「歴史に新たなページ」…アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」年内にも発売
エーザイは25日、米バイオ医薬品大手バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病(AD)治療薬「レケンビ点滴静注」(一般名レカネマブ)について、厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表した。レカネマブは早期のAD型認知症患者を対象とした治療薬で、病気の原因に働きかける薬としては日本で初となる。今後、厚労省の専門部会で価格を設定し、年内にも発売する見通し。
レカネマブは脳内に蓄積して病気の原因になるとみられるたんぱく質「アミロイドベータ(β)」を除去する効果が期待され、臨床試験では疾患の進行を平均約3年遅らせると推定される。レカネマブは7月、米食品医薬品局(FDA)から世界に先駆けて正式承認を取得した。日本での承認についてエーザイの内藤晴夫最高経営責任者(CEO)は「AD治療の歴史に新たなページを開くことができた。AD当事者とその家族に的確に届けることに全力を尽くす」とした。
米国のレカネマブの卸売価格は患者1人当たり年間2万6500ドル(約375万円)程度。日本では厚労省が薬価算定制度に基づいて価格を設定するが日本でも高額となることが予想され、医療費増加の進行が懸念される。一方でADの進行抑制効果は介護費用の削減につながるという見方もでき、医薬品の革新性をどこまで評価した薬価をつけるかにも注目される。
日刊工業新聞 2023年月9月26日