ソニー・日立・パナソニック…電機大手8社・通期予想の全容
電機大手の2025年3月期連結業績予想では、パナソニックホールディングス(HD)、三菱電機、富士通の3社が増収を見込む。一方、カーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出量実質ゼロ)関連の堅調さなどを受け、日立製作所、三菱電機が当期増益を予想する。シャープは液晶パネル生産子会社の稼働停止などで当期損益の黒字転換を狙う。
ソニーグループは金融分野の減収や家庭用ゲーム機の販売数量減少などで減収を予想。当期利益も日米での税額控除の減少で減益を見込む。営業利益は前期比5・5%増の1兆2750億円としており「メーンカメラの大型化の恩恵」(十時裕樹社長)でスマートフォン向け画像センサーなどが業績を支える。
日立は事業再編の影響で減収となるものの、送配電や鉄道、デジタル需要が好調を維持し、当期増益に。特にCNの流れで変圧器などは「受注から3年ぐらいの納期になっている」(小島啓二社長兼最高経営責任者〈CEO〉)と絶好調だ。
パナソニックHDは増収および液晶子会社の解散に伴う一次益計上の反動減で当期減益を見込む。成長分野の車載電池事業は電気自動車(EV)市場が踊り場を迎えて売上高が減少する一方、生産性向上やコストダウンなどで営業利益は増益を見込む。梅田博和副社長は「米国でしっかり頑張るのに加え、日本という地域が戦略領域になる」とした。
三菱電機は当期利益が2期連続で過去最高を更新する見通し。鉄道などの社会システム事業の需要増や防衛・宇宙システムの事業規模拡大、空調・家電、工場自動化(FA)システムの回復などが寄与する。
NECは日本航空電子工業の非連結化で非GAAP当期利益が前期比7・2%減を見込む。ただ防衛事業の受注増や国内を中心とするITサービス需要は底堅く、調整後営業利益は同14・1%増の2550億円を見込む。
富士通はハード製品の苦戦が続くものの、旺盛な国内IT需要や半導体の市況回復もあり、増収営業増益の見通し。調整後当期利益は前期比4・2%減を見込むが、8月予定の新光電気工業の株式売却が計画通りに進めば当期利益は反転する。
2期連続営業赤字のシャープは「ディスプレーデバイスの収益改善に取り組む」(呉柏勲社長)ことで、100億円の黒字転換を目指す。大型液晶ディスプレーの国内生産停止などを通じ「25年3月期はブランド事業に集中した事業構造を確立し、“負のサイクル”から脱却する」(同)。
23年12月に非上場化した東芝の24年3月期決算は、持ち分法適用のキオクシアHDの業績悪化などで748億円の当期赤字だった。25年3月期業績予想は非公表。
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