情報処理学会・学会誌「情報処理」|note

情報処理学会・学会誌「情報処理」

60年の歴史を持つ情報処理学会の学会誌「情報処理」から注目の話題をお届けします.最新技術や情報教育など幅広い話題を専門家による質の高い記事でご紹介します. 情報処理学会のWebサイトはこちらです→:https://www.ipsj.or.jp/

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最近の記事

広島市立大模擬問題のプログラミング問題解説

谷 聖一 (日本大学 文理学部 情報科学科) 解説する問題 広島市立大学情報科学部では,令和7年度(2025年度)一般選抜後期日程の個別学力検査で「情報」を課すことを発表しています¹⁾.それに伴い,2023年3月に「模擬問題」を公開し,2023年7月に「出題意図と解答例」を追加し,2024年9月に「模擬問題」と「出題意図と解答例」を改訂²⁾しました.「模擬問題」は「模擬問題A」と「模擬問題B」の2セット公開しており,いずれも大問4題からなり90分で解答をすることが想定されて

    • 試合前にプレゼンをしないともはや仕事した気にならない

      スーパー・ササダンゴ・マシン (プロレスラー)  プロレスの試合はとにかく体力を使う.組み合って,走って,ぶつかり合って,場合によっては100kg以上の相手を持ち上げて投げ飛ばさなくてはいけない.とてもハードな仕事である.僕は,DDTという東京のプロレス団体に所属しているが,普段は新潟で創業70年の町工場の三代目として,自動車部品や家電製品を作るための「金型」を作っている.当然,東京の専業プロレスラーに比べれば練習量も足りないし,試合数も限られてくる.  しかし所属団体

      • 2024年12月号の見どころ(Vol.65, No.12)

        いよいよ今年も12月号.10月1日で締め切らせていただいた表紙デザイン公募は23件のご応募があったことは先月号の編集長noteの中でもお伝えさせていただきました.その中から編集委員会で検討・投票を行いまして,上位3件で決選投票の末,決定いたしました.次号からの表紙もお楽しみにしてください. 特集「未来予測技術で何ができるの?」 今月号の特集は「未来予測技術で何ができるの?」です.特集をご担当してくださった袖委員が編集にあたってで文部科学省のホームページに掲載の「2040年

        • 広島市立大学の模擬問題A 第2問・第4問解説 「データの活用と情報通信ネットワーク」分野

          稲垣俊介(山梨大学 教育学部)  広島市立大学は2023年3月24日に,「情報(情報Ⅰ)模擬問題の公開と解説」説明会を開催 ¹⁾し,模擬問題を公開 ²⁾しました.  2024年度(令和6年度)に実施される情報科学部一般選抜後期日程個別学力検査では,「情報(情報Ⅰ)」が出題されます.広島市立大学のウェブサイトには,「『情報』が好き!」な高校生に,その学びの成果を入試で存分に発揮してほしいと記載されています ¹⁾.ぜひ,「情報」を受験予定の生徒や指導をされる先生方に,この記事

        マガジン

        • 教科「情報」の入学試験問題って?
          41本
        • 「情報処理」無償公開記事
          263本
        • 「情報処理」巻頭コラム
          52本
        • 情報処理学会誌編集長の独言(ひとりごと)
          33本
        • 未踏の第30期 スーパークリエータたち
          16本
        • 2023年度 研究会推薦 博士論文速報
          51本

        記事

          2024年11月号の見どころ(Vol.65, No.11)

          10月1日で締め切らせていただいた表紙デザイン公募は最終的には23件ものご応募をいただきました.どうもありがとうございます.このあと編集委員会で検討・議論を重ねますので,ご応募いただいたみなさんはもちろん,読者のみなさまもお楽しみにしていてくださいね. 特集「ジェンダーと情報」 今月号の特集は「ジェンダーと情報」です.私が会誌編集長を引き受けた際も,編集長としては初の女性とのことでした.また本会が女性理事枠を取り入れてからちょうど10年でもあります.情報の分野は特に女性が

          2024年11月号の見どころ(Vol.65, No.11)

          不易と流行

          長岡 亮介 (数学者,数学教育者,特定非営利活動法人 TECUM 理事長)  数学は,数千年に及ぶ歴史を持つものの,近代以降大学制度の普及の結果,その研究と教育を職業とする専門家 professor が数多く誕生し,その業績が大量配布できる体制が確立したことを通じて大きく進歩した,と見る点では,ほかの諸科学と同様である.数学が,ほかと比べ一際目立つのは,次世代の教育において「最先端への導き」を基本にしていないことであろう.  いまから数十年前のことであるが,悪口の絶えない

          電気通信大学情報理工学域一般選抜前期日程サンプル問題【1】浮動小数点方式の表現を題材にした問題

          和田 勉(長野大学) 解説する問題 ここでは,電気通信大学から参考文献1)で令和6年(2024年)7月に公開された,情報理工学域一般選抜前期日程「情報」サンプル問題のうち,【1】の問題を解説します.同大学ではすでに令和5年(2023年)11月に「試作問題」が公開されていますが今回これに続いて公開されたものです.なお先に公開された「試作問題」のうち第3問は本シリーズですでに解説されています²⁾.  今回は,浮動小数点方式を表す方式のひとつ,FP8と呼ばれる方式を題材にしたも

          電気通信大学情報理工学域一般選抜前期日程サンプル問題【1】浮動小数点方式の表現を題材にした問題

          好奇心の力:Human-in-the-Loopベイズ最適化によるデザイン支援

          小山裕己 (産業技術総合研究所) 受賞タイトル Computational Design Techniques and Interactions 受賞の喜びと感謝 このたびは栄誉ある賞にご選出いただき,大変嬉しく思います.これまでの研究活動を評価していただけたということで,改めてこれまで私の研究活動を支えてくださった皆様に心から感謝したいと思います.これからもますます研究に精進し,さらなる貢献を目指して努力してまいります. 研究の転機と新しい挑戦 受賞テーマの「Comp

          好奇心の力:Human-in-the-Loopベイズ最適化によるデザイン支援

          選定にあたって

          松原 仁 (IPSJ/ACM Award for Early Career Contribution to Global Research選定委員会委員長/京都橘大学工学部情報工学科)  情報処理学会(IPSJ)とAssociation for Computing Machinery(ACM)は,両学会が対象とする研究領域において国際的な研究活動により顕著な成果をあげた若手研究者を対象として,IPSJ/ACM Award for Early Career Contribut

          AI×圧縮

          孫 鶴鳴 (横浜国立大学大学院工学研究院) 受賞タイトル Research on Neural Network-based Learned Video Compression  このたびは,IPSJ/IEEE-CS Young Computer Researcher Awardを受賞し,大変光栄に思います.選考委員の先生方,推薦していただいた先生,共同研究者の方々に,深く感謝いたします.  私の研究テーマは動画像圧縮です.動画像はインターネットトラフィックの80%以上を

          人間とAIの協働のための機械学習

          馬場雪乃 (東京大学大学院総合文化研究科) 受賞タイトル Outstanding Research on Machine Leaning for Human-AI Collaboration  このたびは栄誉ある賞をいただき,大変嬉しく存じます.推薦・選考に携わった皆様,ご指導いただいた先生方,共同研究者の皆様,日頃の研究活動を支えてくださっている皆様に,深く感謝申し上げます.  私は,人間の中から信頼できる情報源を見つけ,その判断や知見を人工知能に取り入れる技術の研究

          人間とAIの協働のための機械学習

          自分の可能性をひらくためのバーチャルリアリティ研究

          鳴海拓志 (東京大学大学院情報理工学系研究科) 受賞タイトル Outstanding Research on Human Augmentation with Virtual Avatars  このたびはIPSJ/IEEE Computer Society Young Computer Researcher Awardを賜りましたこと,大変光栄に存じます.本賞へのご推薦をいただきましたエンターテインメントコンピューティング研究会の皆様,ならびに研究室メンバー,共同研究者の皆

          自分の可能性をひらくためのバーチャルリアリティ研究

          選定にあたって

          松原 仁 (IPSJ/IEEE -Computer Society Young Computer Researcher Award選定委員会委員長/京都橘大学工学部情報工学科)  情報処理学会(IPSJ)とIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)は,情報学の分野において国際的にイノベーションの起点となる重要な研究開発の成果を達成した若手研究者・技術者を表彰の対象として,IPSJ/IEEE-Computer

          編集にあたって

          竹内郁雄 (IPA未踏IT人材発掘・育成事業 統括プロジェクトマネージャ)  未踏事業で採択され,優れた成果や成長を示した人たちを未踏スーパークリエータと呼ぶ.数年前から,未踏事業は3つの事業に拡大しており,ここで「未踏事業」と呼んでいるものは正確には「未踏IT人材発掘・育成事業」であり,年度始めに25歳未満の若い人たちを対象とした事業である.  未踏事業は2000年度にミレニアム事業として始まったが,この年次報告は,2012年度から「未踏IT人材発掘・育成事業」(以下,

          月経中のストレス緩和を目的としたショーツ型経血量測定デバイスUnleak

          吉田 紗彩(よしだ さや) 常次 舞(つねつぐ まい) 高安 優多(たかやす ゆうた) 能﨑 直紀(のざき なおき)  生理期間中,多くの女性が感じる最大のストレス─ 紙ナプキンからの経血漏れへの不安.この問題に挑戦したのが,吉田さんたちが開発した「アンリークショーツ」だ.このショーツ型デバイスは,紙ナプキンの状態をセンシングし,経血漏れが起こる前にスマホアプリでユーザに通知する画期的なシステムだ.  従来の生理用品には,それぞれ一長一短があった.紙ナプキンは手軽だが経血

          月経中のストレス緩和を目的としたショーツ型経血量測定デバイスUnleak

          みんなで遊べる競技かるた

          丸山 礼華(まるやま あやか)  競技かるたは,百人一首の札を早く取ることを競うゲームである.百人一首の和歌を覚えているかどうかや,取る動作への慣れの影響によって札を取るまでの時間に大きな違いが現れてしまうため,一緒に楽しめる人が制限されてしまう.  丸山さんは競技かるたにまつわる一連の体験を,VR 空間で本格的に体験することができる「みんなで遊べる競技かるたアプリケーション」を開発した(図-1).VR技術を用いることで,視覚や聴覚の情報をプレイヤごとに変化させることが可