製造業IoT、日本は欧米のシステム提案競争に加われるか
とにかく早く着手。データビジネス、まだ貯金は蓄えられていない
さまざまな機器をインターネットにつなぎ企業と社会のあり方を一変させるIoT(モノのインターネット)技術。これまでの業界地図を塗り替えるかのようにITや電機、自動車などの世界大手が入り交じり実用化を急ぐ。IoTの活用事例では先行すると言われる日本だが、システムの提供者側としてはまだ競争に加われていない。ただ政府は「日本再興戦略2016」でIoTの推進を掲げており、日本勢も追い上げを急ぐ。
ドイツのIoTの発信源となっている「ハノーバーメッセ」。その会場ではIoTの実用例が目立った。
米マイクロソフトのブースでは、英ロールス・ロイスのジェットエンジンや独ティッセンクルップのエレベーターなど、巨大な実物を並べて来場者の目を引きつけた。これらはみな、同社のシステム基盤「アジュール」を使ってIoTシステムを構築した。アジュールは予防保全や遠隔監視などIoTの主要用途ごとにひな型があり、短期間でシステムを構築できる。
一方、ドイツの世界的ソフトウエア会社であるSAP。会計パッケージで知られる同社だが近年はクラウドシステムに力を入れる。
提携関係にあるのが電機大手の独シーメンスだ。シーメンスが15年12月に発表したクラウドベースのIoTシステム「マインドスフィア」はソフトウエア基盤とデータセンターなどのシステム基盤にSAP製品を活用する。企業向けソフトと工場自動化(FA)機器の巨人のコンビに独政府の支援が加わった格好。日本勢には間違いなく脅威だ。
そのSAPが「パッケージソフトでは大口顧客だが、IoTでは競合になってしまった」と話すのが、自動車部品世界首位の独ボッシュだ。3月に自社開発のクラウド型IoTシステムを発表。センサーをつけた通い箱で温度や振動などのデータを収集し、輸送品の品質を管理するシステムをハノーバーメッセで披露した。ボッシュのアドバンテージは、巨大市場である自動車での応用だ。
ボッシュ同様に異業種から参入するのは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)。IoTシステム「プレディクス」を開発した。ただソフト基盤とシステム基盤には、米ピボタルと米アマゾンウェブサービスの製品を活用する。ピボタルはGEに加えて米フォード・モーターや米マイクロソフトからも出資を受けた。
IoTシステム基盤の標準の座をとれれば大きなビジネスになる。巨大企業は激しい競争を繰り広げる。
ドイツのIoTの発信源となっている「ハノーバーメッセ」。その会場ではIoTの実用例が目立った。
マイクロソフト、SAPに勢い
米マイクロソフトのブースでは、英ロールス・ロイスのジェットエンジンや独ティッセンクルップのエレベーターなど、巨大な実物を並べて来場者の目を引きつけた。これらはみな、同社のシステム基盤「アジュール」を使ってIoTシステムを構築した。アジュールは予防保全や遠隔監視などIoTの主要用途ごとにひな型があり、短期間でシステムを構築できる。
一方、ドイツの世界的ソフトウエア会社であるSAP。会計パッケージで知られる同社だが近年はクラウドシステムに力を入れる。
提携関係にあるのが電機大手の独シーメンスだ。シーメンスが15年12月に発表したクラウドベースのIoTシステム「マインドスフィア」はソフトウエア基盤とデータセンターなどのシステム基盤にSAP製品を活用する。企業向けソフトと工場自動化(FA)機器の巨人のコンビに独政府の支援が加わった格好。日本勢には間違いなく脅威だ。
ボッシュが独自システムで競合に
そのSAPが「パッケージソフトでは大口顧客だが、IoTでは競合になってしまった」と話すのが、自動車部品世界首位の独ボッシュだ。3月に自社開発のクラウド型IoTシステムを発表。センサーをつけた通い箱で温度や振動などのデータを収集し、輸送品の品質を管理するシステムをハノーバーメッセで披露した。ボッシュのアドバンテージは、巨大市場である自動車での応用だ。
ボッシュ同様に異業種から参入するのは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)。IoTシステム「プレディクス」を開発した。ただソフト基盤とシステム基盤には、米ピボタルと米アマゾンウェブサービスの製品を活用する。ピボタルはGEに加えて米フォード・モーターや米マイクロソフトからも出資を受けた。
IoTシステム基盤の標準の座をとれれば大きなビジネスになる。巨大企業は激しい競争を繰り広げる。
日刊工業新聞2016年5月24日