電力システムの海外売上高5割に、三菱電機が欧米で関連企業買収|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

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電力システムの海外売上高5割に、三菱電機が欧米で関連企業買収

統括拠点設立、戦略立案
電力システムの海外売上高5割に、三菱電機が欧米で関連企業買収

米子会社の三菱電機パワー・プロダクツ

三菱電機は2030年度に電力システム事業の海外売上高の比率を現在より約20ポイント高い50%に引き上げることを目指す。近年、欧州などで同事業関連の海外企業を相次いで買収している。カーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)達成に向けて電力インフラの重要性がますます高まる中、買収した企業の事業拡大を軌道に乗せるとともに、北米やアジアなどでも事業を広げ、海外売上高の比率を長期的に高めていく考えだ。

三菱電機は21年8月に再生可能エネルギー普及に必要な分散電源制御システムの開発を手がける英スマーター・グリッド・ソリューションズ(SGS)を買収。23年2月にも再生エネ普及につながる高電圧直流送電(HVDC)システムでの直流遮断器(DCCB)開発などのスウェーデンのサイブレークを買収した。上席執行役員の浜本総一電力・産業システム事業本部長は「買収したところの事業成長を国内とともにグローバルに進める」と強調する。

米国では子会社の三菱電機パワー・プロダクツ(ペンシルベニア州)を通じて事業を拡大中。22年2月には同社を通じ、北米でのデータセンター向け無停電電源装置(UPS)の保守・サービスを手がける米コンピューター・プロテクション・テクノロジーを買収済みだ。一方、買収した海外企業との相乗効果を高めるため「デジタルエナジー事業統括センター準備室」を設立し、グローバル戦略を立案している。

三菱電機は同事業における26年3月期の売上高を4000億円(23年3月期実績3310億円)、営業利益率8%(同6・7%)にする目標を掲げ、国内事業の効率化と海外での売り上げ拡大などで達成を目指す。

インタビュー

現地に根差した製品納入 上席執行役員・浜本総一氏

浜本上席執行役員に今後の海外戦略などを聞いた。(編集委員・小川淳)

―海外展開をどう強化しますか。

「買収した会社の事業成長を国内とともに、グローバルに進める。電力自由化やシステム改革など、海外で先行するところと国内の進展を合わせていく。もちろん国内で培ったものを海外にも持って行く」

―海外売上高比率は。

「現在30%程度だ。買収した企業の事業拡大を軌道に乗せるなどし、30年度には海外売上高を40―50%まで伸ばしたい」

―今後の出資や提携の方針は。

「電力関係で新しい分野が開拓されている。そうした新しい電力システムや電力インフラ構築にはハードウエア、ソフトウエア双方が重要だ。企業の買収や提携は今度も進んでいくと思う」

―デジタルエナジー事業統括センターの概要は。

「準備室を4月に立ち上げた。これまで海外向けには輸出ベースで対応していたが、しっかりと海外に根差したシステムやソフト製品などを納めるには、海外を見て仕事をする必要がある。海外戦略を立案し、判断を機動的に行う」


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日刊工業新聞 2023年07月27日

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