安全な胸腔鏡下肺切除術をめざしています | 長崎みなとメディカルセンター
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安全な胸腔鏡下肺切除術をめざしています

肺は肋骨や筋肉、横隔膜で囲まれた胸腔(きょうくう)という空間の中に存在しています。これまで肺癌などの手術に際しては、皮膚を10~20cm程度切開し、術者が直接肺を見て触って手術を行っていました(開胸手術)。これに対し1~3cm程度の傷を3~4カ所開けて胸腔鏡カメラや鉗子を胸腔内に挿入し行う手術を胸腔鏡下手術といいます。日本においては 1990年代後半より広がってきた手術方法で、当院では 2003 年より胸腔鏡手術を導入し、現在、手術のほとんどを胸腔鏡で行っています。胸腔鏡手術での長所は、痛みが少ないことと呼吸機能が保たれるという点です。傷が小さい胸腔鏡では傷の痛みが少ない傾向があり、術後すぐに歩いたり、食事をしっかり食べたりすることができます。

胸腔鏡手術を行う上で最も重要なことは安全性です。安全な胸腔鏡手術で、無事に手術を乗り越え、これまでの生活や仕事を楽しんでいくことを最も重視しています。安全な手術を行っていく上での心がけていることは 1)手術医の手術手技を日々向上していくこと、2)操作性の優れた手術機械を日々導入していくこと、3)呼吸器外科チーム、周囲のスタッフのチームワークを大切にすることです。安全な胸腔鏡手術は、肺癌において病変を確実に摘出する手術技術の土台となっていきます。安全性の次に重視している根治性を目指し、しっかり確実にとる手術をこころがけています。

肺癌に対する胸腔鏡手術の治療成績は、当院で治療を行った肺癌症例の5年生存率が 71%で全国集計の生存率を上回っています。ステージ1A期の5年生存率は85%であることからも肺癌は早い段階で発見し、すみやかに手術治療を行うことで長生きできることがわかってきました。また胸腔鏡による手術完遂率は 95%を超えていますので、術後の傷もめだつことなく、術後1~2年が経過した後に定期外来した患者様の多くは傷の場所や痛みを忘れて日常生活を楽しんでいる方がほとんどです。

当院では約半世紀の診療経験の中でつちかわれた技術と最新の手術手技を取り入れながら、安全で確実な胸腔鏡手術を提供して参ります。無事に手術を乗り越えて、日常生活を楽しんで行きましょう。

呼吸器外科 主任診療部長 森野 茂行