never too late 乙野四方字
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2024.11.08     カテゴリ:  乙野四方字 

   「僕が愛したすべての君へ」 乙野四方字 カバーイラスト shimano

「僕が愛したすべての君へ」 乙野四方字 カバーイラスト shimano

 同時刊行された『君を愛したひとりの僕へ』で描かれた世界の並行世界。

 人々が少しだけ違う並行世界間で日常的に揺れ動いていることが実証された世界。

 両親の離婚を経て母親と暮らす高崎暦(たかさきこよみ)は、地元の進学校に入学した。勉強一色の雰囲気と元からの不器用さで友人を作れない暦だが、ある夏の日の放課後、突然クラスメイトの瀧川和音(たきがわかずね)に声をかけられる。

「暦」
「ちょっと」
「なんで無視するのよ、暦」

 彼女は85番目の並行世界からパラレル・シフトして来たという。そしてそこでの暦と和音は恋人同士だという。そんな出来事がきっかけとなり、その後、ゼロ世界の暦と和音もまた、くっついたり離れたりしながら、おおむね充実した大学生活を送るのだが、一つの大きな疑問にぶつかることとなる。

 並行世界の自分は、自分なのか?

 『君を愛したひとりの僕へ』では栞を助けるために研究を続けた暦が「暦と栞が、絶対に出会うことのない世界」を目指しますが、その結末がどのようなものになったのか、本書の最終場面p.241~248で明らかになります。

 同時刊行の『君を愛したひとりの僕へ』と『僕が愛したすべての君へ』。どちらを先に読むか、どちらを先に読んでも構わないと思いますが、栞が交差点の幽霊になったのが14歳ということなので、まずは幼年時代のようすを、と思って『君を愛したひとりの僕へ』を先に読みました。

 しかし並行世界についての記述は『僕が愛したすべての君へ』が平易に表現されます。例えば、

 この世界には数多くの並行世界が実在し、人間は日常的に、無自覚にその並行世界間を移動している。移動は物理的に肉体が移動するわけではなく、意識のみが並行世界にいる自分と入れ替わる形で行われる。この時、時間は移動しない。(p.61)

 実はあるかもしれないparallel world。
 本当にあったりして、と思わせられる物語です。

DSC01167僕が愛したすべての君へ

2024.11.07     カテゴリ:  乙野四方字 

   「君を愛したひとりの僕へ」 乙野四方字 カバーイラスト shimano

「君を愛したひとりの僕へ」 乙野四方字 カバーイラスト shimano

 人々が少しだけ違う並行世界間で日常的に揺れ動いていることが実証された世界。

 両親の離婚を経て父親と暮らす日高暦(ひだかこよみ)は、父の勤務する虚質(きょしつ)科学研究所で佐藤栞(さとうしおり)という少女に出会う。たがいにほのかな恋心を抱くふたりだったが、親同士の再婚話がすべてを一変させる。

 このまま親の再婚によって兄妹になってしまうと、将来結婚することができないと思い込んだ暦と栞は、兄妹にならない世界へ跳ぼうとする。暦と栞それぞれの両親が、離婚しなかった並行世界parallel worldへ跳べば、暦と栞は兄弟にならずに済む。二人の未来を手に入れることができるはず。

 暦が跳んだのは両親が離婚しない並行世界だったが、唐突に闇の中に放り込まれて元の世界に戻されると、栞が脳死の状態で横たわっていた。

 栞もまた両親が離婚していない並行世界へ跳んだけれども、そこは交差点の中。すごいスピードで、車が迫ってくる。こうして栞は、交差点の幽霊になった。暦にとって栞がいない世界に意味はなかった。

 暦は栞を助けるために研究を続ける。
 栞が不幸にならない世界とは、「暦と栞が、絶対に出会うことのない世界」。

 同時刊行された『僕が愛したすべての君へ』は本巻の並行世界を描いています。暦が栞を助けることができるか否かは『僕が愛したすべての君へ』の最終場面を読むことによって明らかになります。キーワードは『名乗るほどの者ではありません』。

DSC01170 君を愛したひとりの僕へ




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