パナソニック、有機ELテレビ拡大の裏に韓国の存在あり|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

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パナソニック、有機ELテレビ拡大の裏に韓国の存在あり

パネル供給でLGと思惑一致!?テレビ事業は過去の教訓を生かせるのか
パナソニック、有機ELテレビ拡大の裏に韓国の存在あり

昨年に売上高10兆円の目標を撤回したパナソニック(津賀社長)

 2017年内に有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)テレビを日本国内、アジア、中南米で発売すると発表したパナソニック。ソニーも同年内に日本を含む全世界で4K有機ELテレビを発売することを決めている。国内の高価格帯製品の主役は現在の4Kテレビから4K有機ELテレビへと移りそうだ。

 IHSテクノロジーによると、16年1―9月期の4Kテレビの価格は、前年同期比で28%下落した。45型以上での4K比率は日本が75%、中国が73%。普及の速度が遅かった欧米でも本体価格の大幅な下落と、ネットフリックスなどのインターネットサービスがけん引役となり、約60%に上昇した。50型以上では18年までに浸透率がほぼ100%となるだろう。

波乱要因は中国


 今後、テレビ市場の波乱要因になりそうなのが中国。IHSテクノロジーの鳥居寿一シニアディレクターは「大きな変化がコンテンツメーカーがテレビ市場に参入している点。例えばストリーミングサービスを手がけるLeEco(楽視網)は、視聴契約とテレビをセット販売する手法でシェアを伸ばしている」という。

 同社は、米テレビ大手のVizioの買収も発表した。テレビ本体の価格をゼロにするなど、大胆な価格設定で強みを発揮している。

 同様にシャオミなど5―6社がストリーミングテレビを出しており、競争が激しくなっている。中国ではテレビ放送よりもネットのストリーミングサービスがどんどん普及していることも、その動きを加速している。

 「こうなると厳しいのが、TCLやハイセンスなどのテレビメーカー。中国市場での成長が見込めず、北米やアジアを中心にグローバル展開を図っている。だがブランド力やマーケティング力が弱く、苦戦している」(鳥居氏)

勝ち残りの条件はプレミアム層の囲い込み


パナソニックが発売する4K有機ELテレビ(CESで)


 テレビ市場で勝ち残るには規模を拡大するか、高価格層を確保することが必要になる。プレミアム層の選択肢の一つが、有機ELテレビだ。2000ドル以上の価格帯で売上高に占める有機ELテレビの比率は40%。現状、パネルは韓国LGディスプレイのみが供給しているが、まだ歩留まりは低い。

 「そのため日本を含めて他のブランドを囲い込もうとする動きを強めており、高価格帯を維持したいテレビメーカーとも思惑が一致」(同)。その1社がパナソニックというわけだ。

 パナソニックの有機ELテレビは「HDR(ハイダイナミックレンジ)」と呼ばれる高画質技術を初めて採用して、画質にこだわる富裕層の買い替え需要を狙う。品田正弘テレビ事業部長は「過去に販売したプラズマテレビを上回る画質で、同じ顧客層を満足させられる製品になった」と、買い替え需要の取り込みに自信をみせている。

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日刊工業新聞2017年1月7日の記事を大幅加筆
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
長くパナソニックのテレビやディスプレイー事業を取材してきた。コンシューマメーカーとして有機ELテレビをやらざるを得ないのだろう。今、実家を含め何台ものテレビはみんなパナソニック製。「安心して買える」ブランドであることは間違いないが、今のところそれ以上、以下でもない。赤字を出さない程度に事業をやる、では津賀さんは納得しないだろう。

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