インナーチャイルドの癒し、幼き記憶と新しい体験|葵井柳宇

インナーチャイルドの癒し、幼き記憶と新しい体験

【幼い頃の気持ちの浄化、徐々に癒されていく経験】

先日ランドセルの動画がふと流れてきたからだろう、思い出した。

ランドセルを買ってもらった日のこと。

まず、あのかっこいい黒のランドセルを買ってもらえるとワクワクしていた気持ちは早々に打ち砕かれた。

女の子は赤よ。と

それから、赤いランドセルは2種類並んでいた。

エンジっぽい一回り小さな簡素なランドセルと、キャラクターものの立派な箱に入った艶やかで明るい赤の一回り大きなしっかりした造りのランドセル。

艶やかでしっかりした方が欲しかった。

あのキャラクターは箱についてるだけなのよ、こっちにしなさい。

欲しかった方を買ってくれないこともだけど、キャラクターにつられてると思われたことが更に僕を苛立たせた。

そんなんじゃない!わかってるし違う!こっちがいいの!

珍しく僕はダダをこねた。

ほんっと珍しく。

もちろん、当然、そのランドセルを買ってもらえることは無かった。

ちょっとだけエンジっぽい方が安かったから。

ランドセル買えて良かったねぇ。
買ってもらえて良かったねぇ。
お前ももう小学生になるんだなぁ。

大人たちだけが笑顔だった。

良い物は高いから買わない。
母親のそういう面は今でも健在で、僕は今でも嫌いな部分だ。

生活に困っているから、安い質の悪いものだろうと買っていただけてるのは有り難い。
ありがたいけれど、それは必要な物だからであって本当なら「これなら買ってあげる」を拒否したい。
「それならいらない、無い方がマシ」そう言えればどんなに良かったろう。

欲しくなかった方のランドセルは、その後うちの猫の爪研ぎとなり弟のトランポリンとなり内側の金具まで見えてしまうほどボロボロの6年を僕と共に過ごした。
大人たちは猫や弟を叱ることをしなかった。
僕の物が壊されていくことに怒るのは僕だけで、僕さえも怒ることは次第に無くなっていった。

黒いランドセルが良かったし、赤も艶やかな方が良かった。

自分の意見を言うことを上手に出来ないのは、幼い頃に諦めたから。

今、当たり屋みたいな方法じゃなくて、飲み込むんじゃなくて、上手に意見や気持ちを出せるようにと思って日々を過ごしている。

前よりは言えるようになってきた。

結果望みを叶えられなくて凹んでしまう気持ちはまだあるけれど、それでも相手に期待しないということは徐々に輪郭が見え始めている。

いずれ、今よりももっと、期待せず言うだけ言ってみるということがナチュラルにできるようになれればと思っている。
#まだ少しぎこちない感覚がある

先日、友達と久しぶりに文字で話して。
それからまたねと会話を切った直後、まるでライブ帰りのように楽しすぎてまたもう話したくなってしまってたまらなかった。
素直に伝えてみた。
もう少しだけ、ひとり会話に付き合ってくれた。
とても嬉しかった。
素直に言って良かったと思ったし、また連絡すると互いに言えて幸せだった。

こうやって少しずつ傷が癒えていくんだろうと思う。

脳が疲れていても読みやすい本や、癒しになる本などを集めたコレクションです。

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葵井柳宇
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