〜3/16開催 第7回KOIN塾 開催レポート〜
ついに最終回を迎えたKOIN塾。「これからの自分を一緒に考える」ことをテーマに、最終回でありながら新しい参加者(全体の半数以上!)も加わって最後の対話が始まりました。
新しく参加されたのは、もと保育士の経験を活かして地域で子育て支援を始めた方、オンラインで子ども向けの料理教室などを開催している方、起業を考えている中学の家庭科の先生、親の教育リテラシーの分野で2年前に起業した方、新しいビジネスの種を探している資産運用会社の経営者、転職活動中の20代の方など、関心分野も経験も実にさまざま。
そんな幅広い多様な参加者の皆さんと、前半では、講師の福冨さん(一般社団法人my turn理事)とともに「自分を活かして生きる」こと、「well-being」の考え方、そして「関係性を創造する」ことを軸に、これまでのKOIN塾の内容を振り返りました。
「自分を活かして生きる」
my turnのコンセプトでもある、「自分を活かして生きる」ことについて、これまでKOIN塾では、”VUCA”と呼ばれる先行きが見えない正解のない時代に、これからどんな仕事や働き方をしていくのか、社会と対話し、視野を広くもって自分の人生をデザインしていくことの大切さを探究してきました。
組織においては、働き手の職務内容をあらかじめ明確にして採用するジョブ型の雇用が導入され始めたり、副業やフリーランスが増えたり、組織に依存しない働き方を模索する動きが増えていること。また、福冨さんから紹介された「デザイン経営」でも、デザインという創造的な力がブランドの構築やイノベーションの創出に活用され始めていること。その本質は、「人(ユーザー)を中心に考える」ことにあると言われているように、徐々に組織よりも個人、モノよりも「人やコト」に重きを置いた働き方や経営のあり方にシフトしてきていることが見えてきました。
「well-being」の考え方
心も身体も社会的にもより良い状態を意味するwell-beingの考え方は、my turnのVisionでも目指されていますが、心と体の健康を意味する「wellnessウェルネス」だけでなく、他者を含めた社会全体で良い状態を志向する流れは、国際的にも、ビジネスの領域においても加速しています。
行き過ぎた資本中心主義による環境や人の健康への悪影響、そして新型コロナウィルスの猛威によって大きく変化した私たちの暮らしや価値観が、より「持続的な幸福」を求めていることも実感をもって学んできました。
「関係性を創造する」
自分らしさを活かしながらwell-beingな社会をつくっていくには、境界線をなくすこと。そのためには、「間をデザインしていく」ことが大事だと、福冨さんは強調します。
「三方よし」にもつながる、3つの“間”
時間(自分)セルフマネージメント
仲間(他者)トラストビルディング
世間(社会)ウェルビーイング
自分を活かす上で第1歩となる「自分を知る」ことは、自分一人では難しく、まさにKOIN塾でこれまで重ねてきたように、心理的安全性の中で「他者との対話」を通して発見していくものだということも、参加者の皆さんは体感してきたのではないでしょうか。
参加者から「(話を)聞くだけでなく話す時間が多いイベントだった」と感想が出るほど半分以上は対話の時間としてデザインされていたKOIN塾。それは、「予定調和を崩して、頭ではなく自分が感じたことをアウトブットする」ためだったと福冨さんは明かします。
たしかに職場や学校などの社会的な場では、感じたことよりも、頭で考えたアイデアや意見をずっと求められ続けてきた私たちは、自覚している以上に自分の感情というものに鈍感になっているのかもしれません。他者との関係性の中で自身が「直感的に感じたこと」を大事にしていくことが自分を知ることであり、同時に、他者からインプットをもらえることで新たな気づきを得て、そのプロセスによって自分でも認識していなかった「新しい自分」と出会うことにもつながります。
最終回の後半でも、参加者同士の対話によって学びや気づきを共有し合いました。
対話での共有
- サラリーマン時代、やりたいことは多いのに抑圧されていた。独立した今KOIN塾での出会いも含め、自分のやりたいことに対するレスポンスがあることが楽しい。
- もともとは表現するのが苦手だった自分が、やりたいことや気持ちを言葉にしたり共有したりしてきたことで、(自分らしさを活かした活動について)新聞での連載が決定するなど変化を実感。
- 間をつくっていくことが境界線をなくすことにつながっていくことを学び、あらためて教育の格差をなくしていきたいと思っている。
- 普段接点がない方ともつながれる多様性に満ちた場だった。課題や壁を越えていく刺激が好きだと再認識。
- 「自分の人生をデザインしていく」という言葉が印象的だった。(転職活動中のため)不安を感じていたところ、デザインしていこうとポジティブな姿勢になれた。これまでは自分の意見や感情を抑えてきたが、今後も色々な場に参加してアウトプットしていきたい。
全7回のKOIN塾には、毎回本当に多様な参加者が集まり、「心」で感じたことや各自が心から望む未来像を共有し合ってきました。伴走型リサーチャーとして毎回参加する中でオンラインであってもつながりを生み出し、対話を通じて考え方が変わることで参加者の皆さんの行動が変わっていく様子から、一人ひとりの内発性から社会に変化を生み出していく「内発的イノベーション」の可能性をよりいっそう感じることができました。
最後に一般社団法人my turnの代表理事・杉原さんが参加者の皆さんに伝えられていたように、自分の外側で次々に起こる物事や課題に埋もれるのではなく、受け入れた上で仲間とともにどう転換していくかという「視点の転換」、そして誰も答えを教えてくれない時代に課題を自分でどう捉えるかという「解釈」が「実践的な未来」を手繰り寄せるのだと、希望を感じながら、2021年度のKOIN塾を締め括りたいと思います。
これまでご参加いただいた皆さま、読んでいただいた皆さま、ありがとうございました!!