ニッポンの防衛装備品は世界で受け入れられるか|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

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ニッポンの防衛装備品は世界で受け入れられるか

哨戒機「P1」機体からエンジンまで輸出期待高まる
ニッポンの防衛装備品は世界で受け入れられるか

新たな取引に動く(民間機中心の国際航空ショーに出展された哨戒機「P1」)

 政府は2014年、防衛装備移転三原則の運用を始め、防衛装備品の輸出にかじを切った。パリで開催中の航空宇宙産業展「パリ国際航空ショー」では、フランス政府の要請を受けて出展された海上自衛隊の固定翼哨戒機「P1」(川崎重工業製)に、輸出成功の第1号への期待が集まった。

 このショーの入り口の近くの建屋にブースを構えたのが、日本航空宇宙工業会(SJAC)と会員12社。新明和工業は海上自衛隊に採用された救難飛行艇「US2」の模型を出展した。

 担当者は「P1のように実機展示してほしいと言われた」と手応えを見せる。高さ3メートルの波の上に着水できるのは、世界で唯一だ。輸出は政府間の交渉になるが、複数の国から引き合いが来ているという。

 SUBARU(スバル)は陸上自衛隊の次期多用途ヘリコプター「UH―X」の模型を出展した。量産初号機を21年度末に陸上自衛隊に納入予定で、その後は各国への輸出も想定する。

 UH―Xのベース機種は民間用途での輸出も狙う。若井洋航空宇宙カンパニーヴァイスプレジデントは「消防や警察の厳しい任務でも安心して使用できる。アジアなど新興国が主要な販売先になる」との見方を示す。
哨戒機「P1」用エンジン

日刊工業新聞2017年6月23日



航空機産業、"防需"が下支え


 日本航空宇宙工業会は5月29日、2016年度の航空機生産(速報値)の総額が前年度比4・1%減の2兆427億円だったと発表した。民間航空機向け部品が大型機の需要減少で落ち込んだ。ただ、防衛や宇宙分野が底堅く推移し、2年連続で2兆円を超えた。

 16年度の生産額の内訳は民間向けが同10・9%減の1兆1788億円、防衛向けが同12・5%増の5270億円、宇宙分野が同0・3%減の3369億円。会見した吉永泰之会長(SUBARU〈スバル〉社長)は「航空宇宙は経済を活性化する先端技術産業だ。こうした使命を肝に銘じ、産業発展に努める」と述べた。

日刊工業新聞2017年5月10日



日刊工業新聞2017年6月23日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
防衛装備庁は「P1」用エンジン「F7」の民間転用も検討している。F7は純国産では最大級のエンジン。小型のリージョナルジェットなどへの搭載が見込める。機体全体だけでなくエンジンビジネスも機体できる。 F7の開発は防衛省技術研究本部を中心に行われ、IHIが設計・製造を担った。推力約6トンの小型タイプのエンジンだ。低燃費と低騒音を両立したほか、窒素酸化物(NOX)の排出も大幅に削減した。軍用機としての運用実績をテコに、民間機への搭載を訴求していく。

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