輸送用段ボール製造企業が開発した「段ボール製トング」が面白い
京阪紙工(大阪府大東市、住谷正司社長)は、強化段ボール製のゴミ拾い用トングを開発した。自社の型抜き機で先端はゴミがつかみやすい形状に加工し、水につけたときの影響を減らすために撥水(はっすい)処理を施した。すでに釣り具メーカーや金融機関から引き合いがあるという。持ち手部分にはインクジェットプリンターでロゴマークなども印字できるため、OEM(相手先ブランド)商品としての訴求にもつなげたい考えだ。
京阪紙工が7月頃をめどに発売するのは「@(アット)トング(仮称)」。消費税込みの価格は1本500円程度を想定する。同社は2層や3層の構造で強度を備えた段ボールによるBツーC(対消費者)向けの商品開発を強化している。
国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標14では「海の豊かさを守ろう」として、プラスチックゴミの削減が求められている。釣り具メーカーはユーザーが水辺でリサイクルできるトングを使ったゴミ回収で利用を促す。金融機関は開店前に自店舗周辺でのゴミ拾いが定着している。段ボール製トングの使用で、来店顧客らにも環境対応への取り組み強化を伝えやすい。
住谷社長は「環境配慮を目指すお客さまからの依頼を受けて開発した。当社設備でインクジェットプリンターを備えているため、供給先のロゴを入れることも可能」と話す。
京阪紙工は1981年創業で、機械部品などの輸送用段ボールの製造・販売が主力。
日刊工業新聞2022年6月7日