今日の神戸は寒の戻りなのか、肌寒く、時折雨模様のお天気でした。こんな日は家で引き籠もりです。(笑)
たまには、二胡のお話をします。今回は二胡の琴首の美しさについてお話ししたいと思います。
二胡の琴棹の上部、先っちょの部分は、琴首 または 琴頭 と呼ばれています。
二胡の三大名産地である、北京、上海、蘇州 では、長い歴史の中でそれぞれに見た目の特徴も
少しずつ異なる伝統の形が進化してきました。二胡の琴首にもその違いがよく見て取れます。
二胡の琴首の伝統的でかつ代表的なデザインである、月弯頭 (げつわんとう)。
真上から見たら月のように見える牛骨細工の頭と、湾曲した首が特徴です。
現在、世界中で弾かれている二胡の殆どが、この琴首のデザインであると言っても過言ではありません。
左から、北京、上海、蘇州 の月弯頭です。微妙な違いがお判りになるでしょうか。

北京は首が長く、上海は月が扁平で、蘇州は月が大きい
という伝統的な特徴の違いがあります。
次の3把の二胡は私が所蔵している、蘇州二胡2把と、蘇州二胡に近い琴首の形の江西省の二胡です。
無錫名人、萬其興(ばんきこう)製作の蘇州二胡。細工は牛骨ではなくすべて象牙を使用しています。

同じく無錫名人の、陸林生(りくりんせい)製作の蘇州二胡。銀線細工を施しています。

江西省の名人、辜存雄(こそんゆう)製作の二胡。琴首は蘇州に近いですが、シンプルに装飾を一切排しています。

月弯頭の琴首に関しては、私自身はこれらの蘇州型のフォルムが一番気に入っています。
さて、このような代表的な月弯頭の琴首以外にも、長い歴史の中で様々な意匠の琴首が産み出されました。
私の所蔵している別の2把の二胡と二泉胡も独特の琴首デザインを採用しています。
上海の国宝級大師である王根興(おうこんこう)製作の二胡(右)と二泉胡(左)です。

琴首のデザインは、1世紀前の中国の名文をモチーフにした荷塘月色(かとうげっしょく)
つまり、蓮の池と月明かり というテーマの彫刻です。
このデザインと彫刻は、王根興の直弟子で、伝統音楽研究家として著名な、沈正國(ちんしょうこく)師の
手によります。下の写真は、彫刻をする前の沈正國師自身のスケッチ画です。これは新しい意匠なのです。

歴史が産み出した、デザイン琴首の代表的なもののひとつに、龍頭(りゅうとう)の琴首があります。
これは伝統的かつオーソドックスな龍頭のデザインです。非常に繊細で美しい彫刻です。

100年以上前の古楽器の龍頭。素朴なデザインですね。

他にも多くの琴首の形がありますので、少しご紹介したいと思います。
伝統的な模様である回紋頭(左)と、沈正國師が縁起の良い「吉祥図」を主題にデザインした祥雲海上(右)。

これも縁起物の鳳凰頭(左)と壽桃頭(右)。

これは武漢の名人、曾憲勇(そうけんゆう)の新デザインの優美な鳳凰頭です。

これらは2把ともに馬頭です。モンゴルの馬頭琴の影響があるかのも知れません。

巻書頭(左)と小提琴頭(右)。小提琴とは中国語でバイオリンのことです。
二胡はバイオリンより500年以上歴史が古いので、この巻書のデザインがシルクロードを経由して
ヨーロッパに伝わり、バイオリンのヘッドのデザインに影響を与えたかも知れませんね。

如意頭(左)と蝙蝠(右)。仏具の如意棒やコウモリまでデザインされているのは驚きです。

【所蔵二胡以外の写真は、沈正國師と、台湾の名人、涂明順師のwebsiteよりお借りしました】
二胡は楽器であると同時に、このように伝統工芸品でもありますので、哀愁を帯びた音色以外にも
眼で楽しむという魅力があるのです。

二胡はいいですねー。
たまには、二胡のお話をします。今回は二胡の琴首の美しさについてお話ししたいと思います。
二胡の琴棹の上部、先っちょの部分は、琴首 または 琴頭 と呼ばれています。
二胡の三大名産地である、北京、上海、蘇州 では、長い歴史の中でそれぞれに見た目の特徴も
少しずつ異なる伝統の形が進化してきました。二胡の琴首にもその違いがよく見て取れます。
二胡の琴首の伝統的でかつ代表的なデザインである、月弯頭 (げつわんとう)。
真上から見たら月のように見える牛骨細工の頭と、湾曲した首が特徴です。
現在、世界中で弾かれている二胡の殆どが、この琴首のデザインであると言っても過言ではありません。
左から、北京、上海、蘇州 の月弯頭です。微妙な違いがお判りになるでしょうか。

北京は首が長く、上海は月が扁平で、蘇州は月が大きい
という伝統的な特徴の違いがあります。
次の3把の二胡は私が所蔵している、蘇州二胡2把と、蘇州二胡に近い琴首の形の江西省の二胡です。
無錫名人、萬其興(ばんきこう)製作の蘇州二胡。細工は牛骨ではなくすべて象牙を使用しています。

同じく無錫名人の、陸林生(りくりんせい)製作の蘇州二胡。銀線細工を施しています。

江西省の名人、辜存雄(こそんゆう)製作の二胡。琴首は蘇州に近いですが、シンプルに装飾を一切排しています。

月弯頭の琴首に関しては、私自身はこれらの蘇州型のフォルムが一番気に入っています。
さて、このような代表的な月弯頭の琴首以外にも、長い歴史の中で様々な意匠の琴首が産み出されました。
私の所蔵している別の2把の二胡と二泉胡も独特の琴首デザインを採用しています。
上海の国宝級大師である王根興(おうこんこう)製作の二胡(右)と二泉胡(左)です。

琴首のデザインは、1世紀前の中国の名文をモチーフにした荷塘月色(かとうげっしょく)
つまり、蓮の池と月明かり というテーマの彫刻です。
このデザインと彫刻は、王根興の直弟子で、伝統音楽研究家として著名な、沈正國(ちんしょうこく)師の
手によります。下の写真は、彫刻をする前の沈正國師自身のスケッチ画です。これは新しい意匠なのです。

歴史が産み出した、デザイン琴首の代表的なもののひとつに、龍頭(りゅうとう)の琴首があります。
これは伝統的かつオーソドックスな龍頭のデザインです。非常に繊細で美しい彫刻です。

100年以上前の古楽器の龍頭。素朴なデザインですね。

他にも多くの琴首の形がありますので、少しご紹介したいと思います。
伝統的な模様である回紋頭(左)と、沈正國師が縁起の良い「吉祥図」を主題にデザインした祥雲海上(右)。

これも縁起物の鳳凰頭(左)と壽桃頭(右)。

これは武漢の名人、曾憲勇(そうけんゆう)の新デザインの優美な鳳凰頭です。

これらは2把ともに馬頭です。モンゴルの馬頭琴の影響があるかのも知れません。

巻書頭(左)と小提琴頭(右)。小提琴とは中国語でバイオリンのことです。
二胡はバイオリンより500年以上歴史が古いので、この巻書のデザインがシルクロードを経由して
ヨーロッパに伝わり、バイオリンのヘッドのデザインに影響を与えたかも知れませんね。

如意頭(左)と蝙蝠(右)。仏具の如意棒やコウモリまでデザインされているのは驚きです。

【所蔵二胡以外の写真は、沈正國師と、台湾の名人、涂明順師のwebsiteよりお借りしました】
二胡は楽器であると同時に、このように伝統工芸品でもありますので、哀愁を帯びた音色以外にも
眼で楽しむという魅力があるのです。

二胡はいいですねー。
モンゴルの馬頭琴はテレビで見たことありましたが
二胡って始めて知りました。