森蘭航路とは函館に近い森港と室蘭港を結ぶ噴火湾を横断するルートである。
その歴史は古く、明治初期に開拓史の手により建設された札幌から函館を結ぶ「札幌本道」の海上路として、1872年から1928年まで旅客や貨物の運搬において活躍した。
「札幌本道」は、土木学会の選奨土木遺産にも登録されている。
北海道新幹線×nittan地域戦略会議では、北海道新幹線新函館北斗駅開業に合わせて、この森蘭航路を新たな観光資源として活用できないか検討をはじめ、2015年には2度の実証実験を実施した。
この取り組みは、移動時間の短縮だけではなく、北海道開拓期の歴史ロマンへの回帰、噴火湾で盛んなイルカ、クジラウォッチングとの融合など、「移動」と「観光」を兼ね備えた新たな地域資源として育成していきたいという狙いがある。
実証実験の際には、カマイルカやミンククジラとの遭遇や、移動時間の短縮(片道1時間30分)など狙い通りの効果が生まれ、参加者からは高い評価を得ることができた。
胆振日高地域の観光客誘致の切り札として、今後の森蘭航路の展開が期待される。