高分子コンデンサー開発効率化…パナインダストリーが新設、「スマートラボ」とは?|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

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高分子コンデンサー開発効率化…パナインダストリーが新設、「スマートラボ」とは?

高分子コンデンサー開発効率化…パナインダストリーが新設、「スマートラボ」とは?

大阪府門真市の拠点内で稼働するスマートラボ

パナソニックインダストリーは高分子コンデンサーを製造するデバイスソリューション事業部佐賀(佐賀県大町町)に、自動実験設備「スマートラボ」を新設する。特定の条件下で材料を化学変化させる実験を自動化し、新材料の開発や既存品の改良を効率化する。大阪府門真市の拠点で先に稼働を始めたスマートラボで取り組む実験の補完にも活用する。仕様や投資額などの詳細は今後詰める。2025年度以降、早期の設置を目指す。

大阪府門真市のパナソニックインダストリーのスマートラボは異なる条件での実験を同時に9件処理する能力があり、夜間や休日に実験を進めたり、遠隔で実験したりすることで電子部品材料の開発効率を高める。23年に大阪府門真市の拠点内で延べ床面積250平方メートルのスマートラボを初めて稼働した。

佐賀拠点で製造する高分子コンデンサーは通信やサーバー、車載などの分野で使われている。佐賀拠点に新設するスマートラボの投資額は決まっていないが、門真市のラボの投資額である数億円よりも小規模になる見込み。

スマートラボは24時間365日稼働可能な実験設備。温度や電圧など、特定の条件下で材料を化学変化させる実験を自動化する。高分子コンデンサーの開発効率は稼働前の25倍向上したという。技術者は単純な実験をする必要がなくなり、基礎原理の考察といった高度な業務に集中しやすくなる。今後は実験計画の立案に人工知能(AI)を活用し、さらに開発効率を高めたい考えだ。

パナソニックインダストリーは高分子コンデンサーや多層基板材料、サーボモーターなどの電子部材を手がけ、電気自動車(EV)や生成人工知能(AI)サーバー向けに注力している。

日刊工業新聞 2024年09月10日

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