仮に「就職氷河期」が再現し、いや更に悪化した形で続くような場合、しかも企業が終身雇用制を崩すのに時間がかかる場合、このまま放置しておけば、「第二のロスジェネ」ないし「ロスジェネの固定化」といった事態に至ることが考えられます。これは大変なことです。それは、正規雇用に就けない世代が大量に発生するということだけではありません。高等教育を受けた人材が活用されずに放置され、スキルの伸びる時期にスキルを磨くことができずに年齢を重ねるというのは、人材が唯一の資源だと言われる日本社会の一層のパフォーマンス低下を招くことになるからです。
これを避けるために、即効性のある方策として(1)既卒者の採用拒否を禁止する、
(2)既卒者の有給インターン制度を設ける、の二点を提言したいと思います。
(1)に関しては、今年の4月に書いたように理不尽ながら日本の民間企業では堂々と横行しています。「新卒は大学在籍中だから身元が安心」「年功序列のヒエラルキーを崩したくない」「他社の色が付いた人材は鍛えにくい」・・・色々と企業には言い分はあるでしょう。ですが、「就職留年」をさせて「自己分析」や「業界研究」をした方が有利で、しっかり既卒で働いて社会経験をするのはダメというのはどう考えても理不尽です。派遣の薄給に耐える中から社会を見た人間は「労使関係の本質を知りすぎているから使えない」というのがホンネなら、財界は総じて「ブラック企業」と言われてもおかしくないと思うのです。
日本の事情も考慮した上での提言。心から賛同する。大体200社以上の会社に既卒お断りされた俺がメールを張るのように卒業して一年間経っただけで門前払いというのはいろいろと良くない。今年は所属学科でも、「就職が決まらないので留年したい」と申し出る学生の対応について話し合われた。教員の多くが新卒と既卒の扱いの差を知っていたので「今は不況だからしょうがありませんね。」という意見でまとまったけど、こんな状況なのはとにかく良くない。