小笠原の生き物
小笠原の気候は年間を通じて温暖であり(年平均気温23℃)、気候帯は亜熱帯に分類されます。同様の気候帯に位置するマリアナ諸島やハワイ諸島などと比較すると、気温の年較差が10℃と大きいことが特徴です。また、年降水量は1,280mmで、雨はそれほど多くありません。
国内では、小笠原諸島のほかに屋久島、奄美大島、沖縄本島などの南西諸島も亜熱帯に分類されますが、南西諸島は大陸島(過去に大陸と地続きであった島)であるのに対し、小笠原諸島は海洋島(大陸と一度も地続きになったことがない島)であり、それぞれの生態系の特徴は大きく異なります。
小笠原の生物は、鳥に運ばれたり、海流や風に流されたり、流木に付着したり、すべて何らかの方法で島に偶然たどり着き、島の環境に適応して生き残ったものの子孫です。小笠原に定着できた種は、長い時間をかけて独自の進化の道を歩み、その中には固有種へと進化するものも出現しました。
特に、陸産貝類(カタツムリ)や植物においては、今なお進行中の進化の過程が見られ、種分化の過程を良好に保存していることから「進化の実験場」と言うことができ、2011年(平成23年)に世界自然遺産に登録されました。
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陸の生き物
陸に棲む生き物は世界中で小笠原でしか見ることのできない動植物が多く、アカガシラカラスバトをはじめとする鳥類やオガサワラタマムシなどの昆虫類、オガサワラオカモノアラガイを含む陸産貝類やムニンノボタンといった植物など、特徴的な生き物が観察できます。
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海の生き物
小笠原の海は「ボニンブルー」と呼ばれ、同緯度にある沖縄の海とは異なり、濃い青色をしています。サンゴ礁や色とりどりの熱帯魚、海中へ向かって鋭く落込む黒い岩肌など、多彩な海中景観が広がっています。
小笠原諸島の周辺には数多くのイルカやクジラなどが生息しており、日本最大のアオウミガメの産卵地でもあるなど、海域においても様々な生物を見ることができます。
小笠原の魚類については、固有種の判断が難しいことから陸上の生物ほど研究が進んではいませんが、それでも、淡水魚ではオガサワラヨシノボリ、海水魚ではオビシメやミズタマヤッコ、ミナミイカナゴなどが固有種であるとされています。
また、他地域と小笠原周辺では体色が異なるなど地理的な変異が見られる種(ミナミイスズミなど)も数多く知られています。