おはらい町とおかげ横丁
「おはらい町」と「おかげ横丁」の違いを知っていますか。
宇治橋から続く約800mの鳥居前町、“おはらい町”。
昔ながらの風情を残す土産物屋や飲食店が軒を連ね、江戸時代の人々が憧れた「おかげ参り」の雰囲気を楽しむことができます。
おかげ横丁は、その中ほどを入り口に、1993年に開丁した街並みのことを指します。
それぞれの違いを知れば、より深く伊勢の街歩きが楽しめます。
おはらい町とは
内宮の鳥居前町であったおはらい町には、明治初期まで「御師(おんし)」と呼ばれる下級神官の館が立ち並んでいました。
御師は、各地を巡って伊勢参拝を勧誘し、参拝者にはその案内を行うほか、宿を提供してもてなしました。今でいう旅行代理店やツアーコンダクターのようなもの、というとイメージしやすいかもしれません。
御師は庶民への御祓いや神楽も行っていました。「御祓い」をする館が立ち並んでいたことから、「おはらい町」と呼ばれるようになったと言われています。
おかげ横丁は、第61回神宮式年遷宮の年、1993年(平成5年)7月16日に開業しました。
明治以降、御師制度が廃止されたことや自動車での参拝客が増えたことなどから、おはらい町は徐々に活気を失っていきました。
昭和50年~60年代の来訪者は年間約20万人と、現在(2019年は590万人)と比較すると30分の1程でした。
この状況を危惧した(株)赤福が、おはらい町に伊勢路の伝統的な街並みを再現しようと開業したのが「おかげ横丁」です。
伊勢の暮らしや文化を体感できる場所として横丁を整備すると同時に、おはらい町の電線の地中化や石畳への舗装などにも取り組みました。
開業時は27店舗でスタートしたおかげ横丁ですが、その後も少しずつ店舗を増やし、現在の店舗数は55店舗となりました。
この図の、色がついているお店が現在のおかげ横丁の店舗です。
おはらい町通りと同じ地図で見ると、中心部の一帯とわかります。
今は、おはらい町にも店舗があるので、以前よりも違いが分かりづらいかもしれません。
「おはらい町」と「おかげ横丁」の違いは、地元の人でも知らないという方もいます。
「おはらい町」は江戸時代から続く歴史ある呼び名である一方、「おかげ横丁」というのが平成になってから開業した町と知ると、時代の変遷が分かって面白いのではないのでしょうか。
2022年2月18日 一部修正