若手職人の即戦力化できる!?、“なぞり触感”を増幅するタッチレンズ|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

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若手職人の即戦力化できる!?、“なぞり触感”を増幅するタッチレンズ

若手職人の即戦力化できる!?、“なぞり触感”を増幅するタッチレンズ

なぞり触感増幅タッチレンズ(弘前大提供)

弘前大学の竹囲年延助教と立命館大学の安藤潤人助教らは、なぞり触感を増幅するタッチレンズを開発した。4本のピンで一つ山を作り、この四角錐が連続してつながった繰り返し構造に設計した。タッチレンズを指先において微小な凹凸を擦ると、ピンの傾きが変化して凹凸を感じやすくなる。金型など精密部品の段差や打痕などの検査を熟練の職人でなくてもできるようになる可能性がある。

タッチレンズは厚さ3ミリメートル、10ミリ×10ミリメートルの大きさで製作した。ピンの太さは0・3ミリメートル。全体は柔軟で微小な凹凸構造に追従できる。微小凹みの試験ピースとして、深さ60マイクロメートル(マイクロは100万分の1)、幅4ミリメートルのガウス関数型の緩やかな凹みを作製しタッチレンズの効果を確かめた。すると縦方向と横方向とも触感を増幅できた。

指とタッチレンズの間に歪みセンサーを挟んで触感を測ると、緩やかな凹みに対して鋭い波形を得られた。センサーでの測定も増幅して自動検出できる可能性がある。

従来は線ファスナーの樹脂コイルなどがタッチレンズとして提案されていた。樹脂コイルはコイルの長手方向にしか増幅できない課題があった。新タッチレンズはなぞる方向によらず増幅でき、動きの自由度が増した。

自動車のボディーや金型など微小な傷を探す触検査は熟練した職人が担ってきた。計測技術の導入はコストになるため、金型など数が少なく複雑な構造の対象は職人が確認した方が早い。タッチレンズで若い職人の即戦力化が期待される。

日刊工業新聞 2022年6月23日

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