いすゞが自動運転の開発急ぐ、ティアフォーに60億円出資
いすゞ自動車は自動運転システムの開発に強みを持つティアフォー(名古屋市中村区、加藤真平社長)に60億円を出資した。ティアフォーとの連携を強化し、特定条件下で運転を完全自動化する「レベル4」に対応した車両とシステムの開発を急ぐ。将来はいすゞが路線バス事業者に対し、自動運転車両と同システムを提供する計画だ。
ティアフォーは2015年に設立した自動運転スタートアップ。自由に改変できるオープンソースの自動運転システム「Autoware」の開発を主導し、世界のあらゆる環境下で自動運転の実証実験を行っている。
ティアフォーと協業実績があるいすゞは、出資に踏み切ることで経営に参画し、技術革新が速い自動運転分野の開発を強化する。今後ティアフォーの取締役に人材を派遣する計画。出資後のいすゞの持ち株比率は非公表。
いすゞは自動運転に適した中型・大型路線バスの開発を担当。一方、ティアフォーはカメラや高性能センサー「LiDAR(ライダー)」などから得られる情報を認知・判断するシステムの開発を担う。ディーゼル車に加え、いすゞが24年度に発売を予定する電気自動車(EV)路線バス「エルガEV」に自動運転システムを搭載することも想定する。具体的な開発スケジュールは今後詰める。
路線バス業界では運転手の高齢化などで、自動運転技術の確立が求められている。いすゞは業界の課題解決に向け、レベル4に対応した自動運転路線バスを販売する計画。車両の売り切りではなく、遠隔監視機能など周辺システムを備えたソリューションとして提供することを目指す。
日刊工業新聞 2024年03月06日