ファンドマネージャーが行く!Part9(ミズノ テクニクス株式会社編) ~FM 視点の現地調査レポート~|三井住友DSアセットマネジメント
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ファンドマネージャーが行く!Part9(ミズノ テクニクス株式会社編) ~FM 視点の現地調査レポート~

第9回「ファンドマネージャーが行く!」では、ファンドマネージャーに同行する形で「ミズノ テクニクス株式会社 養老工場」での工場見学の様子をレポートします。 工場見学に伺ったのは弊社、三井住友DSアセットマネジメントの運用部に所属する部奈、尾形、アロエです。

※本資料では個別銘柄に言及していますが、例示を目的とするものであり、当該銘柄を推奨するものではありません
※調査日: 2024年9月13日


ミズノ テクニクス株式会社(以下、ミズノ テクニクス)とは・・・?

ミズノ テクニクスはスポーツブランド「ミズノ」を展開するミズノ株式会社(以下ミズノ)が100%出資する製造子会社であり、野球、ゴルフ、バドミントンなど、主にスポーツ用品を製造する会社です。
親会社であるミズノは、日本を代表する総合スポーツメーカーとして知られており、各スポーツ分野においてプロなどトップ層仕様の高機能製品から一般消費者層向けの製品まで幅広くスポーツ用品を製造しています。

最初に、ミズノ テクニクス株式会社代表取締役の寺下正記様から工場についての説明をいただきました。
今回訪問した「ミズノ テクニクス養老工場」は、1943年から稼働している同社の主力工場であり、長年にわたり多くのスポーツ選手を支えてきました。創業者である水野利八氏の「ええもんつくんなはれや」という言葉を受け継ぎつつ、製造過程から徹底的に無駄を省き効率化にも力を入れているそうです。

では、さっそく工場の内部を見学!

①ゴルフ ②バドミントン ③野球 ④カーボン製品の4分野の製造過程を見学しました。

① ゴルフ

“YORO JAPAN CRAFTED”という言葉を聞いて、ピンとくるゴルフ愛好家も多いのではないでしょうか。Yと刻印されたクラブは養老製のオーダーメイドクラブの証(あかし)であり、ユーザーへの綿密なヒアリングと高い技術力により生産されたそのクラブはゴルファーの憧れのクラブとなっています。
部奈は、「養老工場ではプロ用と一般用が同じ工場内で製造されているため、一般用でもその高い技術力の恩恵を受けやすいと思います。このような点から、同社のゴルフ用具は一般用もクオリティが高いのだと考えています。製造工程を拝見し、前にも増して好きになりました!」と話していました。
併設しているゴルフミュージアムには、歴代のミズノ製クラブが並んでおり、圧倒されました。
元世界ランキング1位のルーク・ドナルド選手も養老工場を訪れたことがあるそうです。

②バドミントン

バドミントンラケットは、バランスや質量といった条件が非常にシビアな製品です。1本ずつ丁寧に作られ、多くの工程が手作業で、目視による確認が行われていました。
担当者は「様々な選手に使っていただき、感覚の中でミズノ製品の品質の良さを実感していただければ」と仰っていたことから、"使えばわかる“ミズノ製の良さに自信を持たれていることが感じられました。

③野球

養老工場では野球用品だけでもボール、ヘルメット、木製バットなど、様々な製品を製造しています。例えば木製バットの場合"クラフトマン"と呼ばれる職人が、原木から主にプロ向けの硬式野球用木製バットを製作しています。製作過程は以下の通りです

  1. 仕入れ(主にカナダ産のメープル、ホワイトアッシュ)

  2. 仕分け(硬式用、軟式用に分類)

  3. 中間削り

  4. クラフトマンによる細かな用途別・種類別の仕分け

  5. オーダーに応じた削り

クラフトマンによるバット削りの様子

プロ用のバット削り工房では、選手からの詳細なヒアリングを行ったうえでオーダーメイドのバットを提供しています。
今回は、クラフトマンの名和民夫さんにバット削りを実演していただきました。名和さんは、過去にイチロー選手や松井秀喜選手を担当した経験を持つ名クラフトマンです。

左から2番目の方が、今回実演をしていただいたクラフトマンの名和さんです。

名和さんによると、バットを削る際は原木のどこを取ると最も良いバットになるかを見極めるそうです。グリップ部分だけでなく、選手が持った際のバット全体の雰囲気も重視しているとのことです。
また、塗装分を考慮して、完成品から0.2mm、20g少なく削るなど、細かな配慮がなされています。
まさに職人技でした!

削りたてのバットと、塗装後の完成品

④カーボン事業

現在、スポーツに続く第2の柱として期待されているのがカーボン事業です。
カーボンは軽量かつ耐久性に優れた素材であり、様々な製品に使用されています。例えば、ETCのバー、燃料電池車の水素タンクなどにも採用されています。
カーボン製のバレーボールの支柱を見せていただきましたが、その軽さには驚きました。従来の支柱とは異なり、片手で持ち上げられるほどの軽さでした。

次に、ゴルフのカーボンシャフトの製造工程へ。ミズノ独自の「ブレーディング装置」を使用した製法により、一般的な製法よりも縫合性が向上し、振動減衰(肘への負担軽減)にも効果があるそうです。この製法は手間がかかるのが難点ですが、様々な工夫により効率化が図られているそうです。

運用部の視点👀

部奈
子供のころから同社の製品にお世話になってきましたが、改めてええもんを使わせていいただいてきたんだなと実感することができました。
そして同社の製品は一般の方に限らず、プロと呼ばれる各スポーツのトップレベルの選手にも愛されています。その背景には高い技術力があると考えていました。そして実際に工場を見学させていただくとそれぞれの工程において職人技と言えるような技術が使われており、同社の掲げるクラフトマンシップに対するこだわりを改めて確認させていただきました。

尾形
同社の製品づくりに対する考え方、哲学は今回の工場見学の見どころの一つだったと思います。説明してくださった方々は、皆さん一様に高品質な製品への強い意識を持っており、特にバット製造の実演は同社の重視するクラフトマンシップ体現するものだったと思います。コンマミリ単位、数グラムでの削り出しの調整は圧巻でした。

アロエ
同社の製造技術の高さを改めて感じることのできる時間でした。製品一つ一つを丁寧に、また高い技術を持ったプロの職人によって作られることが、プロ向けのみならず一般消費者向けの製品においても品質の高い製品の背景にあることを知ることができました。特にバットの製造見学では到底まねのできない巧の技術を見ることができ、技術力の高さを実感しました。

おわりに

今回はファンドマネージャーの取材に同行する形で「ミズノ テクニクス 養老工場」の様子をお届けしました。 “高品質”という言葉はよく耳にしますが、実際の製造過程を見てその高品質の裏側を肌で感じているファンドマネージャーの姿が印象的でした。 製造過程には職人技が多く使われており完全な自動化は難しい面もあるとは思いますが、企業努力により品質を落とさずに生産性を高めることを目指す同社は、技術と伝統、そして効率化の調和を図りながら、今後も高品質なスポーツ用品の製造に挑戦し続けると感じました。

左から、運用部の部奈、尾形、アロエです。

最後になりましたが事業所見学・取材をご快諾いただきましたミズノ テクニクス様にこの場を借りて感謝申し上げます。
それでは今回の「ファンドマネージャーが行く!」は以上とさせていただきます。
ご覧いただきありがとうございました。

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