少し手間暇をかけて、1杯。野燗炉を現代風にアレンジしたオールインワン炭焼き器|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

ニュースイッチ

少し手間暇をかけて、1杯。野燗炉を現代風にアレンジしたオールインワン炭焼き器

【FACTORY'S GOODs】早野研工「+Base」

“野燗炉”(のかんろ)という言葉をご存じだろうか?江戸時代あたりから庶民に楽しまれた道具のことで、炭を燃やす炉と熱燗をつけておく湯を入れる部分に分かれており、野外で程よい温度の熱燗を楽しむための1品だった。早野研工が製造・販売する「+Base」(プラスベース)はそんな野燗炉を現在風にアレンジしたもので、注目を集めている。

銀座 蔦屋書店に工場発「モノづくり」ポップアップショップが出現!18社・約70製品が集結

【手間を楽しんでつまみとお酒を楽しむ】
 「今のところ購入層を見ると40~50代の男性が多い。ちょっとした手間暇をかけること自体に楽しさを見出してくれる方には、ぐっとくる製品ではと思います」―そう話すのは同社の早野文仁社長。+Baseは前述のように野燗炉を楽しめる製品だが、それ以外にも串焼き・網焼・鉄板焼・鍋・蒸し・燻製も1台で楽しむことが出来る、「オールインワン炭焼き器」となっている。主に炭焼き器にあたる本体と、これに極厚プレート・鍋・鍋蓋・燻製/蒸し台・野燗炉蓋・網などのモジュールを適宜組み合わせて追加することで幅広い調理を可能にした。サイズはA4で、公園のテーブルや庭先、ベランダなどでも設置できる手軽さがうれしい。本体はステンレス製で、扱いやすく頑丈。あえてステンレスそのままの素材感を活かした無塗装版と、黒の耐熱塗装仕上げ版を用意している。

本体とすべてのモジュールがすっきりとした見た目と機能性を兼ね備える

【あえて作りやすさを捨てて】
 同社は長年自社製品開発に力を入れており、アウトドア関連ブランド「Hot Camp」も展開。その中でも焚き火台の「Fire Base」は社内の若手が自らデザインを考案し、設計。機能性・デザイン性が評価され、2021年ギフトショーのグランプリも獲得している。しかし、今回の+Baseではデザイナーを招き入れて企画開発をスタートしたため、今までとは違う苦労も多かった。
 「デザイナーの方はどうしてもデザイン性の追求にこだわる。言葉にできない“すっきりとした見た目”を表現するのには苦労しました。私達からすれば『どっちでもよいのでは?』と思うような個所の形状にも細かな指定があり、現場は苦労したと思います」(早野社長)。
 同社は産業用部品などの製造を手掛ける板金加工メーカーだ。めまぐるしい生産状況の中では手間や時間がかかりすぎないよう作りやすい形にする、というのは大切なポイント。しかし、デザイン性にこだわれば、細かな手間が増えておのずと「作りやすさ」からは離れていく。だがせっかくならデザイナーと早野研工の力でできるものを作ろう、と希望にはできる限り沿った。そのおかげで+Baseはデザイン性、そして7つの調理を滞りなく行うことができる機能性を両立している。直火を使い調理する機器にはひずみが生じやすいのだが、+Baseはさまざまなモジュールを組み合わせるため本体がひずめば、鍋などがきちんとはまらなくなる。何度も試作を繰り返しながら火の回り方を確認。それらの課題を解決している。

同社の自社製品の一つである「金の牌」。ニッチだが今でも問い合わせがある

「手軽に使える製品ではなく、また大人数で使えるものでもない。少々ニッチな製品なのでビッグヒットを狙っているわけではありません。ただ、自社製品開発をやっていて思うのが地道にやっていれば必ず誰かに見つけてもらえる、ということ。これからも差別化できる1品を作り、求める人のところに届けて行けたら」(早野社長)。
 今後も、早野研工だから作れた、「誰か」に届く製品開発を進めていく。

商品情報

シリーズ名:アウトドアブランド「HotCamp」
商品名:+Base
 用途:アウトドア用グリル器
 サイズ:W298×D182×H148mm
 価格(税込):フルセット(耐熱黒塗装):47,630 円
 販売サイト:https://hayanokenko.jp/

企業紹介

(有)早野研工 Hayanokenko CO.,LTD.
所在:〒503-0965 岐阜県大垣市多芸島1-86-2
従業員数:37名
事業内容:精密板金加工、プレス加工、各種部品加工および治工具設計製作

FACTORY’S GOODs 詳細情報

ポップアップショップ @銀座 蔦屋書店
会期:2023年 11月3日(金・祝)〜4日(土)12:00~20:00(最終日は19:00)
会場:銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM (東京都中央区銀座6丁目10−1 GINZA SIX 6F)
https://store.tsite.jp/ginza/
入場登録:不要
入場料:無料

店頭タイアップによるフェア @銀座 蔦屋書店
会期:2023年10月21日(土)~11月5日(日) 10:30~21:00
会場:銀座 蔦屋書店 (東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 6F)EATALY側展示台
https://store.tsite.jp/ginza/

技術展示&ポップアップショップ @東京ビッグサイト
会期:2023年 11月29日(水)〜12月1日(金)10:00~17:00
会場:東京ビッグサイト 西2ホール (G-01)(東京都江東区有明3-11-1)
入場登録:要(詳細は https://autumnfair.nikkan.co.jp/ 参照)
入場料:1,000円(入場登録者、招待状持参者、中学生以下無料)

特設Webサイト:https://biz.nikkan.co.jp/brand/factorysgoods/

展示会スポンサー

株式会社ソディック
 株式会社青山財産ネットワークス
 日進工具株式会社
 牧野フライス精機株式会社
 碌々スマートテクノロジー株式会社
 一般社団法人日本工作機械工業会
 株式会社アマダ
 モノづくり日本会議

ニュースイッチオリジナル

特集・連載情報

FACTORY'S GOODs 2023
FACTORY'S GOODs 2023
日本のモノづくり企業の技術と知恵、センスとギミックが詰め込まれた、「GOOD」な工場発の製品を紹介・販売するポップアップショップ「FACTORY’S GOODs(ファクトリーズグッズ)」。2023年11月3日(金・祝)〜4日(土)銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM、2023年 11月29日(水)〜12月1日(金)東京ビッグサイト 西2ホールにて開催。

編集部のおすすめ