20トン級試作、コマツが「水素燃料電池ショベル」の開発に注力する理由|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

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20トン級試作、コマツが「水素燃料電池ショベル」の開発に注力する理由

20トン級試作、コマツが「水素燃料電池ショベル」の開発に注力する理由

水素燃料電池を搭載した中型油圧ショベルのコンセプト車

コマツは水素燃料電池を搭載した中型油圧ショベルのコンセプト車(写真)を開発した。20トンクラスの車体にトヨタ自動車製の水素燃料電池システムと水素タンクを複数個搭載したもので、小山製造所(栃木県小山市)で実証試験を始めた。今回の水素燃料電池ショベルと別に、20トン電動ショベルも2022年10月に開発済み。建設機械稼働現場でのカーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向け、量産化に向けた取り組みを加速する。

同コンセプト車の稼働時間や本体サイズは非公表だが、参考となる20トン通常車の寸法は横9・5メートル、幅2・8メートル、高さ3・1メートル程度。自社開発のキーコンポーネントとトータル制御技術により、エンジン駆動式と同等の力強い掘削性能と操作性を追求している。

コマツが電動ショベルと並行し、水素燃料電池ショベル開発にも注力するのは、リチウムイオン電池(LiB)より短時間で水素燃料を充てんできる点が背景にある。現行のLiBは大型建機を動かすにはパワー不足で、個数を増やして出力を増すと充電に長時間が必要で、建設現場では使えない。ただ水素燃料電池も現状では水素燃料供給インフラの問題があり、政府の今後の支援策などもにらみながら研究を続ける。


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日刊工業新聞 2023年05月18日

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