ベトナム・ホーチミン市には日本人監修によるラーメン店が数多存在し、特に日本人街はラーメン激戦区の様相を呈しています。
一方で、近年はベトナム人経営によるラーメン専門店の開業が相次いでいます。今年2024年の前半には屋台ラーメン「Aoya Ramen」がオープンし、連日長蛇の列ができるなど話題になりました。
そんな中で、新たなベトナム人経営によるラーメン屋が登場。しかしそのお店、少なくともオープンから1ヶ月が経っているにも関わらず、FacebookやInstagramのSNSアカウントが無いどころか、Googleマップにすら載っておらず、商売っ気がまるで無いのです。
本記事では、ホーチミン市3区のラーメン屋「Kóc Kóc Ramen(コックコックラーメン)」をご紹介します。
「Kóc Kóc Ramen」の場所・雰囲気
ホーチミン市3区・グエンジアテュウ (Nguyễn Gia Thiều) 通りにやって来ました。先日ご紹介した有名ローカルステーキ店「Beefsteak 100g」のちょうど斜め向かいに居ります。
住所で言うと11番地に「Kóc Kóc Ramen」はあります。どうです、この趣ある外観!いつでもやっぱり赤提灯、ですね。
店内はこんな感じ。屋内…に見せかけて、簡易的に頭上を覆っただけの屋外です。冷房はないけど、扇風機がフル稼働しているので夜は案外涼しく快適。
座席は4人席×2、2人席×3。ドラム缶に天板を乗せたような見た目のテーブルがとってもキュート。
卓上に置かれている調味料は「サテ(ベトナムラー油)」です。
店内には色々とポスターが飾られています。日本のアニメ・特撮作品のものが中心。ONEPIECEの指名手配ポスターは至る所に貼られていました。
「ラーメン」と声に出しながら麺をすする歌舞伎メイクの男性。画像検索したところ、フランス人デザイナーが手掛けたTシャツのデザインみたいです。
美味しそうなラーメンを目の前にして笑顔のスーパーヒーローと怪獣たち。「勇猛精進」だそうですよ。それにしても、本当にニッコニコで笑ってしまう。ラーメンは世界を救うんだな…。
「Kóc Kóc Ramen」のメニュー
「Kóc Kóc Ramen」のメニューは、こちらの4つのみ。ラーメンが69,000ドンって、価格破壊レベルの安さでは!?(※と思ったけどRAMEN KIMURAさんの方が安かった)
また、餃子が29,000ドンというのも格安。
飲み物もあります。冷たいお茶は5,000ドン。
実食。鶏白湯の秘密に迫る
着丼。あっという間に提供されました。
まずは「Mì Ramen Súp Gà」69,000ドン。日本語では「鶏スープラーメン」とのことだったので、あっさりしたクリアな鶏塩スープを想像していたのですが、実際はどろどろこってりな鶏白湯スープ!これはこれで美味しそう。
トッピングは、チャーシュー2枚・煮卵・きくらげ・もやし・ねぎと、この価格では考えられないほどに豪勢!
麺は少し硬めの中細麺。しっかりスープが絡む、ゆるーく縮れたタイプの麺です。
どろっとした鶏白湯スープは鶏の旨味とコクが感じられる奥深いもの。また、ラーメンは胡椒がかかった状態で提供されるのですが、その香りと辛味が白湯スープにバチっとはまりさらに美味。
この価格でこんな上質な鶏白湯ラーメンが食べられるなんて…と感動していたのですが、写真を見返していたところ、店の奥に「あるもの」が置かれていることに気付いてしまいました。
創味のラーメンスープ(創味のとろっと 鶏白湯)使ってた。そりゃ美味いに決まってるわ。
とはいえ、合わせるトッピングや麺の茹で具合なども重要であり、業務用のスープベースだけでは美味しいラーメンは出来ません。そこはやっぱり、作り手のラーメン愛と理解度次第かなあ、と。
それに輸入品を使う以上、結構なコストがかかるだろうし、それでも尚この価格に抑えられているのは凄い。
チャーシュー、ベトナム人経営のラーメン屋だと肉が固いところもあるのですが、こちらの店のものはほろほろと柔らかく、歯で「サクッ」と噛み切ることができます。
煮卵も半熟トロトロですよ。ほどよく浸かっており、単独で食べてもしょっぱすぎない良い塩梅。市販品かと思いましたが、それだとこの半熟具合は出せなさそうだし、自家製なのかなあ。何にせよ美味しいのでヨシ!
こちらは「Bánh Xếp」29,000ドン。でっけえ羽根のついた焼餃子です。
小ぶりな一口餃子で、おやつにも良さそう。中の餡はひき肉・キャベツ・にら・たけのこ・人参…とかなりの品目数。安いにも関わらず、手作りだとしたら凝りすぎだし、これは流石に完成品を仕入れてるのかな。もちろん、羽根を付けて焼くひと手間はかけているわけで、創意工夫されていることが分かります。
餃子のタレが、酢強めで私好みでした。
完食。量が少な目なので、飲んだあとの締めとしても良さそうなラーメンでした。惜しむらくはこの辺りに日本人が訪れるような飲み屋が無いということだろうか。レタントン(日本人街)に出店したら一定の支持は得られそう…だけど、今の地価では資本力が無ければ参入できないよなあ。
先述の通り、こちらはネットに情報のないラーメン屋です(記事執筆時点)。40分ほど滞在したのですが、他にお客さんも来なかったし、色々と謎。もしかして狸か狐にでも化かされていたのだろうか…なんて。