中国市場低迷が想定上回る…安川電機の成長減速、通期下方修正
安川電機の業績に減速感が出ている。中国市場の低迷や半導体・電子部品市況の回復遅れが想定を上回り、2025年2月期連結業績予想(国際会計基準)の売上高などを下方修正した。ただ24年6―8月期の受注は前年同期比1%増で7四半期ぶりのプラスに転換。受注環境は良くなっているものの、中国市況悪化などが重しとなり本格的な成長軌道に乗るにはまだ時間がかかりそうだ。(高島里沙)
「中国市場の回復は想定よりも順調ではなく、当社の期待値とはいまだに乖離(かいり)があり、下方修正はやむを得ない」。安川電機の小川昌寛社長は、下方修正の理由をこう捉える。
今回、25年2月期連結業績予想について、当期利益は中国の関連会社の株式売却などで4月公表比100億円増の640億円(前期比26・3%増)に上方修正した。一方で、売上高は同270億円減の5530億円(同3・9%減)、営業利益は同60億円減の640億円(同3・4%減)とした。
25年2月期のロボット事業の営業利益は前年同期比15・9%増の291億円で堅調に推移するが、サーボモーターなどのモーションコントロール事業は同18・7%減の317億円と中国・欧州市場の低迷や半導体市場回復の遅れが響く。
半導体関連の受注について小川社長は「米国、韓国で戻ってきているが日本はまだ弱い。欧州市場は景況感を気にせずに一定数は確保したい」とした。
同社は中期経営計画最終年度の26年2月期に売上高6500億円、営業利益1000億円の目標を掲げる。残り約1年での挽回となるが、小川社長は「見直す予定は今のところないが、最終年度の売上高6500億円にはこだわらない」と述べた。
目標はあくまで営業利益1000億円とし、それを稼ぐために営業活動、付加価値の増加、間接費の抑制などを進める方針だ。また中国以外に日本やインド、東南アジアなどに力点を置き、業績回復に向けて巻き返しを図る。