法律との向き合い方を強烈に描いたこの作品は、あらためて描かれた時代も書かれた時代も超越した戯曲なのであるということを鮮明に示した…★劇評★【舞台=夢の泪(2024)】
井上ひさしがそれ以前から強烈な関心をもっていたに違いない東京裁判。ミレニアムの2000年に当時新国立劇場の演劇部門芸術監督だった演出家、栗山民也からの「20世紀に日本が得たもの失ったもの」をテーマにしたオファーに井上が構想を打ち出した「東京裁判三部作」の第1弾「夢の裂け目」(2001年初演)に続いて第2弾として2003年に発表したのが舞台「夢の泪」だ。その後発表された第3弾の「夢の疵」と合わせ三部作一挙上演として新国立劇場の制作で2010年に上演されているが、井上の作品を生前から上演し続けているこまつ座の制作で初めて上演された。軍部や国家だけでなく、国民一人一人の戦争責任とその意味を問うことから逃げ続けた日本人にとっての東京裁判との関わり合い方を通して、未来への武器にも障害にもなる法律との向き合い方を強烈に描いたこの「夢の泪」は、あらためて描かれた時代も書かれた時代も超越した戯曲なのであるということを鮮明に示した。演出は栗山。(写真は舞台「夢の泪」とは関係ありません。単なるイメージです)。
舞台「夢の泪」は2024年5月8日に埼玉県所沢市の所沢市民文化センターミューズマーキーホールで、5月11日に山形市川西町の川西町フレンドリープラザ・ホールで上演される。これに先立つ4月6~29日に東京・新宿のJR新宿駅東南口の紀伊國屋サザンシアターで上演された東京公演はすべて終了している。
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★舞台「夢の泪」公式サイト
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