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今日は、朝からしとしと雨。
春の兆しを感じるようになったとはいえ、まだ雨にうたれるのは体が冷えて辛い。
えびこ道を登るのはやめて、山の上の駐車場に集合し、森の中を散歩することにしました。
秋には黄色い落ち葉の絨毯を作っていたイチョウの木。
今は春の訪れを待って、小さな鬼の角のような芽を膨らませています。
「おにのつの」と言うと、子どもたちは、寄って来なくなってしまいましたが・・・😅
タカノツメの落ち葉は、あま〜い匂い。
雨の日は、いっそう強く感じます。
MK先生がやってきて言いました。
「Aくんが面白いもの見つけたの。なんだと思う?」
つつくと、茶色のけむりが出てきます。
「くも?」
「はな?」
「たこ?」
マテバシイ組(年長)のEちゃんは、「きのこ?」。
同じくマテバシイ組のCくんも、「くもやったら、まんなかに、あな、あいてないし」と。
でも、確信はもてない・・・。
「じゃあ、このまましばらく置いてみとこっか。くもだったら、動いていなくなっちゃうかな?」
ということになりました。
さぁ、なんでしょう?
先週のブログでも書きましたが、先日、野外活動センター前の大きなマテバシイの木が切り倒されました。
仕方なかったのかもしれません。
根の影響で建物に被害が出そうだと判断されたようです。
しかし、のいちごにはたくさんの思い出が詰まった木で、私は無念さを拭い取ることができずにいました。
そこで、今日は、切られてしまったマテバシイに想いを寄せて、「ありがとう」と感謝の気持ちをこめて別れを告げたいと考えました。
マテバシイの木があった場所に行って、切り株を触ってみたり、年輪を数えてみたり、匂ってみたり・・・。
どんぐりを拾って、切り株の上に並べてみたり・・・。
Cくんは、殻斗を見つけて「どうやってついてたんだろう?」と実の方向を変えながら確かめ、「あっ、こうだ!」と気づいたようでした。
「こうなっててな、ぽとん。こうやっておちんねん」
それを見ていたツブラジイ組のEちゃんも、殻斗を見つけて同じようにやってみます。
「ぽとん」
「ぽとん」
こんなことを繰り返しているだけでも、笑いがおこります。
さて、今日の活動は、センターの裏のサービスヤードで。
お当番は、Bちゃんにお願いしてみました。
「Bちゃんの番なんだけど、やってくれる?」
少し迷っていましたが、「やる」と自分で決めて頷いたBちゃん。
一音一音大切にグロッケンを鳴らし、
丁寧に布に包んで片づけてくれます。
その動作を、子どもたちは静かにじっと見つめていました。
♪に〜じの形になぁれ
「のいちご森のマテバシイ」
私が画用紙に描いた絵をとり出し、お話を始めようとすると、
「せんせいが、つくったん?」と訝しげにたずねるBくん。
「そうだよ」と言うと、「えーっ」だって。
まぁまぁ、聞いてくださいな。
あらすじ
昔、のいちご森に、男の子が、マテバシイのどんぐりをうめました。
秋がすぎ、冬がすぎ、春になって森に行くと、芽が出ていました。
マテバシイの木は、3年たって男の子と同じぐらいの背の高さになり、10年たつと、男の子のお父さんよりもうんと高くなっていました。
「大きくなったねぇ」
男の子がびっくりして言うと、マテバシイの木が言いました。
「そうよ。私、大人になったの。ほら、目立たないけど、黄色い花が咲いているでしょ。赤ちゃんが産めるようになったってことなの」
それから40年。
嵐にも雪にも水不足にも耐え、マテバシイは、のいちご森で一番大きな木になっていました。
マテバシイの木の周りには、いつもたくさん生き物がやってきました。
「どんぐりを分けてくれないかなぁ」
お腹を空かせたリスやタヌキやクマがやってきて言いました。
「どうぞどうぞ」
マテバシイの木は、惜しみなく、自分の赤ちゃんであるどんぐりの実を分けてあげました。
鳥もやってきました。
「巣を作らせてくれないかしら」
「どうぞどうぞ」
鳥は高い枝の間に巣を作り、卵を生み育てました。
やがて、ヒナたちは「マテバシイさん、ありがとう」と言って巣立って行きました。
土の中にもたくさんの生き物が住んでいました。
根っこで柔らかくなった土は、たっぷり栄養があるのです。
モグラはそこに住むミミズを食べて、暮らしていました。
セミの幼虫は、マテバシイの木の根っこの汁を吸っていました。
マテバシイの木は、「いいよいいよ、たっぷりおあがり」と怒りもせずに言いました。
そして、幼虫が土から出てきて幹によじ登り殻をぬぎ始めると、「がんばって!」と応援しました。
子どもたちも、マテバシイの木が大好きでした。
どんぐりでパチンコを作ったり、工作したり・・・。
秋になって実が落ちると、急いで拾いに行って、フライパンで煎って食べました。
ほくほく栗のような味がするのです。
こうして、マテバシイの木は、たくさんの生き物の命を支えながら、どっしりと立っていました。
しかし、ある日のこと、ビルを建てるために、森の木が次々と切り倒されていきました。
マテバシイの木も、大きな音をたてて切り倒されました。
動物たちは泣きました。
子どもたちも泣きました。
切り株になってしまったマテバシイを、優しくさすりながら・・・。
すると、マテバシイの声がしました。
「もう泣かないで。私の命は、あなたたちの中に生き続けているから」
動物たちは落ちていたどんぐりや枝を拾い集め、「ありがとう。あなたのことは忘れない」と、森を去っていきました。
子どもたちは、相談して決めました。
「そうだ、大きな大きなマテバシイの木の絵を描こう!」と。
おしまい
ということで、今日は、みんなでマテバシイの木の絵を描くことにしました。
私が模造紙を貼りつけると、絵を描きたくてうずうずしていたツブラジイ組(2歳児)のDちゃんは、さっそく水色のクレヨンで何か描き始めました。同じくツブラジイ組のEちゃんは、ピンク色のクレヨンで絵を描き始め、クヌギ組(年中)のBちゃんは、虹を描き始めました。
う〜ん、好きなもの描きたいよね。
難しかったか・・・。
と思いつつ、私がマテバシイの木の幹を描き、枝を描き始めると、Cくんがクレヨンを持って、「どんなはっぱやった?」とたずねました。
「こんなの。さっき、拾ったんだ」
葉っぱを見せると、Cくんは、葉脈も入れて葉っぱを描き始めました。
しかし、今ひとつ、みんなが盛り上がる風はなく・・・。
『これは失敗だったか・・・』と思いつつ、
「先生、絵の具も持ってきたんだ。赤と青と黄色。これで葉っぱの色作れるかなぁ」
と言うと、急にみんなの目がキラリ✨」
「あおときいろ!」とCくん。
草木染めの時にみんなで実験したので、覚えていたんだね。
さっそくトレイに絵の具を出してもらい、混ぜてみました。
「みどり!」
俄然、みんなのやる気が出てきました。
絵の具の配合によって、それぞれ違う緑色ができました。
筆で描く子。
手につけてスタンプする子。
動物の足跡にも見えるよ!
クレヨンの上から塗ると、線が浮かび上がってきてびっくり!
赤を混ぜると、茶色ができたので、幹をぬったり。
絵の具の魔法のおかげで、子どもたちの意欲がどんどん沸いていきます。
木を支えるには根っこがいる。
地上の木と同じぐらい、地中の根っこは深く広くのびている。
黄色い模造紙もくっつけて根っこも描きました。
根っこをの汁を吸うセミの幼虫がいたり、
ミミズがいたり・・・。
こうして、大きな大きなマテバシイの木ができあがりました。
思い出を引きずって、マテバシイの木がなくなったことをいつまでも嘆き悲しんでいたのは、私だけかもしれません。
子どもたちには、私の感情を無理に共有させようとしてしまったのかもしれませんl。
別に、子どもたちが、絵を描きたいと言ったわけでもない。
でも、私は伝えたかったんです。
たとえ最初は人間が植えた種であったとしても、その命は、その植物のもの。
人間のものではない。
その植物が懸命に生きようとしたから大きくなったのだと。
植物は、人間が思っている以上に、他の生き物の命と繋がり、他の命を支えている。
それは目に見える部分だけでなく、見えない部分でも。
地上部分と同じだけの世界を、木は地中にも作っている。
水、空気、微生物、菌・・・。
目には見えなくても、いや、見えないからこそもっと大事なものがる。
それを想像してほしい。
お昼ごはんは、のいちご母さんたちが作ってくれたお味噌汁をいただいて、ほっこり。
やっぱり体が冷えていたんですね。
お母さんたち、ありがとう💕
昼からは、体育館で遊ぶことにしました。
Aくんがリクエストしてくれたおすもう。
フラフープやかけっこをして遊んだり、好きずきに遊んでいましたが、何かみんなでしたくなって、「あぶくたった」を提案してみました。
昔は、のいちごで、よく童歌で遊んでいたんですよね。
大人たちも「なつかしい。どうでしたっけ?」
といいながら加わり、やっているとすぐに思い出してきました。
「とんとんとん」
「なんの音?」
「おもちゃで遊んでる音」
「あ〜、よかった」
このくだりのドキドキすること。
オニになった子の想像した言葉も楽しい。
最初は怖がって入らなかった子も、最後には「もう1かい!」とリクエストくらい楽しくなりました。
また、やろうね!
2月のお話は、「大工とおにろく」
のいちごでは、毎月担当のお母さんが昔話をプレゼントしてくださいます。
いつからか子どもたちも「一緒にやりたい」と加わることが多くなりましたが、Cくんは、「ぼくは見る方が好きだから」と、これまで一緒にやることはありませんでした。
ところが、先週のお話からどうも一緒にやってみたくなったらしく、今回はお母さんと練習してきてくれました。
お人形を動かしたり、一緒に歌を歌ったり、「おにろく!」と叫んでみたり・・・。
ちょっと照れくさそうでしたが、とっても楽しそうな表情でした。
きっとお母さんとの楽しい思い出の一つになるんじゃないかな。
来週も聞けるのを楽しみにしています!
さよならのあいさつの時に、みんなが描いたマテバシイの木に向かって、みんなで言いました。
「マテバシイさん、さようなら。ありがとう!」
すると、不思議と、私の心の中の無念さが溶けて消えていくようでした。
ありがとうね、のいちごっこのみんな。
もう引きずらない。
先生、前を向いていける勇気が出たよ💕