AppleがiPhone 16シリーズを発表しましたが、採用されているA18とA18 Pro SoCの詳細をまとめます。
CPU
まずCPUから見ていきましょう。CPUは、A18とA18 Proともに2コアの高性能コアと、4コアの高効率コアで構成されています。この構成自体は、A17 ProやA16 Bionicから変わるものではありません。
その一方で、CPUのアーキテクチャは変わっているようです。M4に採用されたCPUでは、Armv9命令に対応した事により、ArmのSME(Scalable Matrix Engine)に対応しました。Appleはこれを次世代のMLアクセラレータと表現しています。
このArmv9の採用によって、SMEなどに依存するワークロードにおいて顕著な性能向上が期待できます。
高性能コアのクロックは4.05 GHz(4.04 GHz)となっているようで、A17 Proから3.8 GHz(3.78 GHz)程度だったので、250 MHz程度の向上となります。M3,M4についでiPhone向けのチップとしては初めて4 GHzを超えました。
クロックを均して検討するとM4と性能が揃いますので、M4と同じCPUアーキテクチャを採用しているものと見られています。
GPU
GPUはコア数に違いがあり、A18は5コア、A18 Proは6コアとなっています。
GPUアーキテクチャには何らかの更新が加えられていることが考えられます。理由として、ハードウェアレイトレーシングの性能が2倍になっていることが挙げられます。
性能はA17 Proから20%向上しているようですが、GPUの改良による性能向上に加え、メモリ帯域が向上した事による性能向上もあることが考えられます。
一方で、M3やM4に採用されたDynamic Cachingについては言及がなく採用されていないものと見られます。
AppleはAIについてのGPUアクセラレートについて言及しました。このことから、可能性として低精度の
Neural Engine
Neural Engineの性能は引き続き35 TOPSとなりました。
ただし、より効率的になったようです。
メモリ
メモリは8 GBとなっています。Apple Intelligenceが8 GBメモリを前提としているためと見られています。
また、メモリがLPDDR5x-7500となっているようで、帯域が向上しています。帯域が向上したことにより、ゲーム性能やAI性能も向上しているとしています。
エンコーダ・デコーダ
期待していたAV1エンコーダについては言及がなく、依然としてAV1デコードのみのサポートとなるようです。
iPhone 16 Proでは引き続き強化されたDisplay Engineを搭載しており、最低1Hz、最大120Hzの可変リフレッシュレートをサポートしています。
製造プロセス
製造プロセスについては、第2世代3nmと表現していますが、TSMC N3Eであると見られます。A17 ProとM3シリーズで採用されているTSMC N3(N3B)は歩留まりが悪いとされており、M4への早期の切り替えの要因となりました。
例年のiPhoneでは、Proモデルに新世代のSoCを、通常モデルに全世代のProモデルに採用されたSoCを採用していましたが、今年はiPhone 16シリーズ全体で同じ世代のSoCが採用されることになりました。