新型コロナ「mRNAワクチン」接種時刻は抗体価影響せず、北大などが初めて示した意義
北海道大学大学院の山仲勇二郎准教授らは金沢大学、東北大学と共同で、新型コロナウイルスのメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン接種時刻は、接種後の抗体価に影響しないことを初めて示した。米モデルナのmRNAワクチン接種者について、接種時刻と年齢や睡眠時間などと抗体価の関係を解析して確認した。効果的なワクチン接種戦略への科学的根拠となる。
2020年7月から9月にモデルナの1回目接種を受けた一般成人男女332人を対象に、ワクチン接種時刻と対象者の年齢、性別、接種からの経過時間、アレルギー症状、既往歴、常備薬の服用、睡眠時間の影響を調整した線形回帰分析を行った。
その結果、接種時刻と抗体価に関連がないことが示された。
ワクチン接種と、24時間を一周期とする概日リズムには関連があるとされる。これまで医療従事者を対象とした研究で、米ファイザーのワクチンは午前より午後接種の方が、中国シノファームの場合は午後より午前接種の方が抗体価が上昇したとの報告がある。ただ、不規則な勤務状態の医療従事者が対象のため、概日リズムや睡眠の影響がワクチンの免疫応答に作用した可能性が指摘されていた。
日刊工業新聞2022年9月28日