浮世離れの世迷言・続:キュビズム展
波平曰く「目は心の眼なり」、オレ曰く「目は底意の眼なり」自己演出のこと

2023年12月03日

キュビズム展

むかしの同僚たちはルソー好きやマティス好きにデュフィ好きがいて面白かった。
それで皆セザンヌも好きだった。
印象派好きがいなかったのでその筋の会話は平穏でもあった。
 
ただいま上野の国立西洋美術館で開催されているキュビズム展は、やはりセザンヌから始まっている。パリのポンピドオーセンターから持ってきた現代美術展である。

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色彩に溢れるアンリデュフィと色の表現を封じ込めたジョルジュブラックのどちらも好きと言うのは矛盾しているようだが、好きなのだから仕方がない。
でも、二人とも楽器をたくさん描いてるしね。

キュビズムが後年プロパガンダの尖兵的な様相を呈したのは時代の流れと政治対立と教条から仕方のないことなのだろうけれど、それ以前の、新たなものを創る意欲に満ちた時代の作品群は作家の誰彼によらず素晴らしい。
あらゆる芸術は権力から解放されてこそ成り立つという側面が覿面表れている技法であり、技法と言うよりはムーブメントだったのだろう。
偏向しているオレがこんなことを書かねばならないのは本当に残念の窮みなのだが、人と言うもの、いつでも誘惑に直面し、時には進んで堕落するだろうものだからね、その合理化には呆れるばかりだけどね。


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ブラックの絵がこんなに並んでいるのは不思議な感覚で、次の絵もブラック、その次もまたブラック、その隣もまだまだブラックと言うのは経験したことがない。安心して次に進める嬉しさと言うものがまさかブラックで味わうことができるとは。
それを思えば、たった一度だけ行ったことがあるオルセーよりもなんでポンピドオーに行かなかったのかが悔やまれるのだけれど、じっさいはオルセーだってガラス屋根しか憶えていないのでどのみち同じことだったろう。しょせん猫にこんばんは、だ。

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多いと言ってもたしか15点だったかな、それでも全体の140点の中ではなんと10%を越えるほどで、いよいよブラックの時代がきたのだろう。




それにしても、どうして主催者はブラックの作品によるグッズを制作しないのだろう。
いま上野の博物館でやってる《やまと絵》展は百鬼夜行のキャラクターをグッズにして売っていて、ぬいぐるみとかブランケットなどは高いのにみんな群がって買ってる。
だったら美術館はブラックの絵をキャラクトライズして抱き枕くらいにしてくれると嬉しいのにね。

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好い感じでしょ。



文化会館を挟んだ反対側の上野の森美術館ではモネの展覧会をやっていて、たくさんの人が並んでいた。
展覧会併設のグッズショップの入場列らしい。
つまり人気グッズを作れば売れるんだけどね。

なんでそこに気が付かないんかな。


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それは良いんだけど、この様子を視て、ドニを思い出した。


ドニ/木々の中の行列


まあ、いいです。




noonuki at 10:33│Comments(2)

この記事へのコメント

1. Posted by まんじろう   2023年12月11日 07:35
猫にこんばんは。
拙者の「〇〇用語の基礎知識」に加筆します。
2. Posted by 脳抜き   2023年12月14日 09:13
>>JAさん
オレたち世代ではコモンナリッジでした。

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