社会 カテゴリーの記事一覧 - ohnosakiko’s blog

社会

オートガイネフィリアをめぐって

トランス女性の女性スペース問題で、「TRA」と「TERF」(トランスの権利擁護の活動家とトランス排除的ラディカルフェミニスト。いずれも蔑称とされているようなのでここでは「」付きで使う)は激しく対立している。対立というか並行線だ。 この話題をめぐっ…

『全共闘以後』の余白に小さい字で書き込む、私の「活動」

1.『改訂版 全共闘以後』(外山恒一、イースト・プレス、2018) 1950年代から60年代末にかけて盛り上がった学生運動は、72年のあさま山荘事件以降衰退し、若者は政治への関心を失った‥‥というこれまでの見方を否定し、主に80年代以降のメインストリームでは…

「美」とルッキズムをめぐるメモ

もうほとんどの人が忘れたと思われる宮崎県日向市のCMへの「ルッキズム」観点からの批判、ルッキズムに囚われがちな一人として悩ましい部分があった。 たとえば、スマートな人の外見が(そうでない人より)好みだということと、それを一般化して語ることとは…

人は知らぬ間に差別者になり、事後的に反差別を選び直す - 2

※20日の記事に追記したら、なぜかもう一つ追記付きの記事が上がってしまいました。とりあえずこちらは追記だけにします。前の記事の続きとしてお読み下さい。 ●追記/この後、またやりとりがありました。そこで思ったことなど。「差別」の定義が違うのかな。…

人は知らぬ間に差別者になり、事後的に反差別を選び直す

最近、Twitterで千野帽子さんとやりとりさせて頂いた。質問と回答が若干前後しているがそのまま掲載。 では人はいつ差別者となるのでしょうか? それは他人の属性に否定的な意味づけをするときです。つまり、差別者になるかならないかは、自分の選択なのです…

ジェンダー平等社会のエロの位相、あるいは欲望と配慮の関係

男性向けポルノや少年誌のエロ表現関連の話題について、twitterでずっと呟いていましたが、今の時点での自分の考察(仮説)をざっとまとめました。昨日、連ツイしたものに大幅加筆しています。 ● 女性への暴力的な性行為が快楽的に描かれるヘテロ男性向けポ…

「嫌悪感の表明」と「相互理解」の間

最近話題になっていた、セクシュアルマイノリティへの施策をめぐる千葉市長の一連のTweet(わかりやすくするため番号を振った) 1先ほど定例記者会見で、性別が同一である者とパートナーシップを形成している職員が介護休暇や、結婚休暇に相当するパートナー…

「理想」と「欲望」は切り分けできないし、「萌え絵」は「日本美術」ですよね(どっちかというと)

「萌え絵」が批判されるのは歴史がないからじゃない - 最終防衛ライン3 結論が最初の方に書かれている。 「萌え絵」も「理想」のひとつであろう。「萌え絵」が批判されるのは、誇張表現だからだし、誰かにとっては「理想」ではなく「欲望」にしか見えないからだ。現在「芸術…

「エロいかどうか」より「御しやすそうに見えるかどうか」では

‥‥‥と思うのだけど。エロばかりに焦点が当たっているのに違和感がある。 左は炎上しなくて右がエロいと炎上する意味がわからない。 pic.twitter.com/pY2P1q6eL1— Sugano Yoshihisa(E) (@koshian) 2016年10月17日 https://twitter.com/koshian/status/7880956…

地面に絵を描き、そこに入ること

数日前にTwitterで見た一枚の写真が、頭から離れない。RT@lostdope: 孤児院にて、イラク人芸術家によって撮影された写真。戦争で母を失い、寂しさのあまり母の姿を地面に描き、その中で眠りに落ちた女の子。。胸が切り裂かれる思いです。 pic.twitter.com/wP…

高畑淳子、そして母が息子に足を掬われること

女優・高畑淳子の息子で俳優の高畑裕太の起こした強姦致傷事件に関して、「親の責任はどこまで問われるのか」という話が連日メディアに出ている。 私には子どもがいないので、年頃の子どものいる友人たちに聞いてみると、異口同音に「22で世間では大人だと言…

「愛の言葉」とコミュニケーション強制ギブス

「社会に通用する奴」は多様化しなかった - シロクマの屑籠 ポスト工業化社会の労働者の人間疎外とは、生産ライン上で同じ肉体労働を繰り返すタイプではなく、コミュニケーションを強いるタイプになるのだろう。いや、もう既にそうなっているか。 この最後の…

魔女の秘密展

魔女の秘密展 Secret Witches Exhibition 2月19日から3月13日まで原宿ラフォーレミュージアムで開催される模様。 去年の夏、名古屋市博物館で見た。展示に工夫が凝らされており、特に処刑関係のブツは生々しかった。 最後には安野モヨコを始めとして漫画家や…

きものを「貴族の文化」にしたのは何か

英国人の日本文化論が「正しすぎる」「ぐぅの音も出ない」と話題に - with news(ウィズニュース) タイトルがちょっと煽り過ぎというか大袈裟に感じるが、小西美術工藝社のデービッド・アトキンソン社長という日本文化に詳しいイギリス人が、きものの価格の…

アートは騙しの手口の百貨店‥‥『だまし絵2』展

昨年の振り込め詐欺の認知件数は、前年に比べて約二割も増加したという。人は騙されまいと思っていてもうっかり騙され、被害者になってしまう。特にお年寄りを狙ったオレオレ詐欺は「困っているなら助けてやらねば」という身内感情につけこんだ卑劣な犯罪だ…

ピンクのダサ/イケが男性にわからないのは当たり前

数日前、「ダサピンク現象」関連の某記事に以下のようなブコメをつけた。 ohnosakiko (「女性はピンクが好き」という統計結果とダサピンク批判は両立するのだが、そこが理解されないのは多分一般的な男性にはダサいピンクとイケてるピンクの違い(その重要性…

中年女性の嵌っているもの

40〜50代の女性の嵌りやすい趣味と心理について少しまとめて書く必要があって、小手調べに大学の講義でアンケートを取ってみた。「皆さんのお母さんが今嵌っていること、夢中になっていることは何か、教えて下さい」と(回答は自由)。母親ではなくても親戚…

才能と処世術 (togetter「自由業の40歳の壁」を読んで)

自由業の40歳の壁 - wall of around 40*s - by竹熊健太郎氏 サブカル系のフリーライターは40歳越えると仕事がだんだん減ってくる、という話。以下tweetを抜粋して感じたことなど。 「サブカルは40歳越えたら鬱になる」というのは正確でない。「自由業は40歳…

AERAの特集にコメントしました(日本版ハウスワイフ2.0について)

本日発売の『AERA』6月16日号の特集「その学歴に、満足していますか?」の中の「高学歴ハイキャリアを捨てた日本版ハウスワイフ2.0」に、コメントを寄せています。 当ブログのこの記事を見ての依頼で、あらかじめメールで頂いた幾つかの質問について、電話で…

高学歴女子が新・専業主婦を目指す時代

かつて斎藤美奈子は『モダンガール論』の中でこう言った。「女の子には出世の道が二つある。立派な職業人になることと、立派な家庭人になること。職業的な達成(労働市場で自分を高く売ること)と家庭的な幸福(結婚市場で自分を高く売ること)は、女性の場…

作曲家の”嘘”と視聴者の期待

聴覚障害の作曲家 別人が作曲 NHKニュース 人生中途で耳が聴こえなくなった作曲家が障害と闘いながら交響曲などを書き、CDを18万枚も売り上げ、NHKスペシャルでも感動の涙を絞っていたらしい。ところが実は耳の状態悪化で、十数年前から別の人に構想を伝えて…

気持ちだけ山の手

東京から転勤などで名古屋に来た人は、市内の東の方に住みたがるという。地下鉄の駅でいうと覚王山、本山、自由が丘、八事、東山公園、星ヶ丘、一社といったあたりだ。交通の便が良く、緑もあり、買い物にも便利で、オシャレな店も多い。通りから一歩中に入…

「再び大人になる」ということ

デキ婚しとけばよかった - Hatelabo::AnonymousDiary 「産んで育てられるという体制が整ってから子どもを作ろうとしても年齢的になかなかできず、つらい不妊治療をするほど欲しいかというとそうでもないが、なんとなく子どもがいたらいいだろうなと思いなが…

「山本太郎お手紙事件」に見るメシア願望

話題としては既に古くなった、山本太郎参院議員が秋の園遊会で天皇に手紙を渡したという”事件”。この件で最初に思い出したのは、かつて斎藤環が『新潮45』9月号の速水健朗との対談「「ヤンキー政治」にご用心!」で、山本太郎について言った「ニューエイジ…

失われた街の人々

『あまちゃん』で描かれているのは岩手県北三陸市という架空の街だが、ロケ地が同県の久慈市だったため、舞台は実質、久慈市ということになっているらしい。 岩手県北西部の海沿いに位置する久慈市も津波の被害を受けたものの、死者2名、行方不明者2名に留…

八代亜紀の絵を描いたのは「誰」か?

一昨日発売の『週刊文春』5月23日号に、”「『八代亜紀作』の絵は私が描きました」 大物演歌歌手の盗作疑惑を告発”という記事が3ページに渡って掲載されている。 ●リード 演歌の大御所・八代亜紀は「画家」としての顔も持つ。箱根には広大なアトリエがあり、…

旭日旗というキッチュと「私を傷つけたものを思い出させるな」

MoMA(ニューヨーク近代美術館)で開催中の『TOKYO 1955−1970:新しい前衛』展で、旭日旗のイメージが使われている横尾忠則の作品が展示され、同展の広告としても使用されていることに、在米韓国人団体が抗議している。 MoMAに展示された横尾忠則氏の作品、…

退屈で倒錯した話 - 「森美術館・会田誠展への抗議」問題についての雑感

(↓多数のブクマの内容も興味深いので、関連記事のエントリーページを貼っておきます) はてなブックマーク - 森美術館問題|ポルノ被害と性暴力を考える会 はてなブックマーク - 森美術館への団体抗議文|ポルノ被害と性暴力を考える会 はてなブックマーク …

父の娘たち・・・渡邉泰子と木嶋佳苗(‥‥そして私)

一週間ほど前に美容室で手に取った『婦人公論』誌上にて、北原みのりが東電OL殺人事件の被害者、渡邉泰子と、結婚詐欺・連続不審死事件の被疑者、木嶋佳苗との共通点を、「父の娘」であることだと書いていた。それが二人の性的逸脱行動になんらかの影響を及…

半ズボン要求のためのスカート着用の政治的効果

校則に抗議するためスカートをはいて登校したイギリスの美少年 - GIGAZINE 女性は女装も男装も可能だが、一般的に男性は男の格好しかできない/しないことが多い。そして学校や軍隊の制服はジェンダー規範に則った正装に準じるものだから、男子のボトムは大…