NHK取材メモ流出事件にともなうNHKからColaboへの謝罪FAQ - 発声練習

NHK取材メモ流出事件にともなうNHKからColaboへの謝罪FAQ

何の話?

2023年12月14日にNHKがColaboへ謝罪のため訪問したことに対する言説についての話です。
おもにこういう言説。
togetter.com

NHK取材メモ流出事件って何?

日本経済新聞2023年12月1日「NHKの取材メモがネットに流出 派遣スタッフ認める」より

ネット上に流出した文書は、若年女性を支援する一般社団法人「Colabo(コラボ)」がインターネット上で誹謗(ひぼう)中傷を受けた問題を取り上げる旨の企画概要のほか、実際に中傷に加わった取材対象者へのインタビューの文字起こしなど。「放送希望」として「12月1日 『首都圏ネットワーク』で5分程度」との記載もあった。

NHKによると、派遣スタッフは、取材対象者が中傷に加わったきっかけとして挙げていたX(旧ツイッター)のアカウントに、情報を流したと説明。このアカウントの持ち主が「放送されるかもしれないとタレコミがありました」と投稿し、文書をダウンロードできるようにして拡散させた。

コラボ側は、このアカウントの持ち主が名誉を毀損したとして提訴している。会見したNHKの小形修一リスクマネジメント室長は「流出先としてあってはならないところに流れてしまった」と述べた。

11月28日に取材対象者から担当記者に連絡があり、流出の可能性が発覚。取材メモに接することができた人物を調査した結果、派遣スタッフが12月1日に流出を認めた。

別の説明のしかた。2023年12月1日のNHKの会見を取材したTBSラジオ澤田大樹記者のコメント。
miyearnzzlabo.com

(澤田大樹)なにがあったか?っていうと、NHKの記者が作成したインタビューの取材メモなどがインターネット上に流出したという。これ、NHKサイドが今日、認めたということですね。で、ネットに流出した文書というのは若年女性を支援している一般社団法人Colaboという団体があるんですけど。そこがネット上で誹謗中傷をずっとこの間、受けていて。それについて取り上げる企画の企画書とそのインタビュー内容が流出したんですけど。その誹謗中傷に加担をしていた、とある人をNHKがインタビューしていて。で、その模様が出ちゃった。企画書込みで。

で、その情報が出てしまった相手というのが、その誹謗中傷に加担をしていたという人がネタ元にしていたアカウント。そのアカウントに対して情報が流出していた。だから、その震源地に対して「こんな企画がありますぜ」っていうのが流れたわけです。

NHKも被害者では?

確かにNHKもNHKの子会社から被害をうけたわけです。ですが、NHKから取材を受けた側からみれば、それはNHKの内部事情であり、謝罪する主体はNHKです。これは過去の企業や自治体・行政の不祥事を見てもそのような扱いになっています。

たとえば2014年におこったベネッセの個人情報流出事例は業務委託先社員が流出の原因でしたが、顧客への賠償や謝罪はベネッセが行っています。
www.benesse.co.jp

取材内容が番組に使われなかったことを謝罪するならばわざわざ出向く必要はないのでは?

私も昔、NHKで取材をうけたときに取材内容が番組で使われなかった件について取材に来たディレクタ(取材の責任者、番組の責任者は別途いる)に電話で謝罪を受けたことがあります。直接、謝罪に来ませんでした。ですが、今回の件は単に「取材内容が番組に使われなかったこと」でないのが問題でした。

報道関係者やライターの方々は今回のNHK取材メモ流出事件を以下のように認識しています。
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(えのきどいちろう)構造は昔、筑紫哲也さんがTBSで「TBSの報道は死んだ」って言った事件……オウムの幹部に坂本弁護士のインタビューのビデオを見せていたっていう。あの構造にすごく似ているんですけど。僕ら、ライターで言うと「ネタ元を守る」っていうことはすごい重要なんですよ。情報源を守るって、すごい大事で。もう基本中の基本なんですけど。それで、この話はどういう話か?っていうと、ものすごく大雑把に言うと誹謗中傷を受けていた人がいて。その人に対して誹謗中傷をしていた人にNHKが取材に行ったりしていて。「どういう感じで誹謗中傷していたの?」っていうのを……つまり「誹謗中傷していた側がこういうことを言ってましたよ」みたいなのが流出して、その他の誹謗中傷をしていた人がそれを知ってしまうと、ネタ元を守らない状態になってしまうっていうことなんですね。

以上のような報道の原則からすると問題外の事件なので、直接説明・謝罪に出向いているのだと思います。

なんで謝罪の場に記者がいるの?

Colabo側がNHKが来ると報道各社に伝えたためだと思われます。ポリタスTV 12/1放送回(12/18 19:00まで無料視聴可、以降はメンバー限定放)の15:22ぐらいからこの件について取材にいった件が話されています。何社か取材に来ていたとのことです。
www.youtube.com

NHKは説明に来たといっているので謝罪に行ったわけではないのでは?

今回のような事件が起こった際に謝罪なしで説明して、相手に聴いてもらえると考える人はいません。NHKの方がまともな社会人でなによりだったと思います。

謝罪の場面を写真に撮って公開するのは相手の面子をつぶす行為になるので避けるべきでは?

一理あると思います。しかし、Colabo側はそれを重視しなかったのでしょう。本件は、NHKがColaboに謝罪すべき事件であると記録に残す観点からこのようにしたのだと思います。上のポリタスTVでの仁藤氏が強調している点「単なる流出事例でなくColaboへの攻撃の一環である」を社会に訴えたかったのでしょう。取材協力したのにそれを無駄にされたColabo側の交渉の一環だと思います。

インタビューを受けた元加害者の男性にまず謝罪すべきでは?

すでに謝罪済みとのことです。 2023年12月1日のNHKの会見時にNHKはインタビューの相手に謝罪したとしたと述べたとのことです。

NHKはインタビューの相手に謝罪したとしている。
日経新聞12月1日より)

追記:当人も謝罪を何度も受けたといっています。

Colaboは謝罪をうける立場にないのでは?

NHKが謝罪と説明に出向いているという事実があるのでこの疑問自体が不思議です。単純に考えてColaboは取材を受けていたのでしょう。以下の産経新聞の報道のとおり、Colaboが誹謗中傷を受けていたという企画なのですから、誹謗中傷した側だけでなく、誹謗中傷されたColaboに取材があるのは自然な結論だと思います。

ネット上に流出した文書は、コラボがインターネット上で誹謗中傷を受けた問題を取り上げる旨の企画概要や、実際に中傷に加わった取材対象者へのインタビューの文字起こしなど。
産経新聞:NHKがコラボに謝罪 メモ流出の取材に協力

暇空茜にも謝罪をすべきでは?

暇空茜はリークされた取材メモをWebに公開して番組をつぶし、NHKの業務を妨害した人なので、NHKに謝罪する側だと思います。

杖なのか三脚なのかでやりあっているのは何なの?

自民党所属 川崎市議会議員 浅野文直氏が以下のツイートをし、それに対して「杖じゃなくて三脚だろう」と応答した人がでたところ、「三脚じゃない杖だ」というやりあいに発展しました。

Colabo擁護派は杖だったのを三脚だとしているという批判のネタにされています。
togetter.com

ちなみに、私も安田浩一氏のツイートをみたときは三脚だと思いました。

また、 浅野氏のポストは単なる難癖だと思っています。

謝罪は非公開でないの?

冒頭のあいさつだけ公開、その後は非公開だったとのことです。

追記:なぜ、Colaboへの謝罪が大々的に報道されているの?

はてなブックマークコメントより。

何故Colaboがこんな大掛かりに謝罪を受け、大々的に報道されたのか全く説明できていない(被害者本人はベタ記事のみ)

Colabo側が記者とのコネクションを持っており、かつ、NHKが来訪することを記者に声掛けをしていること、また、声をかけられた記者がColaboへの攻撃やNHKの取材メモ流出を問題視していることから報道の量に差がでているのだと思います。これまでの活動の差かと。