葬儀屋バイト芸人に聞いた“近年の葬儀事情”。「親の葬儀にお金をかける人」には意外な共通点が
厚生労働省の「人口動態統計(確定数)」(2023年)で、年間死亡者数は過去最多となる157万6016人と発表された。著名人の訃報も続き、「死」を身近に感じる機会も増えている。葬儀屋でアルバイトをするお笑いコンビ「ドドん」の安田義孝さんに、葬儀屋バイトの実情をうかがった。
今回話を聞いたのは、お坊さん×葬儀屋コンビとして活動するお笑いコンビ「ドドん」の安田さん。芸人としての嗅覚が働き、8年ほど前に葬儀屋バイトをはじめた。
「きっかけは、相方(石田芳道さん)がお坊さんだからです。それに合わせて葬儀屋か花屋でバイトをしようと思ったんです。その後、芸人の先輩から紹介してもらった花屋は落ちちゃったんで、葬儀屋バイトをはじめました(笑)」
葬儀屋には、日程の調整や斎場の手配、葬儀当日のサポートといった仕事のほか、夜勤もあるという。仕事内容は、亡くなった方のご遺体をストレッチャーに乗せて病室から霊安室まで運び、遺族の方にバイト先の葬儀屋を勧めるというもの。安田さんは、主に後者を担当している。
「夕方6時から翌日の朝9時まで待機して、仕事が発生したら指定の病院に行きます。葬儀屋は地域密着型の商売なんで、それぞれの家に決まった葬儀屋がいるんですが、たまに決まっていない場合もあります。その時に、『葬儀はうちでいかがでしょうか?』と売り込む感じです」
基本給は4000円で、稼働時間は別に時給が発生する。まったく電話が鳴らない日もあれば、1日に3回出動する日もある。
誰でも一度や二度はバイト中に失敗したり、大目玉を食らったりすることはある。安田さんの場合は、バイトをはじめたばかりの頃に起こしたトラブルが今でも忘れられないという。
「当初はスタッフとして葬儀に参加していました。1発目が、ある著名人の音楽葬で、参列者も300~400人ぐらいいて、楽団の生演奏もあるような大がかりな葬儀で。僕は、斎場内の入れ替え作業中に、参列者を休憩所へ案内する役でした。でも、早くお焼香をして帰りたい人が扉の前に並びはじめて……」
作業の終わり時間が見えなかったため、休憩所で待つよう案内したが、聞く耳を持ってもらえなかった。そのうち、お焼香が始まったと勘違いした参列者が集まり、30~40分ほど経ってから開場した時には、かなりの数の参列者が集まり、大騒ぎになってしまった。
「その現場の前に、社長から『葬儀でミスしたら一生恨まれる』と教えられてたんです。お葬式は亡くなった人と会う最後の機会で、ただでさえ悲しみに包まれているのに、ミスが起こると、怒りがすべて葬儀屋に来るんだと。だから、『失礼なミスは絶対するな』と言われた直後だったんで、本当にめちゃくちゃへこみました」
相方のキャラに合わせて葬儀屋バイトをスタート
「葬儀でミスしたら一生恨まれる」社長の教え
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ