直居敦(なおい・あつし)|note

直居敦(なおい・あつし)

日本経済新聞社に入社。証券部、日経マネーなどを経て、今はマーケット・経済専門チャンネル、日経CNBCで主に「朝エクスプレス」という番組を担当しています。幅広ーいことが経済やマーケットとつながっているため、どうしてもいろいろなところを「見て」「歩いて」「感じる」――日々です。

直居敦(なおい・あつし)

日本経済新聞社に入社。証券部、日経マネーなどを経て、今はマーケット・経済専門チャンネル、日経CNBCで主に「朝エクスプレス」という番組を担当しています。幅広ーいことが経済やマーケットとつながっているため、どうしてもいろいろなところを「見て」「歩いて」「感じる」――日々です。

マガジン

  • 市場徒然歩記

    直居敦が「見て」「歩いて」「感じた」ことを書いてます。「朝エクスプレス」では毎日誰か、興味深いゲストをお迎えしています。番組は朝からせいぜい午前中。午後からは打ち合わせにいったり、証券取引所のある茅場町、日銀の本石町、その他、てきとーに色々なところをうろうろしています。そんななかで感じた雑感が「市場徒然歩記(しじょうつれづれあるき)」。投資のヒントがあるかもしれないし、全然ないかもしれません(笑)。

最近の記事

12月利上げへ地ならし充分--日銀会合&植田総裁会見レビュー

10月31日(木)、日銀金融政策決定会合とその後開かれた植田総裁の会見。自分が特に注目していたのは(というより取材関係者の関心が集中していたのは)、①「金融市場の不安定な状態」についての言及、②「時間的余裕」という表現の行方――だったと思う。現状維持の決定とともに出された展望リポートの表現が、ほとんど前回7月から変化がなかったことも併せて考えると、今回は次回12月利上げへ向けての“地ならし”を充分にしたと言えるのではないかーー。 「金融市場の不安定な状態」はかなり落ち着いて

    • “石破総裁”で市場大荒れ!--安堵のため息は日銀か……

      9月27日(金)の市場はまさしく大荒れだった。焦点はもちろん自民党総裁選。麻生太郎副総裁が「高市早苗経済安全保障相を支持する」との一部報道もあり、朝方から株式市場が最も好む「リフレ政策」「高圧経済」への期待感が高まっていた。午後、1回目の投票で高市氏がトップとの結果を横目でにらみながら円安・株高が加速。1ドル=146円台半ばまで円安が進行、日経平均株価はこの日、903円93銭高の3万9829円56銭で高値引けした。 円安・日経平均高値引けから一転… この夏は、8月5日に日

      • 記憶に残る8月の市場振り返りーー日経平均は過去最大の値幅に

        大荒れで始まった8月の市場。長く市場をみる仕事をしてきた身にとって、2024年8月は記憶に残る、そして記録的な1カ月だった。日経平均株価は月間の値幅(高値と安値の差、終値ベース)が過去最大の7189円となった。振り返ると、日米の金融政策の“逆”方向性が、背景のひとつだったと思う。7月末の日銀金融政策決定会合で日銀が“ややサプライズ”の利上げ。植田和男総裁は会見で今後も利上げを継続する姿勢を鮮明にしたと受け止められた。一方、8月2日に発表された7月の米雇用統計をきっかけに米景気

        • 映画“関心領域”レビュー A面・B面

          映画「関心領域」その無関心、本当に他人ごとですか?(映画レビューA面)※推奨BGM:マーラー交響曲5番アウシュビッツ収容所の壁のすぐ隣で幸せな家族生活送る家族、ルドルフ・ヘス(収容所長。ナチス副総統のヘスとは別人)を描いた映画「関心領域“The Zone of Interest”」を観てきた。5月24日から日本で公開されているこの映画、実は5月末から6月上旬1週間の間に2回観た。若干難解なところがあって、どうしても確かめたい気持ちがあり、2回観ざるを得なかった。 圧倒的に薄

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        • 市場徒然歩記
          156本

        記事

          “NISA円安論”を憂う

          円安が止まらない。原因は? 市場のことだから、ひとつだけが理由ということはないのだが、的外れな指摘は困る。そうした思いで、6月20日(木)の朝、日経CNBCの番組、朝エクスプレスで「“NISA円安論”を嗤う(わらう)」とコメントした。その後もいろいろな人の意見を聞いて考えているうちに、「嗤う」は適切ではない、「憂う」べき話だと思い直した。 「嗤う」に込めたのは意地悪な気持ち…… 元々のタイトルである「嗤う」に難しい漢字をあてているところには、少し意地悪な気持ちを込めていた

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          金融経済教育推進機構(J-FLEC)、金融教育とどう向き合うか?

          政府が力を入れる資産運用立国――。株高、新NISA(小額投資優遇制度)と盛り上がりを感じさせる中、もう一つの肝である金融教育を担う金融教育推進機構(J-FLEC)が4月発足。4月25日、初会合と安藤聡理事長の就任会見が開かれた。ポイントと今後の注目点、そして個人はどう向き合ったらよいかなどをまとめた。 J―FLECは何をするのか? 会見で金融経済教育推進機構(Japan Financial Literacy and Education Corporation J-FLEC

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          “日銀の歴史的政策転換”で考えた3つのこと――中銀ウィークを越えて

          3月19日(火)日銀が異次元緩和政策からの脱却、正常化への第一歩に踏み出しました。ポイントは①マイナス金利政策の解除 ②YCC政策の撤廃 ③ETF、REITの新規買い入れの終了――。その後の米FOMCも含めてすでに一連の報道が出尽くした週末ですので、自分なりに特に印象に残った3点について書き記しておきます。改めて植田日銀の今後の金融政策を考えるうえで、大事なことだと思っています。   (1)“専門家”の読み違い――「4月」ではなく「3月」だった ぎりぎりのタイミングまで、

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          6割の投資家が今年中の最高値更新“あり”!--配信番組でのアンケート調査から

          “6度目の正直”で33年10カ月ぶり高値へ 連休明け9日(火)は、日経平均株価の終値が385円76銭(1.2%高)の3万3763円18銭。昨年7月3日に付けた終値ベースの昨年来高値、3万3754円を超え、33年10カ月ぶりの高値圏で取引を終えた。日本の連休をはさんで米国金利が落ち着きを取り戻し、米エヌビディアがおよそ1カ月半ぶりの高値を更新。日本でもハイテク、半導体関連の上昇が目を引いた。ちなみに昨年の秋から暮れにかけて、この昨年7月の高値を取引時間中に越えながら、終値では

          6割の投資家が今年中の最高値更新“あり”!--配信番組でのアンケート調査から

          自信を持ってお勧めできる「11+1冊」    直居的2023年ブックレビュー

          2023年もたくさんの良書に出合うことができました。広い意味で今の経済と社会、歴史、未来、自分を知るうえで貴重な糧になっていると考えています。あともちろん単純な楽しみ。僕の場合、傾向としてここ数年は資本主義の問題、人類学的なアプローチに惹かれていると思います。原則として2023年発行(22年11月以降くらいから)のものを10冊選びと思ったのですが、どうにも11冊になってしまい(笑)、かつ23年の本でないものが1冊、とにかく「これは関心のある人に薦めたい!」と感じたものを優先さ

          自信を持ってお勧めできる「11+1冊」    直居的2023年ブックレビュー

          2024年元旦の紙面から 政治不信、国際社会の分断が問われている

          元旦紙面、各紙のアタマとワキ、社説のタイトル一覧 <日経> ・企画アタマ 昭和99年ニッポン反転 解き放て 世界に出よう ・ワキ イオン、パート7%賃上げ 今春、国内最多40万人対象 ・社説 分断回避に対話の努力を続けよう <朝日> ・アタマ 安倍派「中抜き」裏金8000万円か 派閥に納めず 下村氏約500万円 ・ワキ企画 8がけ社会、縮小の先に 現役世代が8割に減る2040年 作家・多和田葉子 ・社説 紛争多発の時代に 暴力を許さぬ関心と関与を <読売> ・アタマ 移植見

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          2023年、日経平均28%上昇 来年こそ“予告が実現する年”になるか?

          12月29日(金)、東京証券取引所は大納会。今年の日経平均株価は、昨年末に比べて7369円67銭(28.2%)上昇して3万3464円17銭で取引を終えました。上昇率28%はアベノミクス初動の2013年(57%)以来、10年ぶりの大きさ。株式市場にとっては予想以上によい環境のまま終えたと思います。 株価上昇を支えた企業改革、外国人買い、米利下げ期待・・・ 力強い上昇の背景は大きく3つくらいでしょうか。 ①    昨年再編された東証の市場改革。今年になってPBR1倍割れ企業に

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          『金融教育。誰が、何を、どのように?』製作note

          11月30日(木)15時45分から初回放送の金融市場ドキュメント④「金融教育。誰が、何を、どのように?」。先週までに様々なチェック、社内のもろもろの手続きやナレーション収録なども概ね終えた。ホっと一息ついた感じがある。 国家戦略になった金融教育 この金融市場ドキュメントのシリーズでは、③として「お金の話。誰かに相談できますか?」という番組を作って7月下旬に放送している。③と④はいわば一対、車の両輪のような関係にある。11月20日に臨時国会で金融経済教育推進機構の設立に関す

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          金利!金利!金利!ーー波乱の9月マーケット、米政府機関閉鎖懸念など暗雲

          米金利に翻弄される市場――ナスダックは9月に5.8%下落 金利、特に米国の金利の動きに翻弄された印象の9月のグローバルマーケットだった。9月月間ではNYダウ工業株平均は3.5%下落。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は5.8%と大きく下落した。ハイテク、グロース株は金利の影響を受けやすいという教科書通りの展開。ナスダックの下落率は昨年12月以来9カ月ぶりの大きさだった。 TOPIXは月間で今年初めての下落 一方、日経平均株価は9月月間で2.3%の下落。米国に比べれば

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          色々と話題の映画『バービー』――“はちゃめちゃ”だが深い……。

          原子力爆弾の開発をリードしたオッペンハイマーを描いた『オッペンハイマー』とともに全米で大ヒット中の映画『バービー』を見てきた。バービー人形の実写版というか、バービーたちの完璧な世界「バービーワールド」と現実の世界を行ったり来たりする、ひとことで言えば“はちゃめちゃ”な展開なのだが、とても深い。ワタクシは深く感銘を受けました。「映画ってこんなことできるんだなぁ」と余韻に浸っているのである。  何かと物議を醸している“バーベンハイマー”   アメリカでは『オッペンハイマー』と

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          「セゾン投信のこれから」――園部社長生出演書き起こしとポイント解説

          6月28日(水)、セゾン投信を創業以来けん引し、積み立て王子として長期、積み立て投資の伝道師ともいえる役割を果たしてきた中野晴啓会長が退任した。中野氏本人はメディアなどのインタビューで「不本意だ」などと話しており、新たな運用会社の設立を目指していると伝えられている。中野氏の考え方に賛同、共感して投資を続けてきた多くの受益者には不安が広がっていることだろう。日経CNBCでは7月6日(木)、朝エクスプレスにセゾン投信の園部鷹博社長に生出演していただき、中野氏退任の経緯や、今後のセ

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          映画『怪物』をみて考えている。人の複雑さ、そして優しさ

          是枝裕和監督の映画『怪物』。もうご覧になった方も多いのではないでしょうか?坂本裕二さんの脚本がカンヌ映画祭の脚本賞を受賞したことで随分メディアなどで取り上げられました。また、亡くなった坂本龍一さんの最後の映画音楽作品となったことも話題です。 “怪物”だーれだ? 少し前に映画館で予告編のころからみかけてはいたのですね。「子役がカギらしい」ということは分かるのですが、いったいどんな映画なのか、ちょっと分かりにくい印象でした。「まあ、よく分からないけれど、是枝さんだし、脚本賞と

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