パタゴニアの花見 - 時子のパタゴニア便り

時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

パタゴニアの花見

「ああ、なんて綺麗なんだろう」

見上げると、満開になったボルソンの八重桜。

寒くも暑くも無く、風も無い穏やかな快晴の日曜日。青い空を背景に大きく弾けるように咲いている桜の花に思わず声が出ました。

ボルソン日系グループ主催の花見に行ってきました。今年でもう6回目。でも私の参加はボランティアを受け入れ始めてからで3回目です。開催しているのは勿論知っていましたが、車で30分もかけて人混みの街にいく気も、おつまみになる様な日本的な食べ物を作る気も起きずに、ずっと知らん顔を決めていました。

でも開催を知ったボランティアさんが行ってみたいと言い、よく働いてくれるお礼として3年前初めて参加しました。

お寿司など手の込んだ料理は作らずに、自己流のいい加減適当おから入り味噌クッキーを持っていきました。が、結構珍しいと好評でした。

その時、参加メンバー達の(楽しもう、日本文化を紹介しよう)と言う熱い心に感動して、日本国籍の私こそ参加しなきゃあと思いました。

2年目は友達の協力を得て習字体験会をしました。折り紙教室をしてくれた日系メンバーもいて、参加型の花見になったと思います。

そして今年はアルゼンチン人のメンバーが、版画と刺し子、生け花のデモストレーションをして盛り上げてくれました。

踊ったり歌ったり、大音響で音楽をかけることもなく、ただただ満開の美しい桜の下でおしゃべりして時を過ごしました。

以前、桜の木は人が好きで、自分の下で、楽しんで幸せに過ごしてもらえる事をとても喜んでいると本で読みました。

たった二本だけど、この大きく育った八重桜も喜んでいてくれてるかな?と花を見ながら思いました。

一期一会

若い頃は言葉として知っているだけでしたが、今年の桜の花が私をこの言葉の奥深くまで導いてくれました。

去年はどうだったかな?来年また見られるかな?ではなく、今この時、この瞬間の出会いを思いっきり抱きしめたいと感じました。

そうすると、私の周りの植物も動物も人も鉱物も景色も道具や家具も、全てのものが輝いて見えました。

今居る、ここに居る、私が居る、全てがある。何もいらない。ただただあの桜のように、人の心を温かく優しく包み込んで行きたい。そう思えました。

もう10月も半ばというのに、朝晩は冷え込みます。農場の花の勢いも弱い気がします。

今朝は真っ白に霜がおりました。

でもチューリップが開き始め、りんごの蕾も膨らんでいます。陽だまりではタンポポが大地を黄色く染めています。

寒いと体が上手く動かずロボットのようですが、恥ずかしがらず外に出て、転ばないようにゆっくり歩いています。

私が私として生きているこの時、この体を大切にします。何時も笑っていようと決めています。

ありがとう農場インスタグラムです。もしよろしければご覧ください。

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