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2024年12月号

2024年11月7日(木)発売
特別価格:1650円(税込)
表紙の人:天海祐希さん

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そろそろ本気でエコライフ
「プラなし生活」をはじめよう!

そろそろ本気でエコライフ 「プラなし生活」をはじめよう!

日常生活のあらゆる場面で使われ、ごみ問題など環境への負荷が深刻化しているプラスチック。
家の中のプラスチックを減らすためにできることから始め、環境だけでなく自分にもやさしい暮らしをはじめましょう。

プラごみの現状を知る

国内の海洋研究所・研究員として年数回、長期の海洋調査を行っている中嶋さん。
海洋プラスチック問題の現状について解説いただきました。

生物海洋学者・博士
中嶋亮太さん
海洋関連の大手研究機関で海洋プラスチック問題について研究を行う。
主著は「海洋プラスチック汚染」(岩波書店)、「狙って獲りにいく!科研費」(すばる舎)。

プラごみの排出量は日本が世界で第二位

2021年に世界で生産されたプラスチックの総量は約3億9000万トン(添加物を含まず)。
これは地球上に存在する人類の総量とほぼ同じ重さ(2021年の世界人口は約79億人。1人50㎏の計算で約3億9500トン)。

また、プラスチックの生産は、1950年頃から盛んになり、過去約70年間に作られたプラスチックの総量は92億トン。
そのうちごみとなったのは70億トンでさらに46%が食品包装などに使われる容器包装です。

そして、ひとりあたりの容器包装プラスチックの年間消費量は、1位がアメリカ、2位は日本(2014年)。
日本では、あらゆるものが過剰に包装されていることになります。 

さらに、過去約70年間に世界中で廃棄されたプラスチックのリサイクル率は約10%に過ぎず、残りの14%は焼却、76%は埋め立てか投棄で自然環境に漏れ出たと考えられます。

ある推定では2016年に900万〜1,400万トンのプラごみが世界の海洋に流出していると考えられ、何も対策を講じなければ、2040年には2300万〜3700万トンに達すると予想されています。

環境ダメージだけでなく人体への健康リスクも

プラスチックは丈夫で腐らないため、流出しても微生物に分解されることはほぼありません。
自然環境を汚染し続け、崩壊してなくなるまでに数百年〜千年以上はかかると考えられています。

多くの生物がプラスチックを誤って食べており、命を落とすことも含めて環境に与えるダメージは計り知れません。

また、微細になったプラスチック粒子(マイクロプラスチック)は、食べ物、飲み水、吸う空気を通じて人体に入り込んでしまいます。

ひとりあたりのプラごみを1/3ずつ減らそう!

これまで日本ではプラごみをリサイクルの名目で海外に輸出してきましたが、近年、輸出ができなくなり、国内に溜まり続けています。

2021年に国内で発生したプラごみは824万トンで、うち家庭ごみを含む一般系廃棄物の量は419万トン。
そのうち1/3の140万トンは日本が海外に輸出していたプラごみの量(143万トン、2017年)とほぼ同じです。

つまりひとりひとりが使い捨てプラごみの排出を1/3ずつ減らせば、日本のごみ問題を大きく解決できるはずです。

人口ひとりあたりの
容器包装プラごみの排出量

UNEP(2018)より

世界で捨てられるプラごみの内訳

Geyer(2020)より


“プラなし生活”をはじめる&続けるコツ

「プラなし生活」の発案者で、脱プラのアイデアを発信してきた古賀さんに日常の様々なシーンで無理なく続ける秘訣を伺いました。

プラなし生活実践中の主婦
古賀陽子さん
電機メーカーの技術職勤務を経てフリーランスに。
海洋プラスチック汚染の深刻な実態を知り、主婦業のかたわらプラスチックフリーな生活を広める活動を行なう。

5年前からプラなし生活ウェブで情報を発信

「プラなし生活」をはじめたのは、プラスチック問題について詳しく知った2018年から。

プラスチックが分解されず、残り続けるという怖さから、私個人レベルでもプラごみを出さないようにしなくては、と思ったのがきっかけでした。

同じ年には中嶋さんの呼びかけで情報サイト「プラなし生活」(lessplasticlife.com)を開設し、情報を発信するようになりました。
このサイトでは日常生活で使い捨てプラスチックをなるべく減らすアイデアを紹介しています。

好きなことから少しずつ取り入れていこう

エコバッグや水筒を持ち歩く、レジ袋やペットボトルを買わない、使い捨てのカトラリーやストローをもらわない、コーヒーショップへカップを持参する(割引を受けられることも)……。
これらを実践されている人は少なくないと思います。

ただ、その次に何をすればいいのかわからない人が多いのでは?

私はハンドメイドが好きなので繰り返し使える「みつろうラップ」を作ってみました。
すると、簡単に可愛いものができてとても楽しかったんです。
使うたびにうれしくなり、こういう家事の仕方もあるんだ、と目からウロコでした。

その後もやりたいと思うことをひとつひとつ実践し、今にいたります。

ひとつでも達成すると自信につながります。
好きな分野から入って、少しずつ増やしていけば、楽しみながら長く続けられると思います。

モノ選びのものさしができ自分が望む暮らしができる

「プラなし生活」を始めると、以前よりも価格が高いものを買うことになり、「出費が増える」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

長く繰り返し使えるものを買うので、初期投資はある程度かかりますが、実は必要なかったものが自然とわかるようになり、むしろ出費は減っていくと思います。

それまでは当たり前のように買っていたものを見直すクセがつき、必要最小限しか買わないようになるんです。

結果、ものの数が減って暮らしがシンプルになり、気持ちにも余裕が生まれます。
さらに、環境にいいものを選ぶことで得られる心地よさや暮らしの本質に気づき、自分が望む暮らしが見えるようになります。

そして、環境のためだけでなく、自分を大切にする暮らしができるようになっていきます。

古賀さんが考える
プラなし生活を続けるための心得5か条

まずは、とにかく楽しむこと。
「やらなくては」ではなく、「これならやりたい」と思うことから始め、ゲーム感覚でやることをひとつずつ増やしていきましょう。

1. 好きなジャンルから取り掛かる
2. 楽しみながらまわりと共有する
3. 生活をシンプルにしていく
4. 買う前に本当に必要か
5. 検証する
6. 長く使えるものを選ぶ

プラorプラじゃない? 意外と知らない身近な素材

プラスチックは様々な種類があり、知らずに使っているものがたくさん。
例えば、ラメは合成樹脂に金属を箔づけしたもので、マイクロプラスチックになります。
不織布のティーバッグなどは熱湯を注ぐとプラスチックが放出されるリスクがあります。


撮影/安彦幸枝 スタイリング/佐野友美 イラスト/みやしたゆみ 
編集・文/坂口みずき 協力/UTUWA, AWABEES

大人のおしゃれ手帖2023年3月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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