【常盤貴子さんに聞く】新聞や本は役作りの糧 | 新聞科学研究所

【常盤貴子さんに聞く】新聞や本は役作りの糧

俳優 常盤貴子(ときわ・たかこ)さん

1972年生まれ。神奈川県出身。「愛していると言ってくれ」、「ビューティフルライフ」などの人気ドラマに主演。2019年にはエッセー集「まばたきのおもひで」を刊行した。22年に映画「われ弱ければ 矢嶋楫子伝」が公開された。


活字は「答えがない」から想像がふくらむ

 

 俳優として一番好きな作業が「役作り」だ。そのリサーチに活字からの情報は欠かせない。たくさんの本を読み進めていくと、ある瞬間、点だった情報が線になっていく感覚になる。楽しいだけでなく、それが俳優としての自信にもつながっている。


 活字は「答えがない」のも魅力だ。文章の意味や背景を自分なりに埋めていくことができる。文中の一言から何を読み解くか。自分次第でいくらでも広げられる面白さがある。想像力だけでどこまでもいけて、いつも頭の中をハチャメチャに楽しい状態にしてくれる。

 

夫がおすすめの記事をスクラップ


 タブレットなども普及しているが、新聞は紙で読む。夫婦の間では、お互いに良い記事を見つけたらテーブルに置いて相手が見られるようにしている。「これは読んだ方がいいよ」という感じで。夫が記事をスクラップしている。私が取っておきたい記事も貼っておいてくれる。


 紙の新聞の良さの一つに、自分が求めていなかった情報が飛び込んでくる魅力がある。「読んで良かった」という気持ちになる。特にそれまで全く興味のなかった人物の話が面白い。東京にいるだけでは知り得ないことも多いので、地方に行った際は地元の情報がたくさん載った新聞を持って帰るようにしている。

 

ドラマや映画よりも面白い現実を教えてくれる


 お芝居は自分の経験が基になる。経験が多くあればあるほどいいが、自分の人生だけでは賄い切れない。その部分を活字が補ってくれる。ドラマや映画ではストーリー上、「こんなことあり得ない」ということが起きる。でも、現実にはもっと面白いことが起きている。新聞や本は「それが人生だよ」って教えてくれる。

 

2021年11月10日公開