山岳トンネル掘削作業「アタリ判定」を自動・高速化、鹿島が開発したシステムの効果
鹿島は23日、演算工房(京都市上京区)と共同で山岳トンネルの掘削作業で発破後のアタリ判定の自動化と高速化を実現する「アタリガイダンスシステム」を開発したと発表した。3次元(3D)レーザースキャナーで切羽(掘削面)形状のデータを取得し、アタリを定量的かつ自動で判別する。今後は判定の一層の高速化と精度向上を図り、遠隔操作の精度も高めていく方針。
同システムはブレーカーに搭載した3Dレーザースキャナーで切羽形状をスキャニングし、そこで得た点群をデータ化し3Dモデル化。さらに事前登録したトンネル設計断面のデータと重ね合わせて数値化することで、高精度なアタリ判定を行う仕組み。従来はブレーカーのオペレーターと判別者で行っていたアタリ取りを、オペレーター1人に減らせる。ブレーカーの遠隔操作により、アタリ取り作業中の切羽の完全無人化も実現する。
アタリは発破掘削後の地山のうち設計断面内にあり、ブレーカーで除去する必要がある部分。熟練技能者は切羽近傍で目視によってアタリを判別し、ブレーカーのオペレーターに指示を出しながらアタリ取りを行うため、土砂などがはがれ落ちる肌落ちに巻き込まれるリスクがあった。
日刊工業新聞 2024年7月24日