最近、FODプレミアムに登録して、往年のフジテレビの名作ドラマを漁り始めた。
過去記事にも書いたが、僕はキムタクドラマが大好きだ。
『HERO』、『PRIDE』、そして『グランメゾン東京』
キムタクのドラマを夢中になって観てきた。
キムタクのドラマにハマりすぎて、中学生の頃は本気で美容師になろうと思ってた。
ビューティフルなライフを夢見ていたのだ。
さて、今回楽しんだのはキムタクが会社員の設定で始まる『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~』である。
いやあ、これはすごいドラマであった。
何がすごいのか。あらすじを順に追って説明していく。
キムタクの部屋が爆破される
一代で巨大企業「ミラクル魔法瓶」を築き上げた先代社長は死の間際、息子に遺言を残した。
「お前は社長の器ではない。後継者は金田一二三男(キムタクのこと)にしろ」
と。
そんな遺言は守られることなく、息子である大屋敷統一郎(藤木直人)は社長の椅子に座るやいなや、キムタクに言いがかりをつけてクビにしてしまう。
後継者にさせるわけにはいかないからだ。
突然無実の罪を着せられて会社をクビになり、部屋に向かってトボトボと夜道を歩くキムタクだが、なんと!
家を爆破されてしまったのだ。
後継者争いで、家を爆破...?
言いがかりで会社をクビにするのは理解できるが、家を爆破するのは完全に犯罪だ。
ゴルゴかよ。
下手したらキムタクは死んでいたのだ。
そしてそんな九死に一生を得た事件については全く触れられないまま、ごく自然に、当たり前であったかのように、キムタクはホームレスに転落していく。
会社都合の解雇なのになぜ失業給付金をもらわないのか
キムタクはいわば、会社の都合で一方的に解雇された人間である。
会社都合退職の場合は退職7日後から失業給付金がもらえるはずだ。
なぜ失業給付金をもらわずに一瞬でホームレスになるのか。
また家が爆破されたなら火災保険が降りてもよさそうだが、そんなこともなくあっという間にキムタクは転落していく。
ちなみに懲戒解雇の場合は「自己都合退職」と同じ扱いになって、失業給付金がもらえるのは3ヶ月7日後となるらしい。
それにしても、突然ホームレスに転落する設定はいささか強引であるように思える。
家を爆破された時点でキムタクの貯金は30円となっていた。
貯金30円に関して僕はキムタクを笑えない。
僕も無駄遣いしすぎて破産しそうになったことがあるからだ。
社会人2年目のことである。
彼女に振られてヤケクソになり、合コンに行きまくって破産した。
貯金が残り3万円になった。
家賃が払えるか払えないかの瀬戸際まで追い込まれた。
でもね、人間、破産しそうになっても全然大丈夫だよ。
「死ぬ気でやれよ、死なないから」
と言っていた人は死んだけど、「破産する気で大丈夫。死なないから」というのは間違いない。
僕も死んでないし、大丈夫。
6万円の魔法瓶が売れまくる
ホームレスになってから始めたホットドッグ屋が大ヒットして、どこかのファンドに1000万で買われることになった。
まぁそれはいい。
店の売却(EXIT)で手に入れた1000万で会社を始めたキムタクは、なんと!
魔法瓶を作り始める。
その魔法瓶は「2日経ってもお湯が冷めない魔法瓶」であった。
価格はなんと、6万円。
買わないだろ〜〜〜〜!!!
6万円の魔法瓶、買わないだろ〜〜〜!!!
プレイステーション4買えちゃうよ。
しかしドラマでは、6万円の「究極の魔法瓶」が新聞で紹介されたのがきっかけで、飛ぶように売れるようになる。
さすがに無理矢理すぎないだろうか?
そもそも誰が2日前のお湯やスープを飲みたいというのか。
2日経ったら作り直すよ!
たしかに遠足に魔法瓶があったら嬉しい。
外でも冷えたお茶が飲める。
デスクのコーヒーが冷めないと嬉しい。
いちいちコーヒーを入れ直さなくて済む。
でも別に、2日前のコーヒーを飲みたいとは思わない。
新しく作ればいいからだ。
一流のフレンチシェフが作ったとしても、2日前のスープは飲まないだろう。
南極に冒険に行く人や、ヒマラヤで登山する人にとってはありがたいかもしれないが、一般人は6万円の魔法瓶を買わない。
ある日突然、社員が全員辞める
先代社長が死に、息子の大屋敷統一郎の独裁色が強まってきた。
「あなた方の代わりはいくらでもいるんです」
と社員に言い放つ大屋敷に対し、社員たちは反発心を強めていく。
まぁ、実際に会社員の代わりはいくらでもいるんだけどね。
「俺がいなかったら会社回らないッスよ〜」
などと言ってる人が来月から来なくなっても、マジで会社は何事もなかったかのように回っていく。
これはドラマではなく、現実にあった話だ。
ある日のことである。
会社に勤め続けて20年以上の40代男性社員が会社を辞めた。
盛大な壮行会が開かれ、彼は皆に別れの言葉を告げて、惜しまれながら会社を去っていった。
僕は隣のチームだったのだが、彼がいなくなったらあのチームは大変なんじゃないかな、と思っていた。
が、壮行会の翌日。
みんな、何事もなかったかのように仕事をしていたのだ。
驚くほど無風だった。
彼がいた席が綺麗になって空いていた。
変化はただそれだけだった。
彼に限らず辞めた人の話はしない。忘れてはいないが、わざわざ話題にもならない。
特に大企業においては、会社員の99%は取り替えがきく歯車に過ぎないのだ。
歯車でもちゃんと回れば給料をもらえるから大丈夫だ!
良い歯車ライフを送ろう!
...それにしてもずいぶんと話が脇道にそれた。
そう、『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~』の「ミラクル魔法瓶」の社員たちは気骨があるのか、歯車扱いされてまで会社で働こうとはしなかった。
なんと、1,507人が一斉に退職してきて、金田一(キムタク)の元に集まってきたのだ。
もしかしたら給料が安かったのかもしれない。
次の就職先も決まらないまま1,507人全員が辞めるなんてことはさすがにありえない。
全員が辞めるのは最終回から一つ前の回なのだが、このあたりから脚本が完全にギャグ化し始める。
社長が突然家を失う
社員が全員辞めてしまうと、会社が潰れるのはわかる(実際には営業停止状態だったようだ)
しかしその後すぐに、社長がホームレスになっていたのだ。
ちょっと待て。
会社の倒産はあくまで会社という組織の責任であって、経営者個人には法的な責任が及ばないはずだ。
会社が借りた負債はあくまで会社で精算するものであって、社長の個人の財産は失われない。
藤木直人が突然ホームレスになるのは無理があるのだ。
まぁ、最終回は一気にギャグっぽくなるのでそこは気にしないでおこう。
最後は社員を全員説得し、会社に戻し、キムタクはまたミラクル魔法瓶と袂を分かって、新たな魔法瓶作りを始める。
そんなキムタクが新たに作り始めた魔法瓶とは...
...なんと、1週間お湯が冷めない魔法瓶であった...。
いらない。
マジでいらない。
1週間お湯が冷めない、水がぬるくならない魔法瓶って誰が使うんだよ。
砂漠の中を歩く気かよ...。
そんな感じで、色々と設定がめちゃくちゃなドラマだったけど、香里奈がめちゃくちゃ可愛かったので全部OKです。