能性もあります。ナルコレプシーにかかりやすい犬種は、以下の通りです。

・ドーベルマン
・ダックスフンド
・プードル
・ラブラドール・レトリバー
・ビーグル

まとめ

道端で休憩している小型犬と大型犬

犬の平均睡眠時間は人間よりも長く、12時間~15時間程度です。そのため、健康であっても寝てばかりいると感じるかもしれません。

しかし中には、病気が原因のケースもあります。ご飯を食べない・皮膚炎・脱毛・徘徊・脱力感といった気になる症状がある場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

マルカンでは、愛犬の健康的で快適な生活をサポートする、フードやグッズを多数ご用意しております。ぜひ公式サイトの「犬の製品」ページをチェックしてみてください。

PAGEでは、犬について、特徴や飼い方についての情報を発信しております。犬の種類、特徴、飼い方について気になる方はぜひ「大型犬の種類や飼い方」をチェックしてみましょう。

獣医師

石井 香絵

獣医師  石井 香絵

ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 大学卒業後、動物病院で勤務し、アメリカNY州コーネル大学獣医学部Animal Behavior Clinic、キャンザス州のWestwood Animal Hospitalでの経験を経て、帰国。現在では犬猫の問題行動の治療を専門とし、セミナーや執筆活動、メディアなど幅広く活躍。動物専門学校講師を務める。主な著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」がある。

ペットの行動コンサルテーション Heart Healing for Pets 代表。 大学卒業後、動物病院で勤務し、アメリカNY州コーネル大学獣医学部Animal Behavior Clinic、キャンザス州のWestwood Animal Hospitalでの経験を経て、帰国。現在では犬猫の問題行動の治療を専門とし、セミナーや執筆活動、メディアなど幅広く活躍。動物専門学校講師を務める。主な著書に「愛犬をやさしく癒すクリスタルヒーリング」がある。

この記事をシェア